OTEKOMACHI(大手小町)では3月8日の国際女性デーに合わせ、女性の活躍やダイバーシティー&インクルージョンの推進に大切なことは何か、メッセージを寄せてもらいました。
命と生活を守る防災活動に災害弱者が加わることは不可欠です。現実には世界の多くの国々で、女性や女児が自分たちの生活や人生そのものを左右する決定に加われず、災害による死亡率、疾病率、生活手段喪失の割合は、男性や男児より高くなっています。
2004年のインドネシア・スマトラ島沖大地震及びインド洋津波では、日頃から子どもや高齢者の世話をしている多くの女性が家族、親戚を捜すため避難しなかったことが原因となり、男性の約4倍の現地女性が死亡しました。途上国では、泳ぐことを教えられない女児は男児よりも多く、被害の増大につながっています。また干ばつが多発する国・地域では、水くみや家族の世話をする女児が学校を欠席する可能性が高いことも知られています。災害が女性や女児に与える影響を軽減するための対策には、性別、年齢、障害の有無などについてのデータが必要ですが、残念ながら、まだ災害が男性と女性に与える影響の差異を十分に理解するために必要なデータは不足しています。
こうした状況を改善するためにも、防災分野における女性のリーダーシップを促進し、支援することが重要です。何よりも、効果的な防災計画の策定に女性が関わることが必要です。災害弱者が何を必要とするかは、その立場にある人にしかわからないことが多いからです。国連防災機関は昨年、「防災に関する女性の国際ネットワーク」というイニシアチブを立ち上げ、アジア太平洋地域で防災分野における官民の活動への女性の参画、リーダーシップ発揮の増進に取り組んでいます。
東日本大震災からの復興においても、女性特有のニーズに対応する被災地女性グループによる支援活動の展開など、女性の活躍が見られます。シングルマザーや障害をもつ女性など震災以前から困難を抱えていた女性たちの災害時の状況やニーズを調査するための研究や活動も進んでいます。子育てをしながら1日数時間からでも仕事を始められるシステムを立ち上げた福島の女性起業家の事業は、女性の仕事復帰や新しいスキルを身につけるきっかけに繋がり、福島の復興街づくりにも貢献しています。女性による復興への取り組みは東北からの力強いメッセージであり、コロナ禍においても多くの学びとなります。
女性があらゆる決定過程に加わりリーダーシップを発揮する社会は、女性のみならず、男性、社会全体の強靭性を生みます。社会の多様性をスローガンから現実にすることは、喫緊の課題です。