「ミス日本」新大会委員長が語る、水着審査を廃止した理由

インタビュー

和田あい新大会委員長と昨年12月に生まれた長男

「日本女性の美の最高位」を選ぶ「ミス日本コンテスト」は、53回目を迎えた今年の大会から、水着審査が廃止されました。「日本らしい美しさ」を磨き上げ、社会で活躍する女性の後押しをしてきた同コンテストは、SDGs(持続可能な開発目標)にも積極的に取り組んでいます。昨年8月には、大会委員長が25年ぶりに交代し、和田あいさんが新たに委員長に就任しました。和田さんに、新時代を迎えた「ミス日本」について聞きました。

なぜ、肉体美の審査が必要なのか

――新型コロナウイルス感染拡大に伴う緊急事態宣言で、1月に開催予定だった大会が3月に延期になるなど、就任早々、ご苦労が多かったと思います。

コロナ禍で緊張の連続でした。会場の消毒はもちろん、問診も徹底し、大会前にファイナリストには全員、医師による抗体検査を実施しました。「問題なし」という結果が出るまでドキドキでした。一番の課題は、ファイナリストたちのモチベーションをどう維持するか。大会に向けて研さんを続けてきたのに、2か月間、延期になりましたから。ファイナリストたちの不安を少しでも解消できればと、ミス日本運営委員会(メンバーはOG有志)がオンライン相談会を提案してくれたんです。ファイナリストたちは、出場経験者のアドバイスで気持ちを持ち直し、大会までの期間を乗り切ることができました。

――今回から水着審査が廃止になるなど、大きな変化もありました。

大会委員長に就任したのを機に、私から水着審査廃止を提案させていただきました。もともと、第1回大会(1950年)に水着審査はありませんでした。ミスコンというより、アメリカとの友好を図る親善大使の選考会だったんです。その後、時代に即した美を備えた女性を選出するコンテストになり、2回目以降は水着審査が採用されました。現在のミス日本は、公的な立場としての活動が大半で、親善大使の役割を担った初代のミス日本に近いと言えます。こうした背景から、水着審査の廃止を決めました。

――代わりに今大会では、スポーツウェア審査が採用されました。

ミス日本は、「内面の美」「外見の美」「行動の美」という3つの美を推進しています。「外見の美」は顔かたちの美しさだけではなく、その人の「鍛錬」を意味します。均整の取れたプロポーションは鍛錬のたまもので、怠惰な生活をしていたのでは、なし得ません。世界で活躍する女性は、心身ともに健全で、元気にあふれていることも重要です。日々の鍛錬の結果である「美しい肉体」を審査する必要性に変わりはなく、スポーツウェアでの審査にしました。

2021年からスポーツウェアでの審査に変更

ミス日本の活動は、SDGsへの貢献につながる

――ミス日本は、グランプリだけでなく、ほかのミスコンには見られない特徴的な賞が多いですね。

例えば、「水の天使」は、国土交通省や厚生労働省と連携して、全国の浄水場・処理場などでのイベント参加やポスターモデルなど、「水の広報官」的な活動が多いです。「みどりの女神」は、つなぎ服にヘルメット姿で林業をPRしています。ミス日本たちはそれぞれ、自分の役割に合わせた資格を取ることもあります。

――ミス日本は、美しいドレスを着て、にっこり笑っているだけではないのですね。

ミス日本には、それぞれに様々な役割があります。自分で考えて目標を見つけて、そこへ向かって努力します。例えば、イベントに参加するたびに、「きょうの課題はこれだから、これをやってみよう」と、その課題をクリアしていく。その積み重ねが成長につながります。受賞した直後から、1年後の任期を終えたミス日本は顔つきが変わっています。私たちは、「美人を選んでいる」のではなく、彼女たちを磨き上げて「美人を作っている」のだと思っているんです。

――SDGsへの取り組みについて教えてください。

SDGsが求めているのは「行動変容」です。これまで普通だと思っていたことも含めて、行動を見直したり、行動する際にはSDGsに照らし合わせることが重要だと思っています。各自が知り得たSDGsへの貢献を、実際に実行に移すことが大切。プラスチックを使わない・選ばないことや、違法伐採でない木材(認証材)を選ぶなど、海洋汚染や温暖化につながる行動を取らないように、意識することをファイナリストたちに教えています。

大会直前に出産、働くママとしてミス日本を支える

――ファイナリスト発表と最終審査の間に出産されたと聞きました。

昨年の12月7日にファイナリスト発表の記者会見があり、8日に残務整理、9日に入院して、10日に出産と、絶妙なタイミングでした(笑)。

ティアラを松井さんに授与する、あいさん(左)

――これからは仕事と子育ての両立が大変ですね。

夫もすごく協力的ですし、周りの方々にも助けていただいています。大会準備で忙しい時、ミス日本やOGたちが子どもの面倒を見てくれて、本当に助かりました。

――日本一の美女がベビーシッター! お子さんがうらやましいです(笑)。女性の活躍が期待される時代、次世代のミス日本に望むことは何でしょう。

みなさんは、ミス日本と聞くと、「おしとやかな美人」という漠然としたイメージがあると思います。私は、それを打ち壊したいんです。きれいなだけの女の子がミス日本を目指しているわけではありません。「こういう活動がしたい」「こんな女性になりたい」という夢を抱いて、応募してくる方がほとんどです。SDGsも行動変容をうたっています。ミス日本を目指す女性たちも、自分の行動を変えていってほしい。誰かの敷いたレールの上を歩くのではなく、自分でレールを敷く女性になってほしいです。

――和田さんご自身の目標は?

まずは、仕事と育児の両立です。そこから、新たな仕事に向かって走り出したいです。ミス日本を、社会で活躍する強く美しい女性を育てられる機関にしたいと思います。

(読売新聞メディア局 後藤裕子/撮影:高梨義之)

第53回ミス日本グランプリが決定

「ミス日本コンテスト2021」がこのほど都内で開催され、関西学院大学4年の松井朝海(まつい・あさみ)さん(22)がグランプリに輝きました。松井さんは、「絶対王者」の異名を持つ競艇選手・松井繁さんの娘で、将来の夢はファッションモデル。「グランプリの名に恥じないように、いつか父を超えたと思えるよう、精いっぱい頑張ります」と今後の抱負を語りました。

左から、ミス日本「ミススポーツ」高垣七瀬さん、ミス日本「みどりの女神」・ミス日本「ミス着物」小林優希さん、「ミス日本グランプリ」松井朝海さん、ミス日本「水の天使」嶺百花さん、ミス日本「海の日」吉田さくらさん

ミス日本「水の天使」は嶺百花(みね・ももか)さん(20)、ミス日本「みどりの女神」とミス日本「ミス着物」は小林優希(ゆうき)さん(21)、ミス日本「海の日」は吉田さくらさん(20)、ミス日本「ミススポーツ」は高垣七瀬(ななせ)さん(22)が受賞しました。また、応募に関わらず、美と健康の資質を持った女性のさらなる活躍を応援する特別賞「和田静郎特別顕彰ミス日本」には、東京五輪空手日本代表の清水希容(きよう)さんが選ばれました。

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和田あい(わだ・あい)
一般社団法人ミス日本協会理事・ミス日本コンテスト大会委員長

 1983年生まれ。早稲田大学教育学部卒業。University of the Arts London や Instiute Marangoni Parisのデザインコースを終了後、2015年にミス日本チーフマネジャーに就任。16年伊勢志摩サミットや19年ラグビーワールドカップなど、国際的な場面にミス日本が登場する案件を獲得した。20年、ミス日本コンテスト大会委員長に就任。