しっとり系? ホクホク系? おいしい焼き芋作るには 

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焼き芋を食べる親子
写真はイメージです

寒い日に心まで温めてくれるホッカホカの焼きいも。最近は、サツマイモの種類も豊富になって、自宅で焼き芋づくりにチャレンジする人が増えているようです。読売新聞の掲示板サイト「発言小町」には、「しっとり焼き芋をつくりたい」という投稿が寄せられています。どうしたら屋台で売っているような味を再現できるのでしょうか。埼玉県戸田市で焼き芋の移動販売をしている「阿佐美や」のいも子さんに話を聞きました。

トピ主「芋子」さんは、大の焼き芋好き。「紅はるか」という品種のサツマイモを買ってきて、自宅のオーブンで焼いてみましたが、お店で買った焼き芋のような「しっとり感」が出ないそうです。レシピを調べては、オーブンに入れる前にぬらしたキッチンペーパーで包んだり、アルミホイルで包んだりと試行錯誤を繰り返していますが、それでも納得のいく出来栄えにはなりません。そこで、「料理上手な小町の皆さま。こうしたらお店のようなしっとり焼き芋ができるというコツがあったら教えていただきたいのです」と呼びかけました。

品種によって違うサツマイモ愛

ホカホカの焼き芋
写真はイメージです

この投稿に対し、数多くの反響がありました。サツマイモの品種には大きく分けて、水分が多くて粘り気のある「しっとり系」と、水分が少なめの「ホクホク系」があり、まずふだん使っているイモが自分好みのものかどうかを確かめたほうがいいという意見が目立ちました。

「お芋の種類、きちんと、しっとり系の物を選んでいますか?」(「匿名」さん)、「スーパーでの取り扱いが最も多いしっとり系は、多分『安納芋』。他にもいろいろありますので、買いに行ってみてください。個人的に、『紅あずま』と『紅はるか』は、名前が似ているので混同注意かな」(「いろは」さん)などです。

トピ主さんの挙げた「紅はるか」も、しっとり系のイモですが、「安納芋」「シルクスイート」など他のしっとり系の品種を勧める人が多くいました。「『甘太くん』は『紅はるか』を貯蔵して甘さを増したブランドのようです。甘くてねっとり、焼いただけで栗きんとんみたいです」と書き込んだのは、「只今焼き芋中」さんです。

炊飯器で手軽に作れるという意見も

炊飯器で作っている人もいました。「炊飯器で洗ったサツマイモが重ならないようにして、コップ1杯くらいの水を入れて炊きます。サツマイモは折ってもいいです。玄米モードがあれば、よりしっとりねっとりします」と教えてくれたのは「にゃんこ」さん。「玄米モード」だと低温でじっくり炊くことができ、通常の「炊飯モード」よりもねっとり感のある焼き芋ができ上がるのだとか。

逆に、昔ながらのホクホク系の焼き芋を愛する人の意見もありました。「桃花」さんは「私は『鳴門金時』の焼き芋が好みです。昔、母親がストーブの上で芋をそのまま置き、上から片手の中華鍋を被(かぶ)せて焼いていましたが、おいしかったですよ」とコメントしています。

プロが伝授、品種・時期・温度

焼き芋の移動販売店「阿佐美や」のいも子さんに、おいしい焼き芋を作るコツについて聞きました。いも子さんは、遠赤外線の熱でじっくりと焼く「壺焼き」と、石を敷いた大釜で焼く「石焼き」の焼き芋を移動販売しています。15年余りの販売経験をもとに、最近は開業講座も開いています。

埼玉県戸田市で焼き芋を販売している、いも子さん
埼玉県戸田市で焼き芋を販売している、いも子さん

「まず、食べる人の好みに合った品種であることが大切ですね。うちでは、しっとり系では、『紅はるか』『安納芋』など。ホクホク系では『鳴門金時』『紅あずま』などを用意しています。いずれも農家から直接購入したものを提供しています。ただ、サツマイモは、同じ『紅はるか』なのに、作る人によって味が違うなあと感じるときもあります。それと、食べる時期によっても違います。秋に収穫されたイモは、熟成が進みますからね。ホクホク系の品種でも、年明け以降は、取れたての時より甘みが強くなっています。ホクホク感を求めるなら秋に食べるほうがおススメです」と話します。

加熱すると甘くなるのはなぜ?

サツマイモの主成分は、炭水化物(でんぷん質)。加熱されることで、イモに含まれる「β-アミラーゼ」という酵素がでんぷん質に作用して糖を作りますが、イモの中心温度が約60~70度になると、酵素が活発に働くと言われており、この状態を少なくとも30分以上保つことが、サツマイモの甘さを引き出すコツだと、いも子さんは強調します。

家庭で簡単にできる方法は、しっとり系もホクホク系も同じ。オーブンを使った方法です。イモの大きさにもよりますが、おおむね200度で1時間。イモが小ぶりの場合は、180度に下げます。ホイルに包む必要はありません。水分を与え過ぎて、“ふかしイモ”になってしまうためです。

トースターで焼く場合は、ホイルを上からふんわり被せておくのがおススメ。800ワットの場合は、15分から20分ほど、こげてきたら裏返して、再度20分ほど焼きます。加熱時間はワット数によっても違いますが、トースターの場合は、表面がパリッとして香ばしさが引き立つそうです。

「品種や追熟の度合い、焼き方によって、いろいろな味を楽しめるのがサツマイモの魅力です。ストーブの上でじっくり焼いてもいいでしょう。ぜひご家庭で楽しんでいただければ」と、いも子さん。

発言小町の書き込みの中には、「友人が送ってくれた『シルクスイート』。160度のオーブンで90分焼いたら、超しっとりでおいしかったです。すごく太いのはもっと時間をかけました。あまりにおいしかったので、結局次々に焼き芋にして5キログラム食べちゃいました」(「ぴーぴ」さん)という声もありました。いろいろ試してみるのも楽しそうですね。

(読売新聞メディア局編集部 永原香代子)

【紹介したトピ】
しっとり焼き芋をつくりたい

阿佐美やいも子
阿佐美やいも子(あさみや・いもこ)
焼き芋移動販売店の店主

 1977年生まれ。2005年に日本唯一、軽トラの石焼芋とリヤカーの壺焼き芋の両方を移動販売する「阿佐美や」を開業。その店主となる。15年余りのノウハウが詰まった開業講座のほか、サツマイモを育てるワークショップなど行っている。HP:https://www.asamiya.org/