生理痛で薬を飲む以外にすべきこと、産婦人科受診のタイミングとは

News&Column

腹痛で起き上がれない女性
写真はイメージです

生理になると、おなかや腰のあたりが痛くなって日常生活にも支障が出てしまう。生理痛に悩む女性たちの声が読売新聞の掲示板サイト「発言小町」に寄せられています。毎月、繰り返すことだけに憂うつになる人も。生理痛はなぜ起こるのでしょうか。そのメカニズムと対処法について、東京・墨田区の産婦人科医、内山心美さんに聞きました。

15分も続く痛み、「言い訳」と言われても…

高校3年生のトピ主「バスケ大好き」さんは、1年以上前から生理痛がひどくなってきて、生理の初日はお腹が痛み、立ち上がるのもやっとという状態になってしまうそう。毎日の習慣にしていたランニングをせず、トイレ掃除をしなかったところ、母親から「そんなの言い訳でしょう」とひどく怒られたと言います。「痛みはいきなり来て、15分間続くこともあります。自分の心に打ち勝つためにはどうすればいいでしょうか? みなさんご意見ください」と発言小町で呼びかけました。

この投稿に、複数の反響が寄せられました。

「鎮痛剤は試しましたか?」(「ルイボス」さん)、「生理痛は精神論ではありません。痛みがひどい時に激しい運動は避けた方がいいです」(「くろねこ」さん)、「生理痛がひどいのは、つらいですね。私は20歳で子宮内膜症の手術を経験していますが、若い頃は生理痛がひどくて、兄に鎮痛剤を買いに走ってもらったこともありました。うずくまるしかできなくて……」(「yorkshire」さん)などです。

仕事のパフォーマンス低下を実感 45%

生理痛は個人差が大きいと言われますが、日常生活に影響が出る人も少なくありません。日本医療政策機構が2018年に実施した「働く女性の健康増進調査2018」によると、生理の始まる前のPMS(月経前症候群)や生理痛などの月経付随症状によって仕事のパフォーマンスが半分以下になると回答した人は45%にのぼっています。

東京都墨田区で「のぞみ女性クリニック」を開業している産婦人科医で漢方専門医でもある内山心美さんに対処法などを聞きました。

「のぞみ女性クリニック」院長の内山心美さん
「のぞみ女性クリニック」院長の内山心美さん

「月経中におこる腹痛、腰痛、倦怠感などの症状が強く、日常生活に支障を起こす場合を月経困難症と言います。頭痛や吐き気、食欲不振などの症状を伴う場合もあります。仕事を欠勤せざるを得ない、学校で保健室に駆け込むなど、人によって症状や程度は違いますが、病気が隠れていることもあるので、ぜひ婦人科に相談してほしいです」と内山さん。

服薬頻度・経血量・周期など記録をつけることから

生理痛は、大きく「機能性」と「器質性」に分かれます。「機能性」は原因となる病変がなく、子宮を収縮させるプロスタグランジンの分泌量が多かったり、子宮口(子宮の入り口)が狭く未熟なため経血をスムーズに送り出せなかったり。月経への負のイメージなど心理的要因も関係するとされ、初経後数年から25歳までの女性に多いといわれています。子宮内膜症や子宮腺筋症、子宮筋腫などの病気が原因となって起きる「器質性」と分けて考えられますが、どちらにしても、婦人科で病気がないかどうかをチェックしない限り、断定ができません。

ただ、婦人科を受診することに抵抗感をおぼえる女性も少なくありません。「『我慢すれば何とかやり過ごせる』と生理痛を放置してしまう方もいると思いますが、痛みの程度や経血量、月経周期などは自分のからだからのサインだと思って記録し、それをもとに受診されるといいですね」と内山さんは強調します。

具体的には、
(1)鎮痛剤の服用
市販の鎮痛剤で、痛みがおさまるようなら、ためらわずに服用を。ただし、服用頻度が高まることもあるので記録をつけること。鎮痛剤服用に由来する頭痛なども考えられるためです。

(2)経血量
徐々に変化することが多く、本人が気づきにくいのが難点です。昼間の数時間で、夜用の生理用ナプキンやタンポンから漏れ出すような状態なら、月経過多を疑います。

(3)月経周期日数
正常なのは25日~38日周期と言われています。変動は6日以内程度。出血が続くのは3~7日。これにあてはまらないようなら、月経不順を疑います。

などがあげられます。

また、受診のタイミングとしては、生理直後が良いそうです。「内診して子宮の状態を確認するためです。ポリープなどを見つけやすいのもこの時期です」と言います。

ピルの服用で生理痛が和らぐ場合も

激しい生理痛を訴えてきた20代の女性が内診の結果、子宮内膜症とわかったこともあります。低用量ピルを処方して経過を見ているところですが、本人からは「生理痛が和らぎました」と言われたそうです。「月経困難症や月経過多のある方には子宮内膜症や子宮筋腫などが隠れている可能性があります。我慢していると、診断および治療の遅れにつながり、将来的に不妊となる可能性があるので、早めに受診してほしいと思います」と内山さん。

漢方の生薬の見本(東京都墨田区の「のぞみ女性クリニック」で)
漢方の生薬の見本(東京都墨田区の「のぞみ女性クリニック」で)

漢方専門医としては、患者さんの話をよく聞いたうえで、舌の状態を見たり、お腹を触ったりすることもあるそうです。漢方医学では、人間の体は「気・血・水(き・けつ・すい)」がバランスを取り、互いに循環していれば健康な状態と考えますが、過労やストレスによりその流れや量のバランスが崩れていないか、確認するためです。生理痛に悩む人には、「血」の流れが滞っている「瘀血(おけつ)」が見られることが多く、状態を改善するための漢方薬も、保険診療の中で処方しています。

「女性は初経の時から、妊娠、出産、閉経まで、さまざまな健康問題に直面することが多いですね。生理痛という身近な問題でも、どんな選択肢があるのか、かかりつけの婦人科医がいれば、いろいろ相談することができます。一度の受診で済ませるのではなく、継続的に同じ医師にかかることも大切だと思います」と内山さんは話します。

(読売新聞メディア局 永原香代子)

【紹介したトピ】
生理痛

内山心美(うちやま・のぞみ)
「のぞみ女性クリニック」院長

産婦人科医。昭和大学産婦人科学教室、各関連病院勤務、北里大学東洋医学研究所漢方研修生、昭和大学江東豊洲病院助教などを経て現職。「予防医学」「未病」の考えのもと、女性に関するさまざまな病気、トラブルを最小限にして笑顔で過ごしていただくことを願い、2020年9月に産婦人科、漢方内科の「のぞみ女性クリニック」を開業。日本産科婦人科学会 専門医 指導医、日本東洋医学会 漢方専門医、日本女性医学学会 女性ヘルスケア専門医、女性ヘルスケアアドバイザー。