おうち時間彩る1本100円の規格外生花「チャンスフラワー」

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規格外の生花を1本100円で販売するイベント「花つみ」(東京・虎ノ門の「hanane」で)

茎が短い、太すぎるなどの理由で、廃棄されてきた規格外の花。こうした花々を「チャンスフラワー」「ロスフラワー」などと銘打って安値で販売したり、生活雑貨の材料に活用したりして、有効活用する動きが広がっている。

東京・虎ノ門の生花店「hanane」の店先にバラ、ガーベラ、カーネーションなど色とりどりの花が並べられると、周囲が華やかな香りに包まれた。客が次々と訪れ、好みの花を手に取っていく。

同店は2019年6月から週2日、市場で規格外となった花を仕入れて販売するイベント「花つみ」を始めた。毎回20~30種ほどの花が並び、価格はどれも1本100円(税込み)。多い日には100人以上が訪れる。

東京都の会社員の女性(49)は4月下旬の「花つみ」でヒマワリなど18本を購入した。「気軽に買える価格なので何度も来ており、部屋に花を飾るのが習慣になった。コロナ禍で旅行には行けないが、家で花に癒やされている」と、ほほ笑んだ。

同店は美容院、古本店、パン店などに「花つみ」開催を呼びかけ、関東や関西を中心に不定期でのべ約1500回ほど開いてきた。今後、東北や九州にも広げる計画だ。

代表の石動いしどう力さん(43)は「花はお祝いなど特別な日に買う人が多いが、日常に根付くきっかけになれば」と話している。

花びらが1色ではないという理由で「規格外」になるケースもあるという

規格外の花を加工して商品化する試みも。廃棄される花の活用に取り組む企業「RIN」(東京)は昨年4月、新型コロナウイルスの影響で収入が減った花卉かき農家を支援するためオンラインショップ「フラワーサイクルマルシェ」(https://lossflower.theshop.jp/)を開設。規格外の花や売れ残った花をドライフラワーに加工した商品などを販売している。

同社は、廃棄される花を活用した商品を手がける作家の養成も手がけている。同社で学んだ宇都宮市の足立知美さん(32)は、栃木県内の農家から規格外の花を仕入れ、ドライフラワーや、火をともさずに使うキャンドル「アロマワックスサシェ」などに加工。同市内で経営する店舗「&F」で販売しているほか、6月までフリマアプリ「楽天ラクマ」にも出品している。

花で染めたクロスとドライフラワーを用いたアロマワックスサシェ 読売新聞 大手小町
花で染めたクロスとドライフラワーを用いたアロマワックスサシェ=守谷遼平撮影

花店を運営する「ザ リトル ショップ オブ フラワーズ」(東京)は、廃棄せざるを得ない花を染料として活用。50センチ四方のクロスを様々な色に染めている。包む、敷くなど多用途のクロスは昨年冬から、東京都内で運営する2店舗とオンラインショップ(http://littleshop.shop-pro.jp/)で販売している。

花卉農家もこうした動きを歓迎する。規格外の花も出荷するようになった横浜市の農家、植村茂さん(65)は「手間暇かけて育てた花でも2割ほどは規格外になってしまう。以前は捨てなくてはならなかったが、多くの人に楽しんでもらえるようになって幸せ」と語る。

ニッセイ基礎研究所主任研究員の久我尚子さんは「廃棄される花を購入することは、自分を癒やし、社会貢献にもなる二重の効果がある。社会の賛同も得やすい取り組み」と話している。

(読売新聞生活部 矢子奈穂)

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