OTEKOMACHI(大手小町)では3月8日の国際女性デーに合わせ、女性の活躍やダイバーシティー&インクルージョンの推進に大切なことは何か、メッセージを寄せてもらいました。
福島・会津を拠点に、その土地ならではの食の素材を旅館やホテルに紹介し、地産地消を進めるNPO法人「素材広場」の理事長を務めています。
もともと、旅行雑誌「じゃらん」の営業兼ライターでした。福島県に住みながら、旅行プランを企画して宿泊施設に売り込み、広告を出していただく仕事を、10年続けました。やめた後も宿にかかわる仕事を続けたいと思い、ライターは続けていたところ、ある宿の料理長から、料理素材の地産地消に関する相談を受けたことが、素材広場を作るきっかけになりました。
当時は、旅のニーズが団体から個人へと変わりつつあった時期です。食の素材も、以前の「カニが出てくると喜ぶ」というのではなく、「地元ならではの食材を楽しみたい」といったように、料理にストーリー性を見いだす志向が高まってきました。そこで、ライター時代に知り合った料理人さんたちとともに、どこでどんな食材を作っているかを情報交換できる、会費制の会員組織を作りました。
いい生産者は、他のいい生産者とつながっていることが多いものです。会には良い食材の情報が口コミで次々に入るようになり、新規会員も増えてきました。そこで、会をNPO法人化したのが「素材広場」です。現在は正社員が10人、賛助会員50人の体制で運営し、食材の発注も受けるようになりました。
以前、宿には「鶏と豚のタブー」というものがありました。安い食肉のイメージが敬遠されたのです。それが今や、地鶏やブランド豚の提供は当たり前となってきました。「素材広場」も、単に食材を探し宿に納めるだけでなく、お客さまが喜ぶ料理の企画を立てることが大事だと思っています。
コロナ禍で思ったのは、地に足を着けて粛々と食材を作っている農家の強さです。それが地方の強みであり、魅力であります。観光と農業は直結していることを、改めて学びました。