コロナ禍のイルミネーション、デザイナーが光に込めた願いとは?

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東京・丸ビルのクリスマスツリー

師走の街を彩るイルミネーションがともり始めました。新型コロナウイルスの感染拡大が続き、暗くなりがちな心を「希望の光」が照らします。全国各地で光の演出に携わる空間デザイナーの第一人者、長谷川喜美さんにイルミネーションの楽しみ方を聞きました。今年の主なイルミネーションの特徴と見どころを紹介します。

東京・丸の内「愛と希望」

JR東京駅周辺の丸の内エリアでは、丸ビル、新丸ビル、丸の内オアゾなどを会場に、「Marunouchi Bright Christmas 2020 ~LOVE & WISHES~」が開かれています。丸ビルでは先ごろ、高さ約10メートルのクリスマスツリー「『Love Earth』 地球を愛する」が点灯されました。

ブランドショップが並ぶ丸の内仲通りでは、約1.2キロにわたる街路樹220本に取り付けられた約120万球のLEDが、シャンパンゴールドの輝きで街を上品に照らしています。

コロナ禍の最前線で奮闘する医療・介護従事者への感謝とともに、丸の内エリアの各会場には「愛と希望」をテーマとする光のオブジェが飾られ、写真映えするスポットとして女性グループやカップルが撮影を楽しんでいます。

東京・丸の内ブリックスクエアのオブジェ

グランフロント大阪「希望の旅」

大阪市北区の商業施設「グランフロント大阪」では、「Winter Voyage –世界を繋ぐ希望の旅」をテーマにした光の演出が楽しめます。北館1階のナレッジプラザには、気球をモチーフにしたクリスマスツリー「Winter Voyage Tree」が登場。海外への渡航が難しいコロナ禍で、早く世界中に旅ができる日が来るようにとの願いが込められています。

JR大阪駅前に広がる約1ヘクタールの「うめきた広場」周辺やケヤキ並木には、126本の樹木にシャンパンゴールドのLED約40万球が飾られ、大阪の街を輝かせています。

気球に乗って世界を旅するストーリーを表現したクリスマスツリー(グランフロント大阪)

40回目のさっぽろホワイトイルミネーション

1981年に始まった札幌市の「さっぽろホワイトイルミネーション」は今年40回目を迎えました。大通公園では、1丁目会場に赤いハートが特徴的な「ラブ・ツリー」が設置されたほか、クリスマスピラミッドをイメージした「Gift of Snow」(2丁目会場)、札幌市の木・ライラックをかたどった大輪の花「ブルーミング・ファウンテン」(3丁目会場)など、札幌ならではの光のオブジェが6丁目会場まで続きます。

色とりどりのイルミネーションが続く札幌・大通公園

大通公園のほか、札幌駅南口駅前広場、駅前通会場(北4条~南4条)、道庁旧本庁舎(赤れんが)前の北3条広場、南一条通会場でも街路樹のイルミネーションが点灯。札幌の中心部が縦横の光に包まれています。新型コロナウイルスの感染症対策として11日までは、点灯時間が午後4時~8時(変更前は10時まで)に変更しています。

長野・善光寺「希望の光」

長野市では、国宝・善光寺を会場に12月5日~13日、本堂(内陣、外観)、山門、仲見世を光と音で彩る演出が行われます。善光寺を会場とする光の装飾は、「開花」をテーマにした2018年、「復興」がテーマの19年に続き3回目。今年のテーマは「希望」です。

善光寺の内陣に鳳凰が舞う光の演出

善光寺の内陣や外観に、雲に乗った来迎二十五菩薩を光で浮かび上がらせたり、伝説の鳥「鳳凰ほうおう」が優雅に飛び交う様子を映し出したりし、厳かで幻想的な雰囲気を作りだします。御本尊を中心に善光寺から放たれる崇高な光が、見る人を極楽浄土の世界へといざないます。

JR長野駅から善光寺へ続く約1.8キロの道のりは、街路樹に約41万球のLEDを装飾。12月4日~6日、12日、13日には、花火も打ち上げられ、長野市内を希望の光が包みます。

善光寺の御本尊から放たれる希望の光

デザインによる地域活性化を手がけているNPO法人「デザインアソシエーション」代表の川崎健二さんは、「コロナで亡くなった方のご冥福めいふくを祈り、不安や恐れを感じている人へ希望を与える場所として善光寺はふさわしい会場です。地元の建造物、空気感、街、市民が光の演出によって化学反応を起こし、地域復興への活力となるでしょう」と期待を寄せます。

今年ならではのイルミネーションの楽しみ方

東京・丸の内、グランフロント大阪、札幌・大通公園、長野・善光寺で光の演出に関わったのは、空間デザイナーで「ベルベッタ・デザイン」(東京都杉並区)代表の長谷川喜美さんです。東京や大阪などの大都市に限らず、これまで旧弘前市立図書館(青森県弘前市)や新江ノ島水族館(神奈川県藤沢市)など全国各地で数多くの空間デザインを手がけています。

長谷川さんは、「イルミネーションを使った空間デザインは、ぬくもりのある温かな光が人の気持ちを和らげる力があります。きらびやかであればいいのではなく、その土地にふさわしい装飾や彩りが求められます。見ている人が、夢や希望を膨らませられるストーリーを感じられるような作品を常に意識しています」と話します。

コロナ禍でのイルミネーションについては、「クリスマスや新年を控えているのに、何をするにも困難な状況です。沈みがちな気持ちに、希望の光が届くように願っています。今年は大勢でにぎやかに、というのは難しいと思いますが、家族やパートナーなどかけがえのない人といられる幸せを光の中で再確認してほしい」と長谷川さん。今年ならではのイルミネーションの楽しみ方を提案します。

(メディア局編集部 鈴木幸大、写真はすべてベルベッタ・デザイン提供)

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長谷川喜美
長谷川 喜美(はせがわ・きみ)
空間デザイナー

ベルベッタ・デザイン代表。「空気をデザインする」をテーマに様々なクリエイションを手がける。代表作は「グランフロント大阪クリスマス」「さっぽろホワイトイルミネーション」など。大型複合施設の冬期装飾・空間演出、店舗デザイン、グラフィック、映像など活動は多岐にわたる。JACE経済産業大臣賞、フランス国民美術協会主催サロン展金賞。

ベルベッタ・デザイン