なぜ、あなたのLINEはいつも「既読スルー」で無視されるのか?

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なぜ、あなたのLINEメッセージは既読スルーされるのか?

コロナ禍で在宅勤務やテレワークが広がりました。メールやLINE、チャットツールを使って、問い合わせやスケジュール調整、勤務報告などの文章を書く機会が増えたという人も多いでしょう。一方で、いつまでたっても返事がなかったり、「既読スルー」にイライラしたりすることはありませんか。そんな時はもしかしたら、あなたの文章が相手にきちんと伝わっていないのかもしれません。『「文章術のベストセラー100冊」のポイントを1冊にまとめてみた。』(日経BP)の著者で、大学生や社会人に執筆指導を行っている編集者の藤吉豊さんに、伝わる書き方のノウハウを教えてもらいました。

分かりにくい文章に共通する過ち

分かりにくい文章には、共通する三つの過ちがあります。

【1】一つの文が長い

主語と述語の間に複数の情報が盛り込まれていると、何を伝えたいのか分かりづらくなります。なくても意味が通じる言葉を削ることで、「誰が(主語)、どうした(述語)」が近づき、事実関係がはっきりします。

さらに、「短い文で正しく伝える」ため、最も適した言葉を選ぶ意識が高まります。

◇「削りやすい言葉」の例

・接続詞…「そして」「しかし」「だから」など
・指示語…「その」「それは」「これは」など
・形容詞…「高い」「美しい」「楽しい」「うれしい」など
・副詞…「とても」「非常に」「すごく」「かなり」など
・意味が重複する言葉…「まず最初」→「最初に」、「思いがけないハプニング」→ 「ハプニング」、「はっきり断言する」→「断言する」、「余分な贅肉」→「贅肉」など

【2】言いたいことが分からない

丁寧に読み進めていっても結論が分からない文章は、何が言いたいのかはっきりしません。読み手は、知りたい情報を一向に手に入れることができないので、気持ちが文章から離れていきます。

◇「結論→説明」の順番で書く

出来事を時系列に書いたり、根拠や理由から示したりするのではなく、「伝えたいこと(読み手が知りたいこと)」を最初に書きます。次に、結論に至った経緯、理由、根拠、補足などを記します。知りたい情報を先に示すことで、読み手の関心を引きつけることもできます。

何から先に書こうかと迷うことがなくなり、書くスピードがアップします。文章の流れが良くなり、情報の過不足がなくなる効果もあります。

【3】見た目が整っていない

見た目とは、紙面や画面の字面のことです。行間が狭く、改行が少なく、漢字の多い文章は、文字でびっしりと詰まった印象になります。読み手は、見た目の圧迫感で読む気が失せてしまいます。

◇余白を作る

行間に適度な間隔を設け、内容の区切りで1行空けるようにする。余白が増えることで、文字の読みやすさが改善されます。

◇ひらがなと漢字をバランスよく使い分ける

漢字の多い文章は、パッと見て堅苦しい印象を与えます。漢字よりひらがなが多い文章は、優しく、親しみやすい印象を持たれ、内容がすんなりと頭に入ります。「漢字2~3割」「ひらがな7~8割」を一つの目安としてください。

「件名」に「こんにちは」を書かない

ビジネスシーンで使うメールやチャットは、ひときわ簡潔で明瞭な書き方が求められます。ビジネスメールを書く上で注意したいポイントが三つあります。

〈1〉件名は具体的な要件を書き、読み飛ばされないようにする

〈2〉あいさつ文以降の3行に要件をまとめる

〈3〉1文が長くならないようにする。1文に複数の要素を入れない。

メールやチャットは、上から下へ読み進めるので、最初に要件や結論をまとめて書くことが大切です。

大量に送られてくるメールの処理作業で忙殺されるというビジネスパーソンは、緊急性のないメールは後回しにします。要件が分からないメールは、二度と見返さないかもしれません。メールは「件名」と「最初の3行」で、要件が分かるように書くことを心がけてください。

件名に「こんにちは」や「はじめまして」といったあいさつを書く人もいますが、「〇〇の件」や「会議の日程について」などと具体的に内容を示すのが望ましいでしょう。【明日の会議について】というビジネスメールを送ることを想定し、伝わりにくい「悪い例」と分かりやすい「良い例」を比べてみましょう。

〈悪い例〉

会議は明日の午前9時から、本社3階の第1会議室で行い、進行がとても遅れている新商品の販売促進プランについて、できるだけ早くスタートするための方法を話し合います。

〈良い例〉

会議は明日の午前9時から行ないます。
場所は本社3階の第1会議室です。
新商品の販売促進プランについて話し合います。

・伝えたい要件が3つ以上ある場合は箇条書きにする
・人によって受け止め方が異なる形容詞や副詞(「とても」「すごく」「できるだけ早く」など)を数字に置き換える

「とても遅れている」→「予定より2週間遅れている」
「できるだけ早く」→「5月1日にはスタートできるように」

既読スルーをされる原因は?

