Perfumeも着たトモコイズミ、フワモコドレス「かわいい」理由

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トモ・コイズミが2021年春夏コレクションで発表した、フワフワのウェディングドレス(ブランド提供)

「トモ・コイズミ」のドレスが人気を集めている。色鮮やかなフリルをたっぷり使った、ボリュームのある愛らしいシルエットが特徴。有名ブランドとの共同制作も話題に。コロナ禍で業界に暗雲が立ちこめている時代だからこそ、デザイナーの小泉智貴さん(32)は「自分の感覚を信じ、自由でユニークなドレスを作りたい」と話す。

ブランドの代名詞となった不思議な球体のようなドレスは、透け感のあるオーガンディのフリルを幾重にも重ねて生まれる。

モコモコ、フワフワ……。カラフルなリボンもちりばめられ、まるでモデルを包み込むギフトラッピングのよう。「フリル自体は昔からあるもの。それをどう使うか考え、自分が好きなフェミニンなスタイルを突き詰めた」という。

東京コレクションで発表した、2020年春夏コレクション。モデルのKoki,さん(左の写真)もランウェーを歩いた(2019年10月、ブランド提供)

インスタで才能見いだされ

世界的に人気が出るきっかけはインスタグラム。2019年1月、自作のドレスの写真を投稿すると、世界的スタイリストのケイティ・グランドさんから直接、メッセージがきた。「ニューヨークでファッションショーを開かないか」

「イエスと答えてベストを尽くすしかない」と即断したが、「本当にショーを行うのか、半信半疑のまま渡米した」と振り返る。同年2月、ケイティさんらの支援を得て急きょ行われた自身初のショーは大成功。アメリカンドリームと言われた。

エミリオ・プッチと協業したコレクション(ブランド提供)

2021年春夏コレクションでは、ウェディングドレスを発表したほか、イタリアのブランド「エミリオ・プッチ」と協業。オレンジや黄色などのフリルを使ったミニドレスなどを発表した。世界のバイヤーなどから注文も相次いでいるが、いまは大量生産を考えていないという。なぜか。

「同じものを100着作るより、一つのエキサイティングなプロジェクトに力を注ぐ方が楽しい」と話す。コスチュームデザイナーとして流行に左右されず、自分が「かわいい」と信じる一点ものを作ってきたという自負もある。コレクションの発表も年1回とし、自分のペースを維持している。

 

2021年春夏コレクションは、日本の婚礼衣装から着想したという

コロナ禍で外出が減り、有名ブランドが出す服もシンプルで着心地を重視した服が主流となっている。そんな中、実用性を求めない「トモ・コイズミ」のドレスが輝きを増している。見たことのない新しさからトキメキを、非日常で夢のような世界観からワクワクをもらえるからだろう。

「服を通じて感動や楽しさを表現するエンターテインメントとしての役割を果たしたい」と小泉さんは話す。見る者を明るく、幸せな気分にしてくれるドレスの数々を、これからも楽しみにしたい。

原点は「折り紙ボックス」

小泉智貴さんは1988年、千葉県生まれ。保育園児の頃から、きれいな色に興味があり、自分だけの「折り紙ボックス」を持ち歩いていた。折るのでなく、机に並べて眺めるのが好きだったという。

「自分の感覚を信じ、自由でユニークなドレスを作りたい」と話す小泉さん

中学生の時、雑誌でジョン・ガリアーノが手がけたディオールのオートクチュール(高級注文服)を見て衝撃を受け、ファッションに興味を持つように。その年のクリスマスに、親からミシンをプレゼントしてもらい、古着のリメイクを始めた。

千葉大に在学中、自分が作った服を友人に着せてクラブに繰り出したところ、友人が雑誌に掲載された。すると、セレクトショップから「取り扱いたい」と連絡が来たことをきっかけに、2011年に自身のブランド「トモ・コイズミ」を設立した。主にコスチュームデザイナーとして活躍。女性ボーカルユニットのPerfume(パフューム)や、歌手のYUKIがライブで着る衣装を手がけた。レディー・ガガも来日した際に着用した。

(読売新聞生活部 福元理央)

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