北海道の雄大で美しい自然とともに、2組の若い男女の運命を描く日韓合作の映画「風の色」。日本でもヒットした「猟奇的な彼女」で知られる韓国のクァク・ジェヨン監督の最新作です。
主演に選ばれたのは、慶応義塾大学出身で英語も堪能な国際派の若手俳優・古川雄輝さん。お二人のインタビューを通じ、「風の色」の魅力と古川さんの素顔に迫ります。

1人2役の難役に挑戦
「風の色」は北海道・知床と東京を舞台に、同じ容姿の2組の男女が織りなすラブストーリー。古川さんは、1人2役でマジシャンを演じています。
役作りについて伺うと「思い切り差を出そうという感じではなかった」と答えます。
1人2役といえば、全く違う2人を演じ分けるイメージがありますが、本作での涼(りょう)と隆(りゅう)は比較的近い2人。隆は大人っぽくてクール、涼はもう少し普通の人のイメージで演じることができたそうです。
主演のオファーがあった時、「クァク監督が手掛ける日韓合作映画に出演できることが、すごくうれしかった」と古川さん。「韓国のスタッフの方々と仕事をするのは初めてでワクワクした」と語っています。
厳寒の北海道で行われた撮影では初の水中撮影に挑戦。「息が持つギリギリまで我慢し、低体温症と酸欠状態になりかけながらも撮影を終えました」と笑いながら振り返ります。
「忘れられないのは、生まれて初めて流氷を見たこと。すごくきれいで、いま作品で見ても感動します」。
世界に羽ばたく国際派俳優の姿

7歳で家族とともにカナダに移住し、高校は米ニューヨークの慶応義塾ニューヨーク学院に進んだ古川さん。慶応大理工学部在学中はダンスサークルの代表を務め、「ミスター慶應」に選出されています。
俳優という仕事について尋ねると、「ずっと続けてきたダンスとお芝居は似ています」とまっすぐな目。
「ダンスは映像を見て真似をして勉強し、俳優もいろいろな作品を観て勉強します。勉強の仕方が一緒で、人前に立つという部分も同じ。だから僕は、この仕事が好きなのかもしれません」。
インタビュー中、今後の活躍の場に海外を視野に入れていると話し、国際派俳優としての意欲的な一面も覗かせました。
「海外で働いている日本人の役者さんは少なく、日本人の役があってもアジア圏の別の国の方が演じていることが多い。日本人の役者さんももっと海外で働いていけたら、という思いがあります。僕自身、この映画が一つのきっかけになっているけれども、日本の外でいろいろな仕事ができたらいいなあと思う」。
落ち着いて語りつつも、目標に向かって突き進む情熱を感じました。
生まれ変わったらこんな恋愛を-
これまで数々の珠玉のラブストーリーを世に送り出してきたクァク監督。
「『風の色』とは、目には見えないけれど感じることができるもの。愛も同じで、見えないけれど確かにあるもの」と、2015年3月に始まった撮影を思い出しながら、静かに語りました。
「いま恋愛をしている人、していない人、恋愛が終わってしまった人、思い出したいと思っている全ての人に観てほしい。人を愛することの醍醐味や素晴らしさを見つけてもらえるでしょう。私自身、生まれ変わったらこんな恋愛がしたい。この映画の主人公たちのように愛をスタートできたらいいなと思う。自分史上、最高のラブストーリー」と、力を込めて語りました。

監督は、古川さんを主演に選んだ理由を「演技に深みがあり、少年らしい外見とともに、大人びた部分を持ち合わせているところに魅力を感じた」といいます。例えるならば「ウインナーコーヒー」。
「温かい中に冷たいクリームがあるように、温かみとクールさの両方を持っている」と笑います。マジシャンという役柄も「立った時の所作が大切で、彼のたたずまいと雰囲気がぴったりだった」。
監督が「古川さんの成功は私の成功」と古川さんに熱く温かいエールを送ると、古川さんも「舞台となっている北海道の方にも観ていただきたいし、日本のみならず世界中の多くの方に観ていただけたらうれしいです」と笑顔を見せました。
古川さんの熱演が光り、監督も自信作と評する「この冬一番の愛の物語」。ぜひ皆さんも、劇場で「風の色」を感じてみてはいかがでしょうか。
ヘアメイク:赤塚修二
スタイリスト:五十嵐堂寿
【映画情報】
『風の色』
ヒロイン役は約1万人のオーディションから選ばれた藤井武美。石井智也、袴田吉彦、小市慢太郎、中田喜子、竹中直人が脇を固めるほか、Mr.マリックがマジック監修を務めている。 1月26日(金)TOHOシネマズ 日本橋ほか、全国ロードショー!
監督: クァク・ジェヨン
配給: エレファントハウス、アジアピクチャーズエンタテインメント、カルチャヴィル
(C)「風の色」製作委員会