LINEのやりとりで、相手がメッセージを読んだのに返事のない「既読無視(スルー)」に気をもむ人もいるでしょう。「何か気に障るようなことを書いたかな」「仕事の邪魔をしてしまったかも」などと心配になります。何度も繰り返される既読スルーに怒りをぶつける人もいるでしょう。でも、既読スルーをされることが多いのは、返事にとまどってしまうメッセージの文章に原因があるかもしれません。

そこで、既読スルーをされないメッセージのポイントを三つ紹介します。

〈1〉長い文章を書かない

送られてきたメッセージがあまりにも長文だと、相手は気軽に返事をするのをためらってしまいます。「ちゃんと考えてから返事をしなきゃ」とあれこれと悩んでしまっているかもしれません。

また、送られてきたメッセージが、返事を期待されているのか分からない場合も少なくありません。

「やっと金曜日だ。今週もおつかれさま」
「新宿でかわいいビーサン発見。今年はどこの海に行こうか考え中」

送ったメッセージが、このように独り言かと思うような文章の場合、既読スルーを責めても、相手は「まさか、返事を求められているなんて思わなかった」と困ってしまうでしょう。

コミュニケーションという点では、相手が返事をしやすい文章を書くことが何より大切なのです。

〈2〉スタンプだけを送らない

LINEのスタンプは、相手からのメッセージを無視せず、何らかの反応を示す方法として便利なツールです。ただ、スタンプを使うことで、会話を続ける意思がないサインと受け取る人もいます。「会話を続けたい」「返事がほしい」という場合は、スタンプだけを送るのではなく、一言メッセージを添えるといいでしょう。

〈3〉約束を提示する

「来週の土曜日、東京へ行くので都合が良ければ飯でもどう?」「ゴールデンウィークに大学時代の仲間で集まろうよ」といった内容のメッセージを送ったのに、既読スルーをされたら、どうしたらいいか困ってしまいます。

返事がほしい場合は、期日を設けて回答の約束を提示することです。「今週の水曜までに返事をお願いします」「来週の日曜までに、都合のいい日を教えてください」といった内容を付け加えれば、既読スルーで放置されることは避けられるでしょう。

文章が上達する「二大秘訣」

多くの人が、文章を書くことに漠然とした苦手意識を持っています。というのも、ほとんどの人はまとまった文章を書いたことがなければ、文章術をきちんと習ったこともありません。

メールやチャット、SNSで書くメッセージは長文ではありませんが、適切な言葉で要点をおさえ、短い文章で的確に伝わるように書くのは簡単ではありません。

文章が上達する方法として、多くのハウツー本が紹介する「二大秘訣」があります。

【1】名文を多く読む

名文といっても、好きな作家、憧れているジャーナリスト、ビジネスで成功した起業家など好みの本で構いません。ちょっと背伸びをした内容、自分の目的に合ったビジネス書、気になっているエッセイなどもおすすめです。

多くの名文を読むことは、〈1〉語彙が増える〈2〉言葉使いを学べる〈3〉文章のリズムを身に付けられる――という、文章が上達するための三つのメリットがあります。

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写真はイメージです

【2】名文を書き写し、まねをする

ジャーナリストの池上彰さんは自著の中で、NHKに入った当時、「先輩記者が書いた原稿をひたすら丸写しした。さらに、ラジオの全国ニュースを録音し、それを書き起こした」というエピソードを紹介しています。

原稿用紙に手書きで写す必要はありません。パソコンのキーボードで入力しても、スマートフォンで打ち込んでも構いません。大切なのは、書く体験を通して、新しい言葉やフレーズ、言葉の使い方、文章のリズムを意識することです。

読売新聞の「編集手帳」や朝日新聞の「天声人語」などのコラムの書き写しも文章上達に効果的です。時事問題のとらえ方を知ることもでき、文章の構成力を身に付けるのにうってつけです。

上司に提出する企画書、プレゼンテーションで使うパワーポイント、日常的にやりとりするメール……。「感じがいい」「分かりやすい」と思う文章のお手本は、身近にもあるはずです。

文章を書くのが苦手という人は、お手本となる文章を見つけ、書き方や見た目をまねしてみることから始めましょう。書くことを積み重ねていくことで、自然と伝わる力も身に付いていきます。

(読売新聞メディア局 鈴木幸大)

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藤吉 豊 (ふじよし・ゆたか)
株式会社文道代表取締役

有志4人による編集ユニット「クロロス」のメンバー。日本映画ペンクラブ会員。編集プロダクションにて、企業PR誌や一般誌、書籍の編集・ライティングに従事。編集プロダクション退社後、出版社にて、自動車専門誌2誌の編集長を歴任。2001年からフリーランスとなり、雑誌、PR誌の制作や、ビジネス書籍の企画・執筆・編集に携わる。インタビュー実績は2000人以上。