日記帳にコロナ禍のつれづれを書いてみませんか

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「日記には仕事の反省点もよく書きます。見返すと参考になります」と話す松香さん(東京都内で)

コロナ禍で日記の良さが改めて注目されている。日記帳の売り上げが伸びているほか、日記の専門店も登場。日々の暮らしぶりを記録するだけでなく、読んだ感想を投稿しあうなど、日記の楽しみ方も広がっている。

悩みや不安、「書くと落ち着く」

東京都内のPR会社で働く松香瑞葉さん(33)は「新型コロナウイルスの感染拡大で大変なこともあるが、日記に助けられている」と打ち明ける。在宅勤務が増えた今春以降、同僚とのコミュニケーション不足などで悩むことも多かった。しかし、「毎日、日記を書き、自分の不安な思いを文字にすることで、気持ちを落ち着かせることができる」と話す。

家族で交換日記、体温の記録

コロナ禍のなか日記帳が売れている。文具メーカー「デザインフィル」(東京)によると、3月以降、同社のブランド「ミドリ」の日記帳のネット販売での売り上げが毎月、対前年同月比で110~120%になった。同社が9月に購入者に聞き取りをしたところ、「家族の体温や体調を記録するのに使った」「自宅で作った料理を書いている」「親子や夫婦で交換日記を始めた」などの回答もあった。

ミドリの日記は装丁やページごとの絵柄も多様で若者にも人気

様々なデザインのものが販売されていることも売り上げ増につながっているという。ミドリでは約40種類の日記帳を扱う。洋書のような装丁や、ページごとに異なるイラストがプリントされたものなど、おしゃれなものが多い。広報担当の中村雅美さんによると、若い世代、特に女性の購入者が目立つという。

専門店のコミュニティー

日記の専門店も登場した。東京都世田谷区に4月にオープンした「日記屋 月日」は、著名人が書いた日記のほか、自費出版で発行されたものなど様々な日記本を取りそろえる。店主の内沼晋太郎さんは「日記は、自分で書くだけでなく、他人のものを読んでも面白い。人それぞれの生き方、感じ方が全く違うので味わい深い」と話す。

同店では「日記屋月日会」という会員制のコミュニティーを作っている。会員はメールマガジンなどで、自分の日記を公開したり、他の会員の日記の感想を投稿したりして交流する。「表現活動としての日記の可能性に気付くきっかけとなれば」と内沼さん。

語学習得のツールとして、日記を使うサービスも人気だ。大阪市が拠点のオンライン専門英会話スクール「英会話のニュー」には、ネット上で外国人講師と英語で交換日記をするサービスがある。書いた日記の添削と共に、講師の日記も返送される。代表の岩崎達矢さんは「語学力の向上だけでなく、文化の違いも学べる」と期待する。

ニッセイ基礎研究所主任研究員の久我尚子さんは「コロナ禍で働き方が変わり在宅時間が増えたことで、生活の質を高める消費支出が伸びている。自分を振り返ることができる日記も、その一つとして注目されているのだろう」と分析する。

1行だけでもOK、便利な無料アプリも

日記を書き始めたが、挫折した経験がある人も少なくないだろう。

自身も日記をつけている内沼さんは、「まずは、たくさん書こうと気負う必要はない」と助言する。忙しいときや疲れているときは、ひと言でも1行だけでもいい。1週間分をまとめて書いてもいいという。

日記帳をいつも目に付くところに置いておくのもおすすめ。「ふと手にして読み返すと、意外と面白く、書いてない日がもったいなく感じるようになる」と内沼さん。

日記用の便利なアプリも出ている。ミドリが提供する無料アプリ「日記のもくじ」は、思い立ったときや、印象に残った出来事や気持ちをすぐに入力できる。夜、日記帳に書き込むときに見返せるのも便利だ。毎日、指定した時間に日記帳への記入を促すメッセージも表示されるので、日記の習慣化もサポートしてくれるという。

(読売新聞生活部 野倉早奈恵)

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