「世界のナマハゲ」と絶景に出会う 男鹿半島

秋田の旅 第3回

「ナマハゲ」の心を知り、女子旅にもおススメの場所

 日本海に突き出た男鹿半島は、火山地形で特色ある自然を楽しむことができるとともに、海の幸に恵まれています。今回の秋田の旅の締めくくりは、伝統行事「ナマハゲ」がユネスコ(国連教育・科学・文化機関)の無形文化遺産に登録が決まった男鹿半島をめぐります。

JR秋田駅で秋田犬に会える

 旅のスタートは、JR秋田新幹線の発着駅JR秋田駅。在来線への乗り換えを前に向かったのは、駅構内で秋田犬に会えるスポット「秋田犬サテライトステーション」です。この日に“出演”したのは、メスの杏ちゃん。カメラを向けると、「カメラ目線」で応えてくれました。ふわふわの毛と愛くるしい笑顔にいやされます。週3日、一般社団法人「ONE FOR AKITA」が運営しています。

ナマハゲをイメージした車両で男鹿半島へ

 JR秋田駅から奥羽線と男鹿線に乗って男鹿駅へ。ナマハゲをイメージした赤と青の車両で男鹿線沿線観光のシンボルとなっているのが、交流蓄電池電車「ACCUMアキュム」で、秋田―男鹿間を毎日3往復しています。男鹿駅の駅舎は2018年夏に新しくなり、屋上には展望テラスがお目見えしました。駅名の看板には、男鹿の伝統行事「ナマハゲ」の絵が描かれ、旅の始まりを楽しませてくれます。

「登録、決まったどー」 ナマハゲの無形文化遺産登録に沸く

 男鹿のナマハゲは、仮装した神が家々を訪れる日本の来訪神行事で2018年11月末、ユネスコの無形文化遺産に登録されることが決まりました。ナマハゲは大みそかの夜、お面を付けた男たちが稲わらでできた衣装を身にまとって、「泣く子はいねがー」と叫びながら家々を回ります。新年を前に来訪し、怠け心を戒め、豊作や無病息災を祈り、地域に幸せを運んでくる神様です。行事は古くから男鹿半島の集落ごとに行われてきました。旅の途中、男鹿半島の各地でさまざまなナマハゲ像を見つけることができます。

「ナマハゲの心を伝える」行事を体験

 男鹿市観光協会とJR東日本グループの「びゅうトラベルサービス」は、無形文化遺産登録を記念して今年初めて、ナマハゲ行事の体験ツアーを開催します。大みそかの日没後に家々を回るナマハゲに同行、希望者はお面を付けてナマハゲの一員になることもできます。「男鹿真山伝承館」は、移築した男鹿の古民家でナマハゲの実演を見ることができます。ナマハゲは子どもらを戒めながら家の中を歩き回った後、なだめ役の家長から酒食のもてなしを受けます。

 「なまはげ館」には、各集落に伝わる150枚の面が一堂に集められています。映像やパネルで行事の由来を学べるほかお面や衣装を身に着けて記念撮影もできます。

 真山神社では毎年2月、みちのく五大雪まつりの一つ「なまはげ柴灯せどまつり」が行われます。大みそかの「なまはげ」と、五穀豊穣、大漁を祈願する正月の神事「柴灯祭」とを組み合わせています。暗闇の中から、たいまつを手にしたナマハゲが連なって下山する光景は、見る人を勇壮な世界に引き込んでいきます。

 真山神社の南には、ナマハゲ伝説にゆかりのある「赤神神社五社堂」があります。鬼が積み上げたと言い伝えられる999の石段を登りきると、大小五つのお堂が一列に並んで立っています。

大地の成り立ちを知る

 男鹿半島は1973年に国定公園に指定され、2011年には貴重な地質や地形を保護し、観光や教育に活用する「日本ジオパーク」に認定されています。約50万年以上前から8万年前の地層を見ることができる安田あんでん海岸沿いの崖は、「地層の天然博物館」と呼ばれ、全国各地のジオパークを愛する「ジオ女子」が熱い視線を注いでいます。

半島南西部に「ゴジラ岩」も

 男鹿半島の西海岸は、海と奇岩の絶景をめぐることができ、ツーリングスポットとしても人気が高まっています。南部の鵜ノ崎海岸は「インスタ映えする」撮影スポットとして知られています。

 半島南西部にはゴジラの形をした「ゴジラ岩」があります。シルエットがそっくりと話題の岩です。

 今回の旅を通じて出会った人たちが、男鹿半島のとっておきの場所と思い出を語ってくれました。そのいくつかをご紹介します。

男鹿半島北西端の景勝地 「入道崎」

 「どこまでも広がる空と海。遠くを見渡すことができる眺めとともに、少しもの悲しさを感じさせるところがたまらなく好きですね」。秋田料理店で働く男性が時間を見つけると足を運ぶのが、男鹿半島北西端の入道崎です。白と黒のストライプの灯台は、日本の灯台50選の一つで、「恋する灯台」としても知名度が高まっています。

女子旅にもおススメ 絶景の夕日に元気をもらう

 学生時代の友人3人で男鹿半島の旅を楽しんだという20代の会社員の女性は、「日本海の濃いブルーがなんとも言えず好きです。浜辺に3人で並んで夕日を見つめると元気になりました」と教えてくれました。社会人1年目の夏休みにリフレッシュのために旅を企画してJR秋田駅から車で男鹿半島をめぐり、「景色がきれいでお料理もお酒もおいしく、ドライブも爽快。女子旅におススメです」。写真は、海水浴場で撮影した思い出の一枚です。

季節で変わる景色や温泉も楽しめる

 このほかにも男鹿半島には、多くの魅力的な観光スポットがあります。半島のシンボルの寒風山かんぷうざんは、なだらかで草に覆われ、季節によってさまざまな顔を見せてくれます。「男鹿水族館GAO」は、地元の海の生き物たちが勢ぞろいし、男鹿温泉郷では、湯めぐりを楽しめます。

秋田の冬の味覚 「しょっつる鍋」

 秋田の豊かな発酵食文化を代表するのが、ハタハタを塩漬けにして熟成させてつくる魚醤ぎょしょう「しょっつる」です。ハタハタの旬の時期は11月下旬から12月ごろで、「しょっつる鍋」は、「しょっつる」を水で薄めてだしにし、ハタハタや野菜を入れて味わいます。「しょっつる焼きそば」はしょっつるを使うことなどが条件といいます。このほか、水と魚介をおけに入れ、熱した石を放り込んで煮る「石焼料理」など地域色豊かな料理を楽しめます。

「しょっつる鍋」
熱した石を放り込んで煮る「石焼料理」

「男鹿のズワイガニ」も人気

「道の駅おが」オガーレでは、男鹿半島沖で水揚げされた海産物をはじめ地元産の農作物など、「海の幸」と「山の幸」が並び、紅ズワイガニも人気を集めています。厳しい寒さの中で育った男鹿のカニは、甘く身が締まっているといいます。一定の基準を満たした本ズワイガニを「舞雪まいせつがに」とするブランド化も進められています。ジェラートやしょっつる味のソフトクリームもスイーツ好きにはたまりません。

「舞雪がに」

旅の終わりは、秋田のお酒で

 米どころの秋田には、おいしいお酒がたくさんあります。旅の終わりに訪ねたのは、秋田のお酒を1杯数百円から味わえる「あきたくらす」。JR秋田駅直結の駅ビル「トピコ」内にあり、列車の出発前に、ほんのり気分を楽しめます。

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