私の名前は宏堂で、子供の頃は自分のことを「こうちゃん」と呼んでいました。ピンクのカチューシャをつけた3歳の私は、母に得意げに「こうちゃん、おんなのこよ!」と言いました。母のスカートをはいて、風呂敷を頭にかぶって長い髪に見立て、ディズニー映画の「美女と野獣」の歌に合わせてクルクルと踊っていました。青いゴミ袋で作った人魚姫アリエルの尻尾を足につけて、ビニールプールで遊ぶのも大好きでした。
小学校に入ると、友人の弟に「男の子の友達いるの?」とからかわれ、高校ではクラスの男子に「あいつ、オカマでしょ?」と大声で言われました。女の子っぽいと言われないように、ビクビクしながら生きていました。
でも、後に私がアメリカでメイクアップアーティストとなり、ミス・ユニバースの世界大会で学んだことは「美しい女性が、賢いリーダーになり得る」ということ。男性の方が優れているという古くからの「まやかし」と闘う各国の女性と触れ合い、世界中で女性のリーダーが活躍する時代が来たことを目の当たりにしました。
私がいけないと思っていた女らしさとは、「美しさ、思いやり、忍耐強さ」という良いことだったのだと気がつきました。自分の性を愛しながら、この世を自由に生きても良いと分かりました。私は劣等ではない。それは性別問わず、世界の誰にでも共通すること。
私の体は男性ですが、女性差別を目にすると自分のことのようにカチンときます。ダイバーシティーとは、人との違いを我慢することではなく、違う立場の人とお互いを応援し合えること。私は女性の躍進を、自分のことのようにうれしく思います。
【西村宏堂さんのインタビュー記事】
「美しさ」「平等」…メイクアップと仏教の世界から見えたこと
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