関ジャニ・安田の写真集、闘病を経て命の素晴らしさ伝える意欲作

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「安田章大写真集 LIFE IS」撮影・岡田敦 (C)マガジンハウス

関ジャニ∞の安田章大さんの写真集「安田章大写真集 LIFE IS」が9月24日、マガジンハウスから発売されました。脳腫瘍を患ったことから、写真集のテーマを「生と死の輪廻(りんね)」とし、病を通して命と向き合った安田さんにしか描けない世界観を表現。闘病中の写真を収録したミニブックも付いており、従来のアイドルの写真集とは一線を画す意欲作になっています。

安田さんは脳腫瘍の一種である髄膜腫を患い、2017年2月に摘出手術を受けました。髄膜腫は最も発生頻度の高い脳腫瘍で、多くは良性とされています。腫瘍のほとんどは脳を包む髄膜から発生して脳や神経を圧迫し、頭痛や吐き気などの症状を引き起こします。
安田さんの場合も腫瘍は良性で、手術は成功。闘病はファンには伏せられ、手術後、ほどなくして仕事に復帰し、主演舞台など精力的に活動していました。

しかし、2018年4月、渋谷すばるさんのグループ脱退に関する発表会見を行う約1週間前、安田さんは立ちくらみで転倒。背中と腰に全治3か月の骨折を負い、会見を欠席しました。同年7月からの全国ツアーは「けがは完治しておらず、本来のパフォーマンスができない」として、ツアー直前、脳腫瘍についても公表しました。

病気の後遺症で日常生活に支障

それ以降、安田さんは徐々に病について語るようになりました。今年5月にはジャニーズ事務所の公式ユーチューブチャンネルに登場し、頭部の手術の痕を見せながら闘病生活を告白。普段着用している色付き眼鏡については「眼鏡をつけていないとステージとかテレビ、日常生活も無理なんで……」と後遺症があることを明かしました。

今回の写真集も大病を患ったことがきっかけとなり、安田さんが出版社に持ち込んだ企画といいます。撮影は木村伊兵衛賞を受賞した気鋭の写真家、岡田敦さんが担当し、雪が舞う真冬の北海道・根室で行われました。動物たちは冬眠し、植物は土の中で息を潜める冬は、生死を強調するのに最適な季節のように思います。

写真集は、生きることは死に向かっていくことであると同時に、尊く、美しいものだという点をテーマとしています。雪が積もる厳しい大自然にたたずむ安田さんを収めた写真は、はかなさを漂わせつつ、存在が迫ってくるような臨場感や迫力があり、生きることの重み、素晴らしさ、厳しさを生々しく体現。馬や炎と絡めて撮ったカットも、「生」の体温が伝わってくるようで印象的でした。以前から安田さんはアートや音楽に造詣が深く、アーティスト志向でしたが、生死に向き合った経験を表現力に昇華させたように感じました。

「アイドルも一人の人間、苦悩もある」

自然の中に身を置いた安田さんの写真を見つめていると、彼はアイドルである以前に私たちと何ら変わらない一人の人間であるということも浮かび上がってきます。ジャニーズでも病気になったり、悩んだり、苦しんだりする。でも、ジャニーズだからこそ思いを共有し、誰かを勇気づけることができる――。そんな強い決意こそ、写真集の根幹にあるのではないでしょうか。

付属のミニブックには、腫瘍が映るMRIの画像、手術前後の安田さんの写真などが収められています。アイドルなのにここまで公開するのかと思うほどで、直視できなかったファンもいたことでしょう。しかし、ありのままを共有する姿勢から、闘病を自分の人生の重要な一部分として受け止めている安田さんの気概が伝わってきました。ミニブックを見た後にまた、本編の写真に戻ると、より安田さんの息づかいを感じられる気がします。

新型コロナが流行、生死を考える今にふさわしい力作

安田さんといえば、9月上旬に放送されたレギュラー番組「関ジャニ∞クロニクルF」(フジテレビ系)の「相手がしつこく話しかけてくる時の対応」を隠し撮りで検証するコーナーで、仕掛け人の若手ADに真摯しんしに接する姿が話題になりました。元々優しくてピュアな性格の持ち主でしたが、病を経験し、分け隔てなく寄り添う心の温かさをより強固なものにしたのかもしれません。一回りも二回りも大きくなった安田さんがいることの安心感が、今の関ジャニ∞をさらに魅力的にしているのでしょう。

新型コロナウイルスの感染拡大、著名人の急逝など、今年は生死について考える機会が多くなっています。そんな時だからこそ、手に取りたいメッセージ性の強い一冊です。(読売新聞東京本社 山村翠)

書名:「安田章大写真集 LIFE IS」 撮影・岡田敦
発売日:9月24日
本体価格:4500円税別
体裁:A4変形、クータ・バインディング製本(開きが平らになる特殊製本)。闘病中の写真を収録したミニブック付き
出版社:株式会社マガジンハウス
全国の書店、コンビニエンスストア、ネット書店で販売

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