正月明けの疲労感…それって「デジタル時差ボケ」かも!?

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コロナ禍に見舞われた今年のお正月は、旅行や帰省を控え、“巣ごもり”で過ごしている人が多いはず。例年以上に家でのんびり過ごし、つい夜更かしをしてしまうと、休暇明けの「正月ボケ」が心配になります。もしもテレビやスマートフォンなどを見過ぎて、目のかすみや疲れ、不眠などの症状があれば、それは「デジタル時差ボケ」かもしれません。眼科医の林田康隆さんに、デジタル時差ボケの特徴や予防策などについて解説してもらいました。

スマホ時間が増えると、夜眠れなくなる!?

仕事始めには、「何だか体がだるい」といった正月ボケの症状が出ることがあります。この年末年始は、「おうち時間」が増えて、昼夜を問わずスマホのゲームや動画サイトなどに熱中している人も少なくないでしょう。そうなると、正月ボケに加えて「デジタル時差ボケ」にかかる人が増えそうです。

「人間は、太陽の光とともに起床して、日が沈むと就寝する、昼行性の動物です。私たちの体内時計は、太陽の動きに合わせてリズムが働いているのです。スマホやタブレット端末、パソコンの画面から発せられるブルーライトは、『睡眠ホルモン』とも言われるメラトニンの分泌を抑制する働きがあります。夜にブルーライトを浴び続けると、明るい光を『昼』と判断して、体内時計が乱れる恐れがあるのです」と林田さんは話します。

写真はイメージです

スマホなどデジタル機器のブルーライトは、とても微弱で、少し浴びたくらいでは体に影響を与えることはありません。問題なのは、人の生活様式が変わってきていることだそうです。

「デジタル社会となって、幼少期からスマホやタブレットの利用が当たり前になり、四六時中、画面を見つめ続ける生活に変わってきました。この状況に拍車がかかれば、今後、体にどのような影響が起こるかは未知数です」

夜、寝床でスマホを見た後になかなか寝付けなくなることは、多くの人が経験しているはず。林田さんによると、ブルーライトを含む寒色系の光を見つめると、交感神経が優位となり、興奮するため眠れなくなります。その結果、夜中にたびたび目が覚めたり、眠っても疲れが取れなくなったり、日中の集中力が低下したりといった「デジタル時差ボケ」を引き起こす可能性があるそうです。日常生活で、ブルーライトを浴びる時間を最低限にするよう心がけることが大切になります。

あなたは大丈夫? 「デジタル時差ボケ」をチェック

メガネブランド「Zoff」を運営するインターメスティック(本社・東京)は昨年7月、仕事を持つ20代の男女500人を対象に、「デジタル時差ボケと睡眠に関する実態調査」を実施しました。林田さんが監修した「デジタル時差ボケチェックシート」で調べた結果、約6割の人が「デジタル時差ボケ」の症状があり、そのうちの8割以上が、デジタル機器の画面を1日8時間以上見ていることが判明しました。

林田康隆先生 監修「デジタル時差ボケ」チェックシート
□日中、眠いと感じることが多々ある。
□目の痛みや疲れ、乾きなどのトラブルを感じやすい。
□合計すると1日8時間以上、テレビやPC、スマホなど電子機器の画面を見ている。
□PC、スマホなどの電子機器は90分以上連続で使用していることが多い。
□本や漫画、雑誌を読む際は、電子書籍を利用することが多い。
□寝る前にはたいていベッドでスマホを見る。
□朝起きるときに朝日を浴びる習慣がない。
□首や肩が痛いと感じたり、凝ったりすることが多い。
□通勤や通学の移動時間など、隙間時間はスマホを見たりゲームをしたりが大半だ。
□毎日適度な運動をする習慣がない。

10項目うち6項目以上にチェックが入った場合は「デジタル時差ボケ」、4個以上の人は「デジタル時差ボケ予備軍」なので、要注意です。

林田さんによると、コロナ禍で在宅時間が長くなったことで、ネット動画やテレビを見る機会が増加。そのため、目に大きな負担がかかり、ドライアイや近視になる人が増えています。さらに、スマホなどの光源をずっと手元で見続ける生活で、ブルーライトの影響による睡眠リズムの乱れが生じてしまった人も増えているといいます。

三つの習慣で「デジタル時差ボケ」対策を

とは言え、デジタル機器は今や日常生活に欠かせない便利なツールです。「節度を持って、適切に使うことが大切」と林田さんは強調し、「デジタル時差ボケ」を回避するための「三つの習慣」を挙げてくれました。

1)朝起きたら、直射日光を浴びる
朝、少し早めに起床して、散歩することをおすすめします。適度な運動を心がけ、バランスのとれた食生活を送ることも大切です。

2)寝る前には目を温める
就寝前にホットタオルなどで目を温めると、目の周りの血行を促進して、眼精疲労が改善されます。一日中、酷使した目を休めることで、副交感神経が優位になるので、入眠しやすくなります。目をぐるぐる動かす(右回り・左回り1往復)、手元と遠くを交互に見つめる、1秒間隔でしっかりまばたきするなどの「目のストレッチ体操」も効果的です。

3)ブルーライトカットの対策をする
夜は部屋の照明やスマホ画面の光量を落としましょう。可能なら照明は暖色系にし、ブルーライトカットの眼鏡をかけることをおすすします。就寝前2時間は、デジタル機器の画面を見つめないようにしましょう。

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林田康隆
林田康隆(はやしだ・やすたか)
眼科専門医

 「医療法人社団康梓会Y’sサイエンスクリニック広尾」理事長。大阪大学大学院医学系研究科および米国フロリダ州マイアミ・オーキュラサーフェスセンターにて、眼表面および間葉系細胞の幹細胞研究に携わり、実際の細胞培養の経験もある再生医療のスペシャリスト。現在は、主に大阪で難治性白内障手術や網膜硝子体手術に取り組む傍ら、眼科の領域にとどまらず、東京では肌再生療法や脂肪幹細胞療法、免疫療法も手掛ける。