「ペット不可」マンションでこっそり飼育、ばれたら愛犬は処分?

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犬や猫を家族の一員として迎えたいと思っても、住まいの条件に左右されるケースは少なくありません。読売新聞の掲示板「発言小町」には、都心の分譲マンション購入を検討中の女性から、「ペット不可」の物件でこっそり犬を飼育したら、どうなるのかという質問がありました。マンションの所有権とペット管理規約などに詳しい弁護士に聞きました。

トピ主「りりこ」さんは、都心で分譲マンションの購入を検討していますが、小型犬を飼いたいのに、なかなか希望の条件にあう物件が見つかりません。そこで、もし「ペット不可」の分譲マンションでこっそり犬を飼育したら、と考えます。「管理組合から(犬を)処分するように言われるのでしょうか」「近隣から苦情がなければ大丈夫なのか」「マンションの所有権はあるのだから出て行くように言われないはず」……などの疑問を並べ、「どうなるのか教えてください」と発言小町で問いかけました。

「人間性を疑われますよ」

このトピに50件を超えるレスが寄せられました。「アレルギーがあり、ペット不可のマンションを選んだ住人もいる」「ほえるかもしれませんし、散歩とかどうするんですか?ダメなものはダメ」「こっそり飼育されるペットもかわいそう」など批判の声が相次ぎました。

管理規約で「ペット不可」と定めているマンションでも、こっそりペットを飼ってしまう住人はいるようです。「よしこ」さんの住んでいたペット不可の分譲マンションには、犬を連れて転居してきたケースや、飼い始める住人がいました。「住人の大部分は苦々しく思っていたと思います。こっそり飼っている人は、めちゃめちゃ早朝とか夜遅くなってから散歩に行っていましたね。トピ主さんはペット不可なのに犬を飼ったら、人間性を疑われますよ」と書き込みました。

同じく、ペット不可の分譲マンションに住む「うずらまま」さんのところでも、規約違反でペット飼育をする人のことが管理組合の理事会の議題になったことがあるそうです。「ペットは処分するべきといった意見も多く、飼育住戸の人たちと管理組合との間で相当、もめて、結局、“ペット一代限り認める。その代わり、届け出を出す”と決まりましたが、実際、飼っているお宅の居住者は肩身が狭そうにしていますよ」と報告しました。

「ペット不可」から「ペット可」に

「ペット不可」だった物件が、「ペット可」になるケースもあるようです。「りん」さんが住んでいた団地では、高齢化が進み、子ども代わりにペットを飼いたいという要望が増えました。このため、自治会で「ペット可」が承認されたので、自分もミニチュアダックスフントを飼い始めたところ、数年後に自治会役員が総代わりし、再びペット不可に。「ペットを引き取り手に出すか転居するかを迫られました。私たちは転居を選びましたが、物件が決まるまで散歩に行くのもコソコソ、ほえないように気をつけてワンコには本当にかわいそうな生活をさせたと思います」と振り返ります。

写真はイメージです

相次ぐ批判の声に対し、トピ主は不動産業者からの説明として、「ある物件がペットは不可ですが、売り主さんによると、ペットを飼っている人がいると話していたので、そういうことあるのかなと聞いてみました」と経緯を書き加えました。

これに対し、「黒にんにく」さんは「ダメなものはダメです」ときっぱり。「不動産屋さんは売りたいので、買ってくれるまでは曖昧な言い方するにきまっているじゃないですか」と指摘。「クリームチーズ」さんも「ペット不可でもペットを飼っているなんて無責任なことを言う不動産屋さんとは、関わらない方がいいですよ。トピ主さんに都合の良いことばかりを言って、なんとか売ろうとしているだけですから。入居した後、トラブルになるのはトピ主さんですからね」とアドバイスします。

不法行為で損害賠償になることも

マンションなどでペットを飼育することについて、北澤香織弁護士に聞きました。

北澤さんによると、集合住宅で、ペットにまつわるトラブルはかなり多くあります。「基本的には、マンションの管理規約や賃貸借契約でペットの飼育が認められている場合でなければ、ペットは飼育するべきではありません」と強調します。

集合住宅を規律する法律として、「建物の区分所有等に関する法律」(区分所有法)があります。この法律は、集合住宅の所有者は「共同の利益に反する行為」をしてはならないと定めていて、マンションの規約でそのような行為を禁止することが認められています。ペットの飼育は「共同の利益に反する行為」として、禁止すること(ペット不可)は合理的なことであるというのが、過去の裁判例でも定着した解釈になっています。

マンションなどの集合住宅は、管理規約でペット飼育禁止にしているケースも多くあります。管理組合などから「ペット飼育をやめるように」と言われた場合、それに従わなければならないのが原則です。仮に、応じなかった場合、区分所有法に基づき、飼育の差し止めを求める裁判などが起こされる可能性があります。また、過去の裁判例では、規約に違反してペットを飼う行為を、民法上の不法行為だとして、「損害賠償請求の対象になる」と判断したものもあります。

写真はイメージです

「ペット可」の物件でも、「2匹まで」「体長〇〇センチの小型犬のみ」などの条件がある場合があります。「赤ちゃんが生まれて3匹になってしまった」「亡くなった親の猫を仕方なく3匹引き取った」「トイプードルが想像以上に大きく成長し、抱っこできない」……。いろいろな理由があると思いますが、たとえ事情があったとしても、明確な規定がある限り、規約違反となります。

飼い主は「家族」周囲は「迷惑」

ペットは、飼っている人にとっては家族同様で、とても大切な存在ですが、飼い主以外の人からすると、そのようなことは理解してもらえるとは限りませんし、鳴き声や毛、においなど迷惑な存在と見られることも多々あります。「どうしてもペットを飼育したい、ということであれば、管理組合の話し合いなどで、ペット飼育に関する規約の緩和を働きかけたり、ペットクラブといった住民組織を作ったりして、周囲へ迷惑をかけないルール作りをして共存を図る努力が求められます」と北澤さんは指摘します。

ペットフード協会(東京都千代田区)の調査によると、2019年の飼育数は、犬が879万7000匹、猫が977万8000匹でした。15年に940万匹を超えていた犬は減少、927万頭だった猫は増加傾向が続いています。飼育を希望しているのにためらう理由として、「集合住宅で禁止されている」が犬で23.0%、猫で32.7%に上りました。

愛するペットが、他人から後ろ指をさされたりすることがないように、ルールを守って飼育することが大切ですね。

(メディア局編集部 鈴木幸大)

【紹介したトピ】
分譲マンションでのペット飼育

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北澤香織
北澤 香織 (きたざわ・かおり)
弁護士

1962年東京生まれ。神奈川県立湘南高校、お茶の水女子大学文教育学部卒業後、音楽専門出版社に編集者として勤務。89年京都大学法学部に再入学、94年司法試験合格。2005年にソフィア六本木法律事務所を設立、07年に事務所名を北澤香織法律事務所に変更。離婚・相続、不当解雇・セクハラ・パワハラなどの職場トラブル、住まいに関する問題などを多く取り扱う。

北澤香織法律事務所