コロナ後のファッション、何を着る?

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セレクトショップ大手「ユナイテッドアローズ」上級顧問の栗野宏文さんが、ファッションと社会潮流についてまとめた「モード後の世界」(扶桑社、1500円税別)を出版しました。

栗野さんは、1980年代からパリコレクションをはじめ、国内外のファッションの動向などモードの最前線を見続けています。世の中で起きている事象や消費者心理を読み取りながら、同社や商品の方向性を打ち出すのが仕事です。

「ものを作ったり売ったりしていくうえで、社会潮流を読み取っていくことは、トレンドを追うのではなく、新しいものを打ち出し、流れを作っていくという点で、重要だ」と栗野さんは指摘します。

社会潮流を読み取る力を鍛えるために、海外では町歩きをしてそれぞれの国の暮らしをみたり、美術館や地元のギャラリーを回ったり。また売れるサイズの変化からも、消費者の嗜好しこうや心の変化も読み取っていくそうです。

こうした視点で、近年、消費者がものを買わなくなった背景や服の役割の変化、SNSの影響やパリコレとラグジュアリーブランドの変容などについて記しています。

また、栗野さんが取り組んでいるアフリカの人たちとの商品作りの話では、時代の先を行く、新たな美意識や価値観を生み出そうという試みがとても興味深いものとなっています。

本書は栗野さんの長年の経験をもとに執筆したものですが、編集作業に入った直後に、新型コロナウイルスの感染が世界的に拡大。急きょ、コロナを踏まえた前書きと後書きを書いたといいます。

「コロナ後には、おしゃれは不要不急のものとなるかもしれない。でも、着ることは自己の確認や他者の認識であり、コミュニケーションを深めるものでもあるので、服には果たせる役割がある」と話しています。

コロナ後に、人はどんな服を選び、ファッションはどんな役割を果たすのかを考える上で、役立つ一冊です。(読売新聞編集委員 宮智泉)

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