育児休業を3か月取る夫に困惑、「とるだけ育休」にしない対策は?

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政府は「男性の育児休業取得の促進」を少子化対策の一つとして掲げていますが、「家事もほとんどできないのに、夫の育休なんて迷惑」と本気で嫌がる女性もいるようです。育休中の男性の3人に1人は、家事・育児に費やす時間が1日当たり2時間以下という調査結果もあります。夫を「とるだけ育休」に終わらせないために、何をすべきでしょうか。解決のヒントを経験者に聞きました。

家事能力ゼロの夫、会社休みたいだけ?

読売新聞の掲示板サイト「発言小町」には、「主人の育休を阻止したい」というタイトルの投稿が寄せられています。トピ主「もうすぐママ」さんは、来年2月に初めての赤ちゃんが生まれる予定ですが、夫から「育児休業を3か月取る」と言われて困っています。妻の目から見ると、夫の家事能力はやる気も含めてゼロ。「そんな主人が育休を取っても何の役にも立たないし、手のかかる人間が1人増えるだけ。そもそも本当に育児をするつもりなのかも疑問で、会社を休みたいだけではないかと勘ぐっています」と率直な思いをつづったうえで、「何とか円満に主人の育休を阻止する方法はないでしょうか?」と問いかけました。

この投稿に約90件の反響がありました。そのほとんどは「最初から決めつけないで、家事も育児も手伝ってもらったら」という励ましの声です。

家事に巻き込む知恵も

「家事ができなくても育児はできるのでは?」と書き込んだのは、「ねこ」さん。「赤ちゃんが生まれるとまとまった睡眠が取れなくなるので、すごく眠いんですよ。だから家事ができない夫でも、家にいたら赤ちゃんを見てもらえばその間に寝られますよね。トピ主さんも夫さんも育児経験はゼロなんだから、スタートは同じですよね」と説いています。

「ささきさき」さんは「近くで遊びほうけられるよりは仕事に行ってくれた方が良いという気持ちはよく分かります。でも、産後はもう誰でもいいからとにかく手を貸してほしかったです、私は。自分の手があと2本あったらと何回思ったことか。『産まれてからだと、家事を教えている余裕ないから』と言って、今からでも家事を手伝ってもらえませんか? その様子を見てから判断しても良いかと思うのですが」とコメントしています。

育休夫の3人に1人は家事・育児時間1日2時間以下

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「とるだけ育休」という言葉は、乳幼児を持つ母親向けのアプリを提供している「コネヒト」(本社・東京)が2019年、公益財団法人「日本財団」と共同で行った育児に関する調査から使われるようになったようです。

この調査では、「育休中の夫(パートナー)の家事および育児時間は1日合計どの程度でしたか?」と聞いたところ、32.3%の人が「2時間以下」と回答しました。また、「ご自身と夫(パートナー)で家事や育児の役割分担は、双方納得できるカタチでできていると思いますか?」との質問に対し、「とても納得できている」または「まあまあ納得できている」と回答した人の割合は、「育休中の夫の家事・育児時間が1日5時間超」のグループでは93.2%に上りましたが、「1日2時間以下」だと48.8%。夫が育休を取得しなかったグループ(58.0%)よりも低い結果でした。せっかく夫が育休を取得しても、家事や育児に費やす時間が短ければ、妻の満足度は低くなってしまうようです。

褒めちぎってタスクを一覧表に

家事も育児も経験がないトピ主さんの夫のような場合、本人も何をやっていいかわからないし、妻も何をお願いすべきかイメージが湧かないかもしれません。

トピ主さんに「逆療法」を勧めるのは、「ちい」さんです。「『育休取ってくれるなんてなんていい旦那様!』と褒めちぎります。『私と子供のことをこんなに考えてくれているなんて、そこまで期待してなかったのでホントにうれしい。2人でがんばろうね!』とまずは宣言します。そして計画を立てるのです」

夫婦がそれぞれすべきことを細かく書き込んだ一覧表を作成します。例えば、授乳が終わった後に抱っこして、げっぷさせるのは夫の役目。夜泣きしたら1日交代でずっと面倒を見るなど。おむつ替えの時に気をつけることなども書いておきます。その一覧表を目につくところに貼り出し、夫に「子供のために家の中を良い環境に保てるよう、基礎的な家事も覚えてほしい。もうホントに頼りにしてるから、よろしくね!」と声をかける。「ちい」さんはそう提案します。

どんな過ごし方をしたいか、してほしいかを話し合う

家事能力の低い夫の育休をどう考えたらいいのでしょうか。オンラインを中心に有意義な産休・育休の過ごし方をメンバー同士で考え合う育休コミュニティ「MIRAIS」代表の栗林真由美さんに聞きました。

「現状、今後のキャリアを考えたら、1か月の育休を上司に言い出せないでいる男性は多いのは事実です。トピ主さんの夫は『3か月取る』と宣言しているのですから、かなりの覚悟で臨んでいらっしゃると思います。問題は、その3か月の過ごし方について、一方的なイメージのみでご夫婦で話し合っていないことではないでしょうか? 赤ちゃんが生まれたら、話をする時間もなく家事育児に追われる毎日になると思いますので、今のうちから3か月育休を取ることに対してどんな過ごし方をしたいか、してほしいか、きちんと話し合うといいと思います」と栗林さんは指摘します。

「MIRAIS」では今年8~9月、産休・育休中の女性や、産休・育休から復職した女性、そのパートナー計223人を対象に、パートナーシップに関するアンケート調査を実施しました。それによると、夫の勤務形態で望むことは、「定時退社」(49.8%)や「フレックス勤務」(40.2%)が多く、「育休取得」(17.7 %)を上回る結果でした。

栗林さんは「育児は何年間もずっと続くもの。もちろん、夫の育休がイベント的なもので終わると決めつける必要もないのですが、妻の見方からすれば、何でも言い合える仲の夫が、継続的に参画してくれるほうを望んでいるのでしょう」と分析します。そのうえで、「相手の可能性を信じてこそ、相手を成長させることができると思います。初めから完成されたイクメンがいるわけではなく、夫婦間で試行錯誤を繰り返す中で、『これならできる』という方法を見つけていくことができればいいと思います。例えば、育休を“家族の絆を深める期間”にしてもいいんです。本音で目標を話し合って、少しずつ歩み寄るのがいいと思います」とアドバイスします。

「とるだけ育休」にしないためにも、夫婦のコミュニケーションを大切にしたいものです。

(読売新聞メディア局編集部 永原香代子)

【紹介したトピ】

主人の育休を阻止したい