生理なのにナプキン買えない女子学生が2割も…なぜ?

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東京・豊島区役所の窓口。カウンターに置かれた専用のカードを提示するだけで受け取れるよう配慮した
東京・豊島区役所の窓口。カウンターに置かれた専用のカードを提示するだけで受け取れるよう配慮した

経済的な事情などで生理用品を十分に用意できない「生理の貧困」が問題になっている。コロナ禍でアルバイト収入が減った若者らを中心に深刻化しており、自治体や民間企業による生理用品の無償配布といった対策が始まった。

5人に1人が「入手に苦労」

生理に関する啓発活動を行う任意団体「#みんなの生理」が2月から高校生、大学生らを対象に行ったアンケートでは、3月2日までに回答した671人のうち、過去1年に金銭的理由で生理用品の入手に苦労した若者は20%に上った。生理用品以外のものを使った人は27%、交換頻度を減らした人も37%いた。

アンケートでは「もう少し安くなれば生活費に回せる」「月経困難症で産婦人科に通うが母子家庭で経済的に厳しい」という声も。共同代表の谷口歩実さん(23)は「想像以上に深刻。行政と連携し、学校や公共施設で無償で手に入る仕組みを作りたい」と話す。

虐待や性暴力被害に遭った女子中高生らを支援する一般社団法人「Colabo(コラボ)」(東京)が開催する10代向けの移動式バスカフェでも、生理用品は最も持ち帰られるものだという。代表の仁藤夢乃さんが支援してきた少女の中には、介護用オムツやトイレットペーパーで代用したり、一日中同じナプキンを使用したりするケースもみられた。「虐待で手に入れられないこともある。生理の貧困が問題になるのは、それだけ女性が困窮している証しです」と訴える。

自治体などが無償配布始める

こうした現状を受け、ナプキンを無償配布する動きも出てきた。

東京都豊島区は防災備蓄用のナプキンなどを詰めた約1000セットを、区役所などで配布した。東京都足立区も防災備蓄用を配った。東京都は配布を希望する市区町村へ備蓄品を送るという。兵庫県明石市は4月から市立小中学校や公共施設などで配布する。国も、コロナ禍で困窮する女性支援のための交付金を拡充し、生理用品の提供も使途に加えた。

ヘルスケア事業を手がけるオイテル(東京)は、ナプキンの無償提供サービス構築に取り組む。トイレの個室に設置したディスペンサーに、アプリをダウンロードしたスマートフォンをかざすと1枚提供される仕組み。画面に広告を流し、得られた収入でナプキン代を賄う。

オイテルのナプキン無償提供サービス。スマホをディスペンサーにかざす(同社提供)

2月下旬から約1か月行った埼玉県内のショッピングモールでの実証テストでは、3月17日までに1000枚以上が提供された。今夏からの本格稼働を目指している。

生理用品の歴史を研究する歴史社会学者の田中ひかるさんは「SNSの発達などにより、生理について語る風潮ができ、そこにコロナ禍での生活困難が重なって、生理の貧困への関心が高まったのだろう。生理についてより語りやすい環境作りや、生理にまつわる様々な情報発信の強化も必要だ」と話す。

生涯にナプキン1万枚を使用

生理にかかる金銭的負担は大きい。

花王によると、女性の生理期間は生涯で8~9年分にあたる。12~50歳まで生理があるとして、平均的な周期などを基に試算すると、計約1万枚のナプキンを使用するという。同社の2019年の調査では、20代の約8割が生理用品は機能よりも価格を重視すると答えた。生理用品を軽減税率の対象にするよう求める署名活動も行う「#みんなの生理」の谷口さんは「専用の下着や生理痛を緩和する鎮痛剤なども含めると、費用はさらにかさむ」と話す。

海外では、生理用品を非課税にしたり、学校での無償配布が決まったりと、生理の貧困解消に向けた動きが広がっている。

(読売新聞生活部 野倉早奈恵)

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