Matt、見守ってくれた母に「僕の『好き』を応援してくれてありがとう」

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母が子育て本を出版、取材に応じたMattさん 読売新聞 大手小町
モデルやミュージシャンとして活動するMattさん

モデルやミュージシャンとして活動するMattさんは、元巨人投手・桑田真澄さんの次男として生まれ、周囲から野球選手になることを期待されながらも、異なる道へと進みました。母・桑田真紀さんによる子育て回顧録「あなたはあなたのままでいい~子どもの自己肯定感を育む桑田家の子育て~」(講談社、1540円)がこのほど発売され、Mattさんが家族への思いなどを語ってくれました。

――運動神経がよくて小学生から野球を始めたものの、母の真紀さんは2歳年上のお兄さんと同じチームに入れなかったそうですね。野球に興味がなさそうなMattさんと、夢中に取り組むお兄さんが比較されるのは、互いのためによくないと考えたといいます。

兄と違うチームだったおかげで、自由気ままに過ごせました。小さな頃から、天使になりたくて、サンタさんから贈られた羽根のおもちゃを装着して羽ばたいたり、絵を描いたり、家の中で遊ぶのが好きでした。だから、練習で泥んこになったり、「バッチコーイ!」などとかけ声をかけたりするのが嫌で。つらかったです。

野球やらない!トイレ立てこもり騒動

――中学生以降に、野球を本格的にやるかどうかを決めるタイミングで、Mattさんが「野球やらないなら、僕はこの家を出ていかないといけないんでしょ」と大泣きして、トイレ立てこもり騒動を起こしたことが本に書かれています。Mattさんを近くで見てきたお母さんは「野球の道には進まないかな」と思っていて、お父さんも「野球はやってもやってなくても大丈夫だよ」と言ってくれたそうですね。

父は野球選手だし、やらなきゃいけないのかなと感じていました。野球をやめ、音楽の道に進むと決めたことは、僕の中で大きな一歩。ピアノやバイオリンをやっていたから、音楽という選択肢がありました。「ママ、僕の『好き』を応援してくれてありがとう」って思います。スポーツ選手や医者の子供などは、周囲から「この道に進んで当然」と思われがちです。だけど、他にいろんな可能性があって、もっと輝けるものがあるかもしれない。僕がさせてもらったように、親は子供にたくさん経験をさせてあげて、どれが一番向いているのかを子供自身が選び、進んでいってほしいと思います。

一方で、僕が早めに野球をやめてしまったことで、期待をすべて背負うことになった兄は立派でした。プレッシャーも大きかったと思いますが、大学でも野球をやって、卒業後はBCリーグまで進んで、すごいなあと思います。兄とはお互いに認め合う、親友みたいな関係です。

母が子育て本を出版、取材に応じたMattさん 読売新聞 大手小町
Mattさん

――何かにつけて、男の子、女の子で線引きされることを不思議に感じていたそうですね。今はジェンダーフリーが叫ばれる時代になってきています。

小さい頃から女の子と一緒にいたり、女子の遊びに参加したりすることも多く、性別でなく、人間という枠で関わっていました。それを見た男の子から、「女の子っぽい」とか「おねえ」とか言われることもありました。桑田真澄の息子というのもあるけど、常に男女差別のことも抱えて生きてきました。今、やっといろんなことが解決し、この世界がルールに縛られなくなってきました。僕からしたら、「ちょっと遅いな」と感じますが、よかったです。

――美容へのこだわりや、Mattさん風になれる加工で注目されています。

毎日顔にスチーマーを当てたり、パックをしたり、そういうことを怠らないことが大事ですね。家でするケアって、1日では変わらないので。母と化粧品を共有したり、美顔器の使い方を教えてあげたりすることもあります。

夢の世界を表現したい

――“Matt”はどうやって生まれたのですか?

元々ディズニーランドのパレードが好きで、ディズニーのような夢の世界を僕も表現できたらという感覚で作られていきました。パレードに出ている人の人形感というか、人間に見えない感じにひかれました。近づき難いんだけど、会いに行きたくなるというか。小学6年生の時、初めて会った芸能人がSMAPさんで、メイクをしている姿が人形みたいに見えて、「芸能人って、こういうことしてるんだ」と感じたことも影響しています。どんどんお化粧が濃くなっていっていますが。

――ハイブランドの服を着てファッション誌に登場されていることもあります。独特の世界ですね。

雑誌をめくると毎回、マジックが起きていて、僕が出ているページだけ異色。「この雑誌のテーマに合わないかも」「ブランドの世界観と違うけど大丈夫かな?」と思うこともあるけれど、それはそれで楽しんでもらえたらと思っています。

ネガティブな反応もありますが、自分の言動を見聞きした方から、「人生が変わりました」「一歩前に踏み出せました」といったメッセージをいただけるのはうれしいです。「肩書は何?」と言われると、まとまらないんですけど、発信していることは誰かに届いているんだと思います。音楽活動でもバラエティー番組への出演でも、いろんな形で人の背中を押せるようなアーティストになりたいですね。

今年から、父が巨人のコーチになり、すごく生き生きとしていて、楽しそうなんです。僕と同じように、好きなことができているんだなと思って、家族みんなで「パパ、戻れて本当によかった」と応援しています。

(読売新聞メディア局 谷本陽子)

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