出会いはマッチングアプリ、コロナ禍のママ友事情とは?

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長引くコロナ禍の影響で、「ママ友」作りに変化が起きている。児童館など子育てを支援する場所の運営が縮小される中で、SNSを使った交流が広がりを見せている。

児童館で出会えない

生後11か月の長女を育てる東京都の主婦、角谷侑依さん(27)は昨夏、夫の転勤で関西地方から転居した。コロナ禍で近所の児童館に行けず、実家への帰省もかなわない。周囲には育児について相談できる人もいなかった。「とても孤独だった」と振り返る。

子どもの月齢や趣味が近い母親とマッチングできるアプリ(MAMATALK提供)

写真プリントアプリを提供する「ROLLCAKE」が2020年、乳幼児をもつ母親330人に行ったアンケートでは、ママ友を作る場所は、児童館などの子育て支援施設が最多。長子が1歳未満の8割が、コロナ禍でママ友を作りにくいと答えた。

離乳食、夜泣き…家事の合間に悩み相談

角谷さんが始めたのはママ友と出会えるマッチングアプリ「MAMATALK」。子どもの月齢や居住地、「寝かしつけ」「イヤイヤ期」などの悩み、「高齢出産」「双子ママ」などの状況を入力すると、似た環境の母親とメッセージをやりとりできる。東京都などに2回目の緊急事態宣言が発令された今年1月の利用者は、前月より7割増えた。

角谷さんも近所で月齢の近い子どものママ友を見つけた。「離乳食を食べない」といった悩みを共有でき、一緒にレトルトの離乳食を探しに行った。「同じ悩みを抱える人がいて、『我が子だけではない』と救われた」と言う。

音声版SNS「Clubhouse」を活用するのは、子育てグループ「みんなで子育て研究所」。テーマごとに開いた部屋で会話を楽しむ。今年2月からは、夜泣きに悩む母親の部屋を原則、午前0~6時に開設。「なかなか泣きやまない」という発言に、グループのメンバーが「しんどいよね。もう少し成長したら、夜泣きも楽になるかも」と共感を示す。

グループ代表の直島美佳さんは「コロナ禍で、ちょっとした気持ちをはき出せるママ友がいない人が増えていると感じる。誰かと話すだけで救われることもある」と語る。

筑波大准教授の松島みどりさんとカラダノート、ベビーカレンダーの両社が20年10月、妊婦と産後11か月までの母親約3100人に行った調査では、妊婦の15%、産後の母親24%にうつ傾向がみられた。そのうち自分が抑うつ状態にあると認識している人は3分の1。カラダノートの担当者は「コロナ禍で家族以外の人と話す機会が減り、孤立しやすい環境から、うつ状態にあることに気づきにくい」とみる。

日本助産師会の担当者は「育児が不安なとき、周囲との会話で安心感を得ることも多い。有益な情報を交換できるママ友は重要」と指摘。「ただ、気分の落ち込みが続くなどの症状があれば、助産師などプロに相談してほしい」と呼びかける。同会は子育てや心の不調に関する電話相談(03・3866・3072)を毎週火曜日午前10時~午後4時に受け付けている。

個人情報の扱いに注意

SNSでのママ友作りの注意点は何か。情報セキュリティー会社デジタルアーツで、インターネットの利用法の啓発を行う藤井 美凪みなぎ さんは「個人情報を誰もが見られる状態にしないで」と呼びかける。

スマホで写真を撮ると、位置情報で自宅を特定されることもある。位置情報が含まれていなくても、背景に写り込んだ子どもの表彰状などから、名前や学校名などが特定される可能性もあるという。

ネットで知り合った人とは、日中に人目がある場所で会ったり、一人では会いに行かなかったりと、万一のことを考慮した方がいい。

「ネット上では相手がうそをついていても分からない。なりすましの可能性も留意して」と藤井さんは呼びかける。

(読売新聞生活部 野口季瑛)

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