長引くコロナ禍、イライラや不安が募っていませんか

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新型コロナウイルスの感染が収束しない中、疲労感や 憂鬱 ゆううつさに悩む人が多い。感染への不安に加え、大きく変化した社会や人間関係なども影響しているようだ。専門家は「肩の力を抜き、今できることに集中して」と呼びかける。

「外出や外食を控えるなど感染防止対策を一生懸命やってきたが、いつまで続くのかと思うと暗い気持ちになる」

東京都内の会社員女性(45)は不安を打ち明ける。帰省を諦め、遠方への外出も避けている。在宅勤務が多く、夫と2人で過ごす時間が長い。「外出して楽しく過ごしたいが、感染が怖い。ずっと家にいて、ストレス発散ができないため、イライラしてしまう」

増える電話相談

感染すると重篤化しやすい高齢者の不安も募る。シニアの電話相談を受け付けているNPO法人「関東シニアライフアドバイザー協会」(東京)事務局長の吉原有一さんは「春頃から、コロナ関連の相談が増えてきた」と話す。

「持病があるため病院へ行きたいが、コロナに感染したらと思うと怖くて行けない」「人が集う場所で話すのが楽しみだったのに、そうした場が全くなくなってしまった」など、悩みは多岐にわたるという。吉原さんは「誰かと会って話すことができない状況で、不安だけが高まってしまっている。電話相談を利用したり、友人と電話で話したりすると、悩みが整理できることが多いですよ」と勧める。

厚生労働省によると、全国の精神保健福祉センターに寄せられた心の健康相談で、4~7月はコロナ関連が1万4000件以上。感染についてのほか「先が見えず眠れない」「気分が晴れず憂鬱」など不安や疲労を訴える声も多い。

時間たつと疲れ

精神科医で「コロナうつはぷかぷか思考でゆるゆる鎮める」(ワニブックス)の著者、藤野智哉さんは、「過去の災害でも、被災直後は気が張って頑張ることができた被災者が、時間がたつにつれ疲労が表れ、つらくなるということがあった。コロナ禍もそろそろ疲弊感が出てきても不思議ではない」と指摘する。心身のだるさ、気分の落ち込み、不眠、好きなことをやる気にならない、などの兆候がみられたら要注意だという。

できないことはあきらめる、意識的に体を緩めて

「今できることは、感染防止対策をしっかりするくらいでしょう。不安を感じること自体はおかしくはないので、肩の力を抜いて」と藤野さんは助言する。心配事を思いつくまま紙に書き出し、整理することを勧める。「何が不安なのかを明確にし、できることとできないことを区別すると不安が軽減されます。できないことはあきらめ、受け入れる気持ちも大切です」

在宅勤務や長期休校で、自分や家族の生活リズムが変化した人は多いだろう。心療内科医の海原純子さんは「イライラしたり疲れたりしている時は、頭で考えるより、まず体に意識を向けてみて」と助言する。

起床や食事の時間をずらさないなど、生活リズムを乱さないことが大切だ。起床したら朝日を浴びると、夜の睡眠の質が向上するなど、リズムが自然に整ってくるという。不安を感じると緊張状態になるが、長く続くと疲弊する。「深呼吸や体を伸ばすストレッチなどで意識的に体を緩めると、いつの間にか心の緊張も緩和されてきます。一日の中で、そうした時間を積極的に作りましょう」と海原さんはアドバイスする。

(読売新聞生活部 福士由佳子)

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