家でイヤホンつけっぱなしの夫、話しかけても聞こえないイライラ

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写真はイメージです

音楽やゲームなどを楽しむ際に、ヘッドホンやイヤホンを使うのは今や当たり前。でも、家で一日中、ヘッドホンやイヤホンで耳をふさいでいる家族がいるとしたら、どんな気分になるでしょうか。読売新聞の掲示板サイト「発言小町」には、夫が家でずっとイヤホンを付け続けているという、子育て中の女性から投稿が寄せられています。夫に話しかけても、声が聞こえておらず、会話にならないことが多いといいます。一体どうしたらいいのでしょうか。

「前に回り込んで話しかけてよ」と夫

投稿したのは、2歳の子供を育て、現在、第2子を妊娠中の「まつり」さん。夫は家にいるとき、食事の時間以外はイヤホンを付けて、動画を見たりラジオを聴いたりしています。イヤホンの上にさらにヘッドホンを重ね付けして、オンラインゲームに熱中することもあるそうです。子供が何度話しかけても聞こえず、体を揺さぶってようやく気づくことも。夫は「前に回り込んで話しかけてよ」と言いますが、「まつり」さんは「ちょっと手伝ってほしいときに、そんなことしていられません。どうすればイヤホンをやめさせられる、少なくとも頻度を減らせるでしょうか」と発言小町に問いかけました。

この投稿には、「難聴が心配」「家事育児に協力したくないから付けているのでは」といった様々な意見が寄せられました。

音量小さめに 開放型のイヤホンにしては?

「イヤホンを変える?」と書いたのは、「め」さん。「私もラジオや音楽を聴くのが趣味なので、『家族といるときに聴くな』と言われるのはつらいです。でも、お子さんの声が聞こえないのはマズイですね。イヤホンをやめさせるのは諦めて、こちらの声が完全に聞き取れるようにしてもらうのはどうですか。『聴くのはいいけど、私たちの呼び掛けにいつでも答えられるのが最低条件』みたいに。家では、ノイズキャンセリングの付いていない開放型のイヤホンにしてもらい、音量も小さめに。二重で付けるのだけはやめてもらっては」と提案します。

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夫とはテレビの趣味が合わない

「すみません、私も家の中でイヤホンしています」と書き込んだのは、「青い歯車」さんです。イヤホンを付けるのは、休日や平日の夜に、夫の見ているテレビ番組の音を聴きたくないとき。夫の好きな時代劇やスポーツ中継などの音を聴くとイライラしてしまうため、タブレット端末で好きな動画を流しながら、台所仕事をしているそうです。そんな体験をつづりながら、トピ主さんの夫について、「何か家族の気配を消したいという気持ちはあるのかもしれませんね」と分析しています。

イヤホン難聴への注意呼びかけも

厚生労働省の健康情報サイト「eーヘルスネット」では、「ヘッドホン難聴(イヤホン難聴)」について注意を呼びかけています。「ヘッドホン難聴(イヤホン難聴)」とは、ヘッドホンやイヤホンを使って音楽などを大音量で聴き続けることで、音を伝える役割を果たしている内耳の有毛細胞が徐々に壊れて起こる難聴。WHO(世界保健機関)は、ヘッドホンやイヤホンで音楽などを聴くときには、難聴予防のため、〈1〉音量を下げたり、連続して聞かずに休憩を挟んだりする〈2〉ヘッドホンやイヤホンの使用を1日1時間未満に制限する〈3〉周囲の騒音を低減する「ノイズキャンセリング機能」の付いたヘッドホン・イヤホンを選ぶ――などを推奨しています。

外耳道炎・外耳道真菌症も

「笠井耳鼻咽喉科クリニック」(東京・自由が丘)院長の笠井創さんは「ロックなどを大音量で聴取していると、耳鳴り、耳の痛みなどを感じる『音響障害』が出ることはあります。しかし、イヤホンの長期連続装用でも、音量が適正なものであれば、難聴になることはまずありません。ただ、イヤホンによって外耳道が密閉されて湿潤したことなどが原因で、外耳道炎や外耳道真菌症にかかることは結構あります。オープンエア型のヘッドホンであれば、そのようなことは防げますし、機種によっては外の音も拾えるようになっているものもあります」と説明します。

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本人が改善したいという意思は?

もっとも、トピ主さんの夫の場合は、イヤホンを長時間使い続けていながら、難聴などの症状は現れていない様子。むしろ、オンラインゲームなどに依存し、家族とのコミュニケーションがおろそかになっていることが大きな問題です。

ライターの石徹白未亜(いとしろ・みあ)さんは、ネットに依存しがちだった自らの経験をもとに、著書「節ネット、はじめました。」(CCCメディアハウス)を出版しました。また、YouTubeに「節ネット・デジタルデトックスチャンネル」を開設し、ネット依存、ゲーム依存の人に向けて、ネットの利用頻度を減らす「節ネット」を呼びかけています。

石徹白さんは「依存は、本人が改善したいという意思を持つことが第一歩だと思います。『家族がネット依存で困っている』という相談も多いのですが、他人の習慣を説得して変える、というのはとても難しいですよね。なので、トピ主さんの場合も、夫を何とか変えようと頑張るよりも、部屋の中にパーティションでも買ってきて、音楽やゲームに集中している夫の姿が物理的に見えないようにするなど、トピ主さん自身がラクになる方法を考えたほうがいいのではないでしょうか」と話します。

パーティション導入でイライラを最小限に

夫がパーティションの向こうにいるときは、声をかけずに自由にする代わり、妻の見えるところでは、イヤホンやヘッドホンを外してもらうなど、パーティションを導入するときは、夫婦で話し合ってルールを事前に築くことが大事だといいます。

便利で楽しいスマートフォンやゲーム機器の普及で、家族の時間が充実するどころか、家族の気持ちがバラバラになってしまっては元も子もありません。難聴などを発症する恐れもあるだけに、早めに手を打った方がよさそうです。

(読売新聞メディア局編集部 永原香代子)

【紹介したトピ】
夫が家の中で常にイヤホン

石徹白未亜(いとしろ・みあ)
ライター

得意分野は節ネット(ネット依存対策)と同人文化(二次創作)。自身の体験をもとに書籍「節ネット、はじめました。『黒ネット』『白ネット』をやっつけて、時間とお金を取り戻す」(CCCメディアハウス)を執筆。子どものインターネット依存対策を行うNPO法人「エンジェルズアイズ」の活動にも参画。各地で講演活動を行っている。個人向けスタイリストとしても活動しており、著書に男性スーツ本『できる男になりたいなら、鏡を見ることから始めなさい。』(CCCメディアハウス)も。

YouTube「節ネット・デジタルデトックスチャンネル」はこちら