外出先の非接触型の体温測定で、何回もエラーになるのはなぜ?

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新型コロナウイルスの感染防止のため、最近は、病院でもレストランでも、施設に入る前に非接触型の体温計を額にピッとかざされることが増えてきました。体温が高くないかどうか、事前にチェックするためですが、なぜかエラーが出てしまい、何回も測り直しになる人もいるようです。読売新聞の掲示板サイト「発言小町」には、「何が原因なんでしょうか」という疑問の投稿が寄せられています。非接触型の体温計を販売している国内メーカーにその仕組みと正しく体温を測るための留意点を聞きました。

エラーは汗が原因? メタボが原因?

「入店時の体温測定でエラーになる」のタイトルで投稿してきたのは、トピ主「普段は節約家」さん。176cm、86kgの自称「メタボなおっさん」ですが、店先で非接触型の体温計をかざされると、なぜか「Lo」とエラーになることが多く、何度も測り直しになってしまうそうです。「女性や子どもは1回で、ピッと鳴って問題なく入店していくのに、私の場合、4、5回エラーになります」と戸惑い気味。最近、汗を拭くとエラーにならないことが重なったため、汗が原因なのかもしれないと考え始めています。そこで、「汗っかきの皆さんはエラー無く入店できていますか?」と発言小町に問いかけました。

気化熱で低体温になるのでは?

この投稿に、「気化熱ですよね」と回答したのは、「まかろん」さん。自身でも、通院中の病院で何度もエラーになった経験があります。「その病院は、きつめの坂を10分ほど上った所にあるんです。特に気温が高いと、たどりついた時には汗だく。そのまま測ると34~35℃台が出てしまいます」と書き込みました。「ワーママ」さんからも、「汗をかくと、表面温度が下がるのは普通のことです。(非接触型の体温計について)個人的には疑問に感じています。表面温度と体温は違いますし、いつもよりも低めに測定されますからね」という意見が寄せられました。

非接触型は人体の赤外線エネルギーを検知

おでこなどにかざすだけで、体温を測定できる非接触型の体温計。感染予防のためにも取り入れるところが増えていますが、どんな仕組みで体温を測ることができるのでしょうか。国産メーカーであるユビックス株式会社(東京・江東区)の新實忠之代表取締役に聞きました。

同社は医療用の非接触型体温計「CISE」(シーゼ)を製造・販売しています。新實さんによると、非接触型の体温計は、人体から放射された赤外線エネルギーを検知し、体温に変換して表示します。測定にかかるのは約1秒程度。測定部位はメーカーによって額、腕、耳の鼓膜などさまざまですが、「CISE」の場合は、測定部位は額と決めています。「おでこは、凸凹が少なく、安定的に非接触で測定できるためです」と新實さん。

正しく測定するための留意点は?

測定するうえでの留意点として、新實さんがまず挙げるのは、測定場所の環境温度です。「どのメーカーでも、測定環境温度を定めています。テレビで車の運転席や助手席に乗った人に対して、簡単な機器を額などにかざして、体温を計測しているという報道を見たことがありますが、外気温の影響を受けてしまうので、本来の使い方ではありません」と言います。インフルエンザの流行する冬の季節には、外気温の影響で、測定部の表面温度が低下していることが考えられるため、病院などで使う場合も、15分ほど、からだを室内温度に慣らした後に、問診のときなどに測定することを勧めています。

汗は拭きとったあとで測定を

額にかざすだけで、体温を表示する「CISE」(ユビックス提供)

「酷暑の中でも同様です。医療機関では室温が一定というところも多いでしょうが、からだを室温に慣らした上で測定してほしいと思います。それと、もう一つは汗の問題。汗とテカリを拭きとった後で、測ったほうが正確です。髪の毛を測ってしまったり、測定部位である額から体温計が離れすぎてしまったりすることもエラーの原因になります。もちろん機器の故障ということもありますが、測り直せば数値が出る場合は、そもそも離れ過ぎていたということが多いようです」と新實さんは指摘します。

増産追い付かず、未認証製品も市場に

同社の非接触体温計「CISE」は医療機関に限定して販売されています。今年は前年の1・5倍の増産体制にしたものの、今年4月の時点で年内は新たに注文を受けられないという事態に見舞われています。「どの国内メーカーも似たような状況と聞きました。外国製品を輸入する業者も増えています。医療機器として、国の認証を受けた製品には、医療機器認証番号の記載された銘板が貼られるのが決まりですが、その銘板の付いていない製品も目につきます」と新實さん。

「これから導入される方には、国の認証を受けたものを求めてほしいと思います。正しく使えば、だれが測定しても同じ値が出るというのが非接触体温計の優れた点。私たちの体温は概日リズムがあって1日のうちに約1℃も変化し、人によって平熱は違うということがわかっています。自分自身の体温の動きにもっと敏感になるように、家庭用の体温計も含め、こまめに体温を測ると良いと思います」と新實さんは強調します。

入店時の体温測定がこれだけ増えてくると、体温に無関心でもいられません。エラーになったときは、何度かやり直してみましょう。また、自宅でも時間を決めて測って体調管理に役立てたいものです。

(読売新聞メディア局編集部 永原香代子)

【紹介したトピ】
入店時の体温測定でエラーになる