就寝中に必ず目を覚ます…眠りを妨げる「睡眠ハラスメント」とは?

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3月19日は世界睡眠デー。日本人の睡眠不足、原因と快眠のヒント 大手小町 読売新聞
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3月19日は「世界睡眠デー」。世界睡眠学会が、睡眠の重要性を啓発するために定めた記念日です。日本は世界的にみて、睡眠不足が蓄積する「睡眠負債」を抱える人が多い国として知られています。日本人が睡眠不足に陥る原因と、快眠のためのヒントを探りました。

コロナ禍でストレス、眠れない人6割

ドイツのマットレスメーカーの日本法人「エマ・スリープ・ジャパン」(本社・東京)はこのほど、「コロナ禍における日本人の睡眠に関する意識調査」を発表しました。調査は今年2月、20~60歳の男女約1000人を対象に、インターネット上で実施。新型コロナウイルス感染拡大のストレスなどで、約6割の人が「熟睡できない」「寝付けない」と感じていることが分かりました。一方で、コロナ流行前後の起床時間、就寝時間を尋ねたところ、コロナ流行後に就寝時間が早まり、起床時間は遅くなった結果、睡眠時間が5分ほど増えました。

エマ・スリープ・ジャパンの発表会に出席した江戸川大学社会学部教授で医学博士の福田一彦さんによると、日本は、韓国、台湾などとともに、世界で1、2位を争う「睡眠負債」の多い国・地域として知られています。これらの国・地域には、夜、室内を明るくする文化が浸透している点が共通しているといいます。特に日本は、幼児から成人まで年齢に関係なく睡眠時間が短く、OECD(経済協力開発機構)加盟国の平均値と比較すると、1時間から1時間半ほど短いそうです。「睡眠不足や、極端な朝寝坊、夜更かしの人ほど、不健康を訴える傾向にあります」と福田さんは話します。

「子供がトイレに」「夫がいびき」ハラスメントに遭う女性たち

睡眠不足の原因は、ストレスで寝付けなかったり、夜更かしをしたりといったことだけではないようです。ベッドや布団で誰かと一緒に寝ている女性の半数が、無意識での「睡眠ハラスメント」で目を覚ましている――。そんな実態が、オーストラリアの寝具メーカーの日本法人「コアラスリープジャパン」(本社・東京)が行ったインターネット調査で明らかになりました。

調査は今年3月上旬、16~69歳の男女1000人に実施。ベッドや布団をパートナーや子供と共有している人は、一人で寝ている人よりも睡眠満足度が低く、とりわけ、子供と寝ている割合の高い女性は、阻害行為(ハラスメント)によって就寝中に目を覚ます頻度が高いという結果となりました。

誰かと寝ている女性に対して、どのような行為が睡眠を妨げるかを聞いたところ、50%が「パートナーや子供がベッドなどに入ってきた時、必ず目を覚ます」と回答、46%が「パートナーや子供がトイレに行く時、必ず目を覚ます」と答えました。また、「一緒に寝ている人の寝返り」で必ず目を覚ます女性が44%に上り、睡眠を妨げる行為として代表的な「いびき」で必ず目を覚ます女性(40%)を上回る結果となりました。こうした妨害行為について、「一緒に寝ない」「別々の部屋で寝る」といった対策を講じている人は、12%にとどまっています。

良い眠りのための3つのヒント

福田さんが、良い眠りに導くための三つのヒントを説明してくれました。

〈1〉寝室の照明よりリビングの照明が大事

「寝室の照明にこだわる人は多いけれど、寝室に入ったときはすでに手遅れです」と福田さん。日本では、リビングルームに白い明かりを採り入れている家庭が多いですが、福田さんは「白い明かりにはブルーライトが含まれており、寝付きが悪くなります。寝室の照明やスマートフォンのブルーライトを気にするよりも、リビングなど寝る前に過ごす部屋の環境が大切なのです。温かみのあるオレンジ色の照明に変えれば、睡眠の質も良くなるでしょう」と話します。

3月19日は世界睡眠デー。日本人の睡眠不足、原因と快眠のヒント 大手小町 読売新聞
寝る前に過ごす部屋には、温かみのあるオレンジ色の照明を

〈2〉週末の寝だめ、昼寝はNG

せっかく平日に早寝早起きの規則正しい生活をしても、週末に朝寝坊をして寝だめすれば、逆効果で健康状態が悪くなります。「例えるなら、週末に日本からインドに旅行して、月曜日に帰国し、週の前半を時差ぼけの状態で働いているのと同じ」と福田さんは言います。健康維持には、毎日同じ時間に寝起きするなど、規則正しい睡眠が大事で、昼寝よりも夜の眠りを増やす方が効果的。夜勤や交代勤務で働く人は、睡眠が不規則になりがちで、発がんリスクが高まるとの研究結果もあるそうです。

〈3〉入浴で体温をコントロール

お風呂は40度を超えない温度で、寝る時間より1時間以上前に入るとよいそうです。入浴で一時的に上昇した体温が、下がり始めるタイミングで就寝すると、スムーズに眠りにつけます。

コロナの影響で在宅時間が増えたことで、夜更かし、朝寝坊気味になり、平日と休日の睡眠時間の差が縮まっている人が増えているのは、世界的な傾向。生活リズムの乱れは気になるものの、日本人の睡眠時間が長くなっていることは、良い傾向といいます。福田さんは「十分な睡眠は、生産性の向上にもつながります。規則正しい生活、照明のコントロールなど、できるところから取り組んでみてください」とアドバイスしています。

一方、睡眠ハラスメントによる寝不足は、自分一人の努力では解消が難しいのは確かですが、ベッドを2台にしたり、寝返りを感じさせにくいマットレスを使用する、パートナーが寝室に出入りする際、できる限り明かりを落とすといった配慮で、一定の効果がありそうです。

気候もよくなり、「春眠暁を覚えず」とは言いますが、朝寝坊も寝だめもNG。早寝早起き、規則正しい生活リズムを心がけ、心も体も健やかに過ごしたいものです。

(読売新聞メディア局 谷本陽子)

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