お返しってそもそも必要なの? お中元にまつわるエトセトラ

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お中元、お返しって必要なの? 発言小町 大手小町 読売新聞
写真はイメージです

百貨店やコンビニエンスストアなどで、夏のお中元商戦が始まっています。ところで、お中元を贈るとき、贈られたときのマナーを知っていますか? 読売新聞が運営する掲示板サイト「発言小町」では、「親族に贈ったお中元に、お返しがない」「そもそもお返しは必要ない」といった話で盛り上がっています。お中元のマナーについて専門家に聞きました。

義妹から届く、夫しか飲まないビール券にもやもや

「お返しのないお中元」という投稿を寄せたのは、トピ主「ぎんねこ」さん。義理の妹の家に何十年にもわたって毎年、お中元を贈ってきましたが、いつもお中元という形では返ってこず、贈った品の半額程度のビール券が郵便で送られてくるそうです。ビールを飲むのは、もっぱら夫とのこと。友人や自分の親類からは、必ず同額程度のお中元が届くだけに、「なんだかもやもやします」と打ち明けました。

そんなトピ主さんに対して、「お中元自体が『お返し』」とコメントしたのは、「阿羅漢」さんです。そもそも、お中元やお歳暮は「普段お世話になっているお返し」で贈るものなので、「お返しにお返しはいらないはず」と指摘しています。

このほかにも、さまざまな意見が寄せられました。

「半額ビール券でもお返しです」(「ビール党」さん)

「義妹や友達にお中元? お世話になっている方、目上の方に贈るもので、基本的にはお返しはなしだと習いました」(「葉子」さん)

「あるあるだと思います。我が家は、だいたい家族で食べられるものを送るのですが、返ってくるのが、父親しか飲まないお酒だったりするとがっかりしました。数年後には、半額のものを送るようにしたらどうですか」(「まーこ」さん)

「(トピ主さんの義妹は)やめたいんじゃない? 今どき、やらない人も増えていますよ。私は相手がお返ししなくてよいように、旅先や道の駅でおいしそうなものをみつけたときに、『おいしそうなものを見つけたので贈りますね』と手紙をつけて送ります」(「白桃」さん)

「損得勘定で、半返しに不満を持ってしまうなら、やめた方がいいと思います」(「ひだまりん」さん)

お盆の時期に、目下の人から目上の人に贈るのが一般的

お中元の意味合いやマナーについて、NPO法人「日本サービスマナー協会」の認定マナー講師、上田由佳子さんに聞きました。

「お中元は、1年の上半期に、お世話になった方へ、感謝の気持ちや、『末永く、よろしくお願いします』というあいさつの意味を込めた贈り物です。会社の上司、結婚式の仲人など、目下の人から目上の人に贈ることが一般的です」と上田さんは説明します。お世話になった方に贈るものなので、家族や親類に贈ってもよいといいます。

元々、中国の風習と日本の仏教のお盆が重なって徐々に変化し、お盆の時期に感謝の気持ちを込めて贈り物をするようになったそうです。そのため、時期は贈り先の地域のお盆に合わせるのが一般的です。

■贈る側のマナー

【お中元の時期】
東北や関東など    7月初旬から7月15日まで
関西や中・四国    7月中旬から8月15日まで

【最適なもの】
贈る相手の好みや家族構成などを考え、相手が喜ぶものなら何でも可。そうめん、ビール、ゼリーなど夏らしい食品が一般的ですが、好みで選べるカタログギフトなどが増えています。

【相場】
3000~5000円程度。高額すぎると相手に気を使わせてしまいます。

【贈り方】
昔は風呂敷に包んで届けていましたが、今は配送が一般的。ただし、手紙やはがきで送り状を書いて、事前にお中元が届くことを相手に伝えるのがマナーです。親しい間柄の場合は、電話でも問題ありません。

贈り物には、掛け紙をかけるのが一般的です。紅白の水引をかけて熨斗のしをつけ、表書きの上部は「御中元」と書き、下部に、贈り主の名前を書きます。ただし、生ものには熨斗はつけません。

■もらった側のマナー

【お返しは?】
お返しは必要ありませんが、受け取ったことを知らせるお礼状を出しましょう。 すぐに電話で到着を伝え、後日、品物の感想も交えたお礼状を出すのがよいでしょう。

目上の人から届いた場合や、自身も贈ろうと思っていた人からのお中元の場合、1、2週間程度、間をあけてから送り、もらったもの以上の金額のものは避けます。すぐに送ると送り返したようにとられ、失礼に当たるので注意しましょう。

一定期間贈り続けるのがルール

今回のトピ主さんの投稿について、上田さんは「義理の妹さんは、決して間違った対応をしているわけではないと考えられます。お兄さん夫婦を目上の人ととらえ、すぐにではなく、いただいたもの以上のものを贈らないよう配慮したのかもしれません」と指摘します。 注意が必要なのは、お中元やお歳暮には「数年間にわたって贈る」という風習があり、一度「お中元」として贈ると、一定期間贈り続ける必要があります。今年に限って、特にお世話になった人に感謝の気持ちを贈りたい場合は、掛け紙の表書きを「御礼」「暑中見舞い」などとして贈るとよいでしょう。

また、「上半期の感謝の意を示す」お中元と、「この1年の感謝の意を示す」お歳暮のどちらかだけを贈る場合は、お歳暮を贈ります。年末に贈るお歳暮は、「今年もお世話になりました。翌年もまたどうぞよろしくお願いします」の意味を持つためです。

昨夏の百貨店などでのお中元商戦は、「帰省する代わりにギフトを贈りたい」「おうち時間を充実させる品を」といった消費者ニーズがあり、コロナ禍にあっても好調だったといいます。上田さんは、「やりとりなどを煩わしく感じる部分もあるかもしれませんが、コミュニケーションが簡易になっている昨今において、敬いや感謝の気持ちを届け、届けられる、すてきな風習です。大事にしてほしいですね」と話しています。

(読売新聞メディア局 谷本陽子)

【紹介したトピ】
お返しのないお中元

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上田 由佳子 (うえだ・ゆかこ)
日本サービスマナー協会 認定マナー講師

商家に生まれ、沢山の人と関わる中でおもてなしサービスに興味をもつ。飲食業に従事し、 「おもてなし」や「心に残るサービスの在り方」を社内で教育するなど、実務経験に基づいた研修を心掛ける。現在はマナー講師としてビジネスマナー、接遇マナーをはじめとする様々な職種・業種の研修を担当、メディア対応などの活動を行う。