【国際女性デーシンポ】復興と女性の活躍…課題ある場所にチャンス

3月8日の国際女性デーに合わせ、OTEKOMACHI(大手小町)と読売新聞東北統括本部は2月11日、仙台市でシンポジウム「被災地から考えるSDGs」を開きました。東日本大震災から10年を迎える東北で自分らしく働く女性や若者の挑戦、被災地支援のあり方などについて考えました。

パネルディスカッションの第1部では、福島県郡山市でワークシェアリングを事業とする「2hours」代表の鷲谷恭子さんと、宮城県石巻市で空き家を活用した移住支援を行う「巻組」代表の渡辺享子さんが、「復興と女性の活躍」をテーマに意見を交わしました。
(コーディネーター 読売新聞東北統括本部長 長谷川由紀)

課題の多い地方にこそビジネスチャンス

――「地方だからこそ柔軟に仕事ができる」と感じることはありますか。

渡辺 人口が少なく、物理的な空間にもあふれていて、担い手が圧倒的に不足している地方には、本来はやれることがいっぱいあります。課題を解決することでニーズを満たし、事業に価値を生み出すのがビジネスなので、課題がある場所の方が、チャンスはたくさんあるはずです。

鷲谷 リモートワークで仕事を請け負っていますが、何かあった時に顔が見えたり、直接相談したりできる人に仕事を発注したいという企業の思いがあるように感じます。在宅勤務と言いつつも、人とのつながりを大切にしているのは、地方ならではかもしれませんね。

――新型コロナで、働く環境やライフスタイルへの考え方が変わり、お二人のように新しいことに取り組む方も増えたのではないでしょうか。

渡辺 すごく変わってきていると感じるのが、オフィスデザインなどに関わっている方々の考え方です。「オフィスの中で過ごす」という仕事感覚が薄れ、オフィス自体を縮小する時代になりました。次にどんな事業を仕掛けていくかと考えた時に、地方に目を向ける人が増え、私たちにお声がけいただく機会が多くなってきました。

鷲谷 リモートでどこでも仕事ができるようになり、首都圏が地方都市に期待する役割が増えてきました。両方にまたがって新しいビジネスを展開する人や、コロナの終息に向けてコネクション作りに奔走している人もいます。コロナ禍の後には、首都圏との物理的な距離を超えたつながりが爆発的に増える気がしています。

時代に合った復興の形を世界に提示

――今回のテーマは「被災地から考えるSDGs」ですが、お二人の話を聞いていると、動きが加速している印象を受けますね。

渡辺 被災地が取り組んできた課題って、人口減少が進む社会の課題を10年先取りしているところがあると思うのです。産業面やインフラ、自治体予算……こういった問題は、世界のどんな街でも起こりうること。だからこそ、私たちの復興への姿勢は、世界中から注目されているはずです。これまでの前時代的な震災復興の形ではなくて、時代に合わせたやり方を世界にどう提示していくかが重要ではないでしょうか。

鷲谷 キャリア教育などの一環で、福島の子どもたちに向けて話をする機会をもらうことがあります。その中で、「すごく大変そうな大人の背中をいっぱい見てきた。でも、やっぱり大人もちゃんと楽しんでほしい。楽しんでいる背中をたくさん見られたら、福島で生きていく未来図を描けると思うから」という子どもの言葉がすごく響いて。背中をぐっと押された気持ちでした。まずは、自分たちがしっかり楽しんでいる姿を意識しながら、未来に向けて取り組みを進めていこうと思っています。(左から)合同会社「巻組」代表の渡辺享子さん、「2hours」代表の鷲谷恭子さん

――社会の仕組みが、男性視点のものが多いという指摘もあります。生活の多様化や先進的な課題に対応するためには、さまざまな視点が必要だと思います

鷲谷 仕事を請け負った企業から言われて衝撃的だったのが、「あ、その仕事、2時間で出来たのね」という言葉です。「長い時間働く前提で終業時間に合わせて働くのと、『子どもを迎えにいかなきゃいけない』と働くのでは、集中力が違うんだね」とおっしゃっていました。

長い時間働くことが価値じゃない。制約があるからこそ、覚悟を持って仕事に向き合う。その成果をお客様に評価していただけたというのは、この働き方だからこそ気づけたことかもしれません。

渡辺 子育てが女性だけの問題でない社会が、次の10年で来るといいですね。今は、子育てしながら働くことが、どうしても女性の課題になっていますが、男性も一緒に考えるべきだと思います。私自身、あまり男女を意識していませんが、女性の起業家としてイベントに呼ばれた時に、「結婚して子どもを産んで働くのは大変ですよね」などと聞かれることがあります。バイアスは、まだ消えていません。

鷲谷 若い人の考え方がどんどん変わっている一方で、皆さんが課題だと言うのが、「旦那さんの職場の理解が追いつかないこと」。時間はかかるかもしれませんが、そういったところも早く変わってほしいと思いますね。

自分の感情に素直になって

――仕事や人生の岐路に立っている人たちに向けて、メッセージをお願いします。

渡辺 私たちは、違和感や問題意識に対して、素直に対応できない教育を受けてきたと思います。トレンドを追ってみんなと同じものを買い、新卒一括採用で就職し、家庭を持って安定して……。そういった毎日から抜け出しづらい環境があるのではないでしょうか。

ただ、働き方などの自由度が高まっていくこれからの時代で、違和感に素直に対応したり、課題を抱えている人の役に立ったりするというのは、非常に重要です。違和感や我慢できないことをどう解決するかを考えられるようになるといいなと願っています。

鷲谷 働き方は、私が就職した頃より選択肢が増えてきました。型通りに縛ってしまうのではなく、「どうしても納得いかない課題って何だろう」などと深掘りして、気になったことがあればアクションしてみる。違ったなと思えば、戻ればいいのです。自分に正直になってあげてほしいと思います。思いがはっきりしていないと、くじけてしまうので。自分の感情に正直になることを意識するだけでも、道は切り開けるはずです。

◇     ◇     ◇

【あわせて読みたい】

鷲谷恭子(わしや・きょうこ)
「2hours」代表

2009年に福島県郡山市へUターン。東日本大震災以降は国際交流や子育て支援、まちづくりのボランティア活動を行う。19年、働くお母さんたちのワークシェアリングによる時短型仕事請負の組織「2hours」を設立。「2時間で働こう」を合言葉に、企業の仕事を請け負っている。

渡辺享子(わたなべ・きょうこ)
合同会社「巻組」代表

震災支援活動をきっかけに宮城県石巻市に移住し、被災した空き家を改修して若手の移住者に拠点を提供するプロジェクトを展開。2015年に「巻組」を設立、地方の不動産流動化を促す仕組み作りに取り組む。巻組が扱う物件は、多様な暮らし方・働き方をしている若者から人気を集めている。

シンポジウム「被災地から考えるSDGs」 2月11日(木)
メーン会場=ホテルメトロポリタン仙台(仙台市)
サブ会場=NTT都市開発株式会社東北支店ショールーム(仙台市)、クロステラス盛岡(盛岡市)
【主催】OTEKOMACHI、読売新聞東北統括本部
【協賛】日本マクドナルド、東北電力、仙台ターミナルビル
【協力】NTT都市開発、TheJapan News
【後援】内閣府男女共同参画局、東北経済産業局、岩手県、福島県、宮城県、仙台市、福島民友新聞社、宮城テレビ放送、テレビ岩手、福島中央テレビ

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