豪華に、ヘルシーに…「巣ごもり」のお正月を盛り上げるおせち

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新型コロナウイルスの影響で、年末年始には旅行も帰省もせず、自宅で過ごそうと決めた人も多いようです。どうせ“巣ごもり”するなら、いつもより豪華なおせちで、お正月を楽しみたい。消費者のそんなニーズを見越して、百貨店やスーパーなどでは例年より早く、「おせち」の予約販売を開始。販売の出足は好調といいます。大手百貨店の高島屋は、「巣ごもりなお正月に、お家で“気分の上がる”おせち」をテーマに、商品を企画・販売しています。高島屋のおせち担当バイヤー・山下聡さんに「2021年新春のおせち」について聞きました。

<月うさぎの里 加賀兎郷>和洋おせち料理 三客組/1万800円(税込み)※オンライン

ライフスタイルの変化で、おせちの需要は年々増加

売れ行き好調のおせちですが、「おせちの需要が増えたのは、コロナ禍の影響だけではない」と山下さんは指摘します。「全国の百貨店などでのおせちの販売数は年々増えていて、高島屋でも、この20年間はずっと右肩上がりなんです。食生活の多様化・核家族化が進む中、おせちが『家庭で作るもの』から『購入するもの』に変わってきたことが背景にあります」

女性の社会進出やライフスタイルの変化などにより、正月の過ごし方、おせちのあり方が変わってきたのだといいます。また、インターネットの普及に伴い、高島屋では現在、おせちの購入者の約3割がネットで購入するそうです。

高島屋のおせち担当バイヤー・山下聡さん

「店頭にお越しいただくお客様の数は減少傾向にあるようです。今年は特に人混みを避けたいという気持ちもあり、ネットや電話での予約にシフトされていると思います。それでも、百貨店ならではかもしれませんが、店頭で商品見本を見比べ、販売員にオススメを聞きながら、吟味する方が、まだまだたくさんいらっしゃいます。ネットで調べ、店頭で購入するという方も多いです」

店頭で担当者の説明を聞くことで、カタログやネットではわからない情報が得られることも。例えば、何らかの食材のアレルギーがある場合、おせちにその食材が使われているかどうかを調べてもらえます。

無病息災の祈りを込めた、こだわりのおせち

食生活の多様化により、おせちもバラエティー豊かになってきています。山下さんに、高島屋のおせちのトレンドを聞いてみました。

「正月旅行を取りやめたから、余った予算で豪華なおせちを買おう!」という消費者の心をつかんでいるのが、気鋭の日本人シェフ4人による「夢の饗宴おせち」(10万8000円)です。一の重は、東京・麻布十番の和食の名店「麻布 かどわき」、二の重は、山形・鶴岡のイタリアン「アル・ケッチァーノ」、三の重は、横浜・たまプラーザのフレンチ「レ・サンス」、四の重は、東京・自由が丘のパティスリー「モンサンクレール」。山下さんは「お値段は高めですが、スペシャルなおせちとして人気です」と話します。

「夢の饗宴おせち」。手前左・一の重「麻布 かどわき」、手前右・二の重「アル・ケッチァーノ」、左上・三の重「レ・サンス」、右上・四の重「モンサンクレール」

コロナ禍の今年、疫病を収める妖怪として、注目を集めた「アマビエ」は、肥後の国(現在の熊本県)に伝わる妖怪です。魚のようであり、鳥のようでもある不思議な姿は、インパクト大。「熊本おせち」(1万6200円)は、新年のお祝いと無病息災の祈りを込めて、お重の蓋に、くまモンとアマビエの絵を描いています。料理には、熊本の豊かな自然が育んだ食材を使っています。「『食べ終えたら、お重を小物入れにする』と言う女性もいました」と山下さん。くまモンをあしらった風呂敷と箸も付いています。

「熊本おせち」。風呂敷とお箸つき

取り分け不要の少人数向け、健康配慮やヘルシー志向がトレンド

ここ数年、人気が高いのが、「お一人様おせち」(5940円から)です。今シーズンは、「衛生的」「取り分けなくていい」という理由から、家族のそれぞれに1人分ずつのおせちを用意する家庭が増えているのだとか。帰省せず、家族と一緒に過ごせない人が、同じおせちを楽しむ「リモートおせち」も、お正月シーンに加わりそうです。

一人一客おせち、「三千院の里」/一客5940円

おせちは伝統的なお正月の保存食なので、味つけが濃いイメージがありますが、最近は健康に配慮したものが増えています。「発酵おせち」(3万2400円)、「ヴィーガンおせち」(2万1600円)、「和漢おせち」(1万9440円から)などで、ヘルシー志向のおせちが強化されています。

ファミリーで楽しめるのは、管理栄養士が監修した「家族三世代で楽しむ栄養おせち」(3万7800円)。シニア世代向けの和食から、疲れが気になる両親世代の洋食、成長期の子供が食べやすい料理まで、各世代に必要とされる栄養と、おせち料理の由来を意識しています。

「家族三世代で楽しむ栄養おせち」

山下さんは「おせちは、家族が集う正月のコミュニケーションツール」だといいます。「日本には正月という歳時があり、一年の健康と幸せを願って『おせち』を食べます。おせちがなぜ正月に食べられるのか、食材はどうやって決められたのか。そういうことを若い方にも知ってもらいたい。おせちが、日本の伝統や食文化に触れる機会になればいいなと思っています」

(価格はいずれも税込み)

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