新妻聖子、中川晃教 初対談でミュージカルの魅力を語る

日本のミュージカル界を代表する新妻聖子さんと中川晃教さんが、初めて対談しました。5月に予定されていた「ららら♪クラシックコンサート」の第10弾「ミュージカル特集」に向けて行われたもので、公演は緊急事態宣言の発令に伴い中止になりましたが、貴重な対談の内容を大手小町で特別に公開します。

初共演はテレビ番組

――日本のミュージカル界を代表するお二人ですが、一番初めの共演は何だったのでしょうか。

中川:実は初共演は舞台ではなく、テレビなんです。「魅惑のスタンダード・ポップス」(NHK-BS)で、 聖子さんがさまざまなことを全部やっている番組でした。

新妻: 番組では司会兼歌唱をやらせて頂いていました。来日アーティストがゲストで出演する際は通訳も担当していたので、準備や練習でてんやわんやだった記憶があります。毎月何曲も新曲を覚えて…まるで‟短期ポップス大学”でした(笑)。二年間で外国ポップスを300曲以上覚えたので、シンガーとしての基礎となるグルーヴやリズムを会得できた事は本当に有難い経験だったと思います。アッキーは何度もゲストで来てくれましたよね。

中川:とにかくその時の聖子さんって清楚だし、とってもそつなく、歌も歌い、井上順さんとナイスなコンビネーションで司会をされていましたね。聖子さんの多才な面が番組の中で表れていました。なので、聖子さんと「レ・ミゼラブル」などのミュージカルがなかなか結び付きませんでした(笑)。でも歌の実力などは、この番組で既に知っていたので、ミュージカル「ファースト・デート」(2014年)の舞台で共演するのは本当に楽しみでした。

――中川さんの魅力はどんなところでしょう。

新妻:アッキー(中川さん)の歌には、なんというか“神”が降りてくる瞬間が必ずあるんですよ。帝劇でミュージカル「モーツァルト」を拝見した時もそうでしたが、ふいに雷のような感動を与えてくれる瞬間がある。数年前に「オリンピックコンサート2017」というイベントで「You Raise Me Up」をデュエットさせてもらった時も、曲の後半でアッキーがいきなりフェイクで高い音域に行ったんですね。伸びやかで透明な歌声が放出された瞬間、「今この声はどこで鳴って、私に届いたの?」と一緒に歌いながら鳥肌がたちました。天性のシンガーなんだなと思います。

中川:聖子さんにこう言われると、ここまで生きてきてよかったと思います。

音楽との出会い

――新妻さんの楽器や音楽との出会いを教えてください。

新妻:姉が習っているのを見て「私もやりたい」と、3歳でピアノを習い始めました。でも、なかなかレッスンに集中しない私を見て先生が、「聖子ちゃんはじっと座っているピアノより、歌とかダンスとか、体を使って表現する習い事に変えた方がいいのでは?」と言ったんだそうです。今思うと先生の洞察力すごいですよね(笑)。ピアノはタイのバンコクに引っ越しをする小学校5年生まで続けました。ピアノを通して、幼少期に音感が養われたのはとても良かったなと思います。

歌に関しては独学ですが、持っている声質は母にそっくり。声量と音域の広さは父譲りですね。基本的に家族は全員歌うことが大好きで、タイでもよく家族でカラオケに行っていました。小学校6年生の時に生まれて初めてお友達とカラオケをして、みんなが「聖子ちゃんもっと歌って」と喜んでくれたのがとても嬉しくて、「歌手になりたい」と思い始めました。

――中川さんはどうですか。

中川:僕も一時期家族でカラオケに行っていましたね。 僕は小学校4、5年くらいだったと思います。母方の親戚がカラオケのあるお店を経営していて、家族で正月などに集まるとカラオケで歌ったりしました。小学校の頃のレパートリーは、ホイットニー・ヒューストン、スピッツや尾崎豊でした。

新妻:小5の男子がカラオケでホイットニーを歌うってすごくないですか!?

中川:母親はブラックミュージックが好きで……ダイアナ・ロスとかがすごく好きだった。 父と結婚して完全にやめましたが、母は昔、歌手だったんですよ。古賀政男の門下生だったということもあって、母方の家系がわりと音楽が好きですね。

――コロナ禍でのエンタメ界について

中川:まだまだ観客は劇場に戻ってきていないと感じます。そういう意味で、「今は耐える時」というのがエンタメ業界全員の共通認識だと思います。そんな中だからこそ、幕を開ける一回一回にエネルギーをすごく感じます。来てくださったお客さんに「見に来て良かった」という気持ちを持って帰ってもらう。その積み重ねがこれから大切だろうと思います。

新妻:本当に皆が経験したことのない事態ですよね。私自身も昨年ミュージカル「ボディガード」が東京全公演中止になってしまい、そして今もまだ収束には程遠いという。もちろん不安もありますが、基本的には状況をシンプルに受け入れるようにしています。昨年のステイホーム中は、ファンの皆様に何か楽しい事を発信できないかなぁと「ボディガード」チームで動画を作ったり、私の過去のコンサート映像を公式YouTubeにアップしたり、会えない中でも想いを繋ぎ合えた期間でした。

中川:コロナ禍の経験は、“エンターテインメントの力”を実感する機会を与えてくれました。だからこそどういうエンターテインメントがこれから必要なのだろうか、自分にできることってなんだろうと自分の役割を考えています。

これからの活動に注目

――チャレンジしたい作品や役は何かありますか。

新妻:初舞台から30代前半までは本当にいろいろな役をやらせていただきましたが、不思議なことに、「やりたいな」と思った役にはご縁があることが多かったです。ただ、運命的な出会いだったキム役やカミーユ役を経て少し燃え尽きてしまった部分もあり、それ以来「やりたい役」ってあまり思い浮かばないんです。今は子供が生まれて生活スタイルも激変したので、自分の人生にも重きを置きながら、ご縁のある作品に丁寧に向き合っていきたいなと思っています。

中川:今まで、モーツァルト役から犬のスヌーピー役(「きみはいい人、チャーリー・ブラウン」)までやってきました。現在もさまざまな役に魅力を感じていますが、特に悪役をやりたいですね。

――今後の予定を教えてください。

新妻:もう稽古も始まっていますが、8月に東京・帝国劇場、9月に福岡・博多座で上演されるミュージカル「王家の紋章」に出演します。初演・再演ではキャロル役でしたが、今回はエジプトの女王アイシス役へと役替わりします。

中川:今年はデビュー20周年ということで、コンサートツアーやアニバーサリーコンサートを予定しています。あと、CS日テレプラスで「中川晃教Live Music Studio」 という番組のナビゲーターを務めています。17~20曲ほどのセットリストを、おひとりのゲストとピアノだけでトークを挟みながらお届けする番組です。

※対談は室内の換気を徹底し、直前までマスク着用のうえ行いました。

(聞き手:読売新聞メディア局 杉山智代乃)

新妻聖子ヘアメイク/酒井夢美、スタイリスト:小堂真里(ポストファウンデーション)
中川晃教ヘアメイク/松本ミキ、スタイリスト:KAZU (TEN10)

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