3月8日の国際女性デーを前に、地域における女性の活躍を考えるシンポジウム「人生をデザインする」が2月11日、広島市で開かれました。俳優で元宝塚歌劇団月組組長の越乃リュウさんの基調講演や広島市出身の俳優、中河内雅貴さんのトークショーのほか、瀬戸内エリアの女性や若者らが働き方や地域作りについて活発な議論を交わすパネルディスカッションが行われました。読売新聞が運営する女性向けサイト「OTEKOMACHI」(大手小町)に加え、読売新聞大阪本社が発刊70周年、広島テレビが開局60年を記念して企画しました。
【基調講演】越乃リュウさん
基調講演で越乃リュウさんは、宝塚時代、組長として90人を率いた経験から「リーダーは必ずしも俺についてこいというタイプではなくてもいい」としたうえで、自らのリーダー論を熱く語りました。
「できないこと、苦手なことは、ダメことではありません。自分一人では何もできないことを公言し、仲間と協力し合える関係を築きました」
「私の思うリーダーは仲間を導く人。たどり着いた答えはリーダーが語るのは過去のことや仲間の失敗ではなく、夢や未来。ワクワクできる未来をいかに描くことができるかにある」
さらに、宝塚を退団後に「燃え尽き症候群」から2年間部屋に閉じこもった時期を経て芸能の世界に戻ってきた経験から「自分らしい未来」を作る方法を紹介しました。

宝塚では男役を演じるとき、男性の仕草を参考にしていたといい、新しい自分になるために自分がなりたいと思う人をまねすることをアドバイス。服装をまねたり、それまでに身に付けていなかった眼鏡などのアクセサリーを取り入れたりすることで、自分を少しずつ変えることを提案。「それを続けていけばやがて身の丈に合うようになり、少しずつ自信が出て、自分を好きになっていく」と話しました。
最後に、宝塚時代に学んだという「美しく見える所作」を紹介。鎖骨に目があると意識し、その「目」で周囲を見るように体を動かすとしなやかな動作に見えるといい、美しい歩き方も実演しました。
【トークショー】中河内雅貴さん
続けて行われたトークショーには、広島市出身の俳優、中河内雅貴さんが登壇。広島時代の思い出、俳優としてのキャリアのほか、プライベートについても明かすなどスペシャルトークを展開しました。(聞き手・広島テレビアナウンサー 馬場のぶえ)
中河内さんは、広島市を中心に約30店舗ある飲食チェーン「ちから」について触れ、「かつおだしの香りが恋しくなって、広島に帰ってくると、うどんと中華そばをセットで食べます」と地元愛を語りました。

15歳からダンスを始め、ニューヨークでダンスレッスンを受けた経験を話し、「一人ひとりが生き生きとしている様子に刺激され、もっと自分らしく生きていいんだと気づかされました」と振り返りました。ダンスのみならず歌や芝居にも挑戦し、ミュージカルでの活躍につながったと言います。
2月24日から始まる舞台「ピアフ」では、大竹しのぶさんと共演。稽古場では大竹さんを「しのぶちゃん」と呼んでいるエピソードを紹介し、恋人役として距離を縮める努力を明かしました。
【パネルディスカッション】
パネルディスカッションでは、「瀬戸内で考える働き方と地域作り」をテーマに瀬戸内ゆかりの3人が働き方や地域の魅力、課題について議論しました。(コーディネーター OTEKOMACHI編集長 小坂佳子)

2010年の瀬戸内芸術祭で香川県・豊島に「食とアート」で人々をつなぐ出会いの場「島キッチン」を作った建築家の安部良さんは、「だれにとっても、だれもがありのままでいられる場所が必要です。その場所づくりを、地域の人たちを巻き込みながら実現したい」と話しました。
瀬戸内海の離島「大崎上島」にて、女手一つでレモンの有機栽培に挑戦しているふじやファーム代表・藤中夏実さんは「やりたいと思ったことに、素直な気持ちで行動に移すことが大切。周囲の目を気にしすぎずに、自分の感覚を信じて動いてみることです」と農業への挑戦の原動力を語りました。
東京から香川県三豊市へ移住し、体験型宿「UDON HOUSE」を開業した瀬戸内ワークス(株)代表取締役の原田佳南子さんは「地方は閉塞的だと言われることもありますが、地域特有の縁やつながりがあります。今は、地域から世界へ発信することも可能です。移住して4年になりますが、これからもチャレンジャーでありたい」と強調していました。
シンポジウム「人生をデザインする」
【主催】OTEKOMACHI、読売新聞大阪本社、広島テレビ
【後援】内閣府男女共同参画局、広島県、中国経済産業局、中国経済連合会
【協賛】日本マクドナルド、オタフクソース、広島エフエム放送
【協力】The Japan News