「早く会いたい」と上司から社内メール、返信がしんどい

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セクシャル・ハラスメントを防ぐための法整備などが進み、職場でのセクハラ行為には一段と厳しい目が注がれるようになっています。とはいえ、実際にセクハラ被害を受けながら、「職場に波風を立てたくない」という気持ちから、対処に頭を悩ませている女性は少なくないようです。読売新聞の掲示板サイト「発言小町」には、社有携帯電話に毎日プライベートな内容のメールを送り付けてくる男性上司に困っているという女性からの投稿がありました。メールの文面は「早く会いたい」「次こそ一緒に飲みに行こう」などとエスカレート気味。こんなとき、どうしたらいいのでしょうか。職場のハラスメント問題に詳しい専門家に対処法を聞きました。

“ちゃん”付けメールが毎日来る

「上司からのメールの返信がしんどいです」のタイトルで投稿したのは、27歳のトピ主「綾」さん。1年前に今の会社に転職しました。何がきっかけかわかりませんが、異なる支社にいる40代の管理職の男性から“特別な好意”を持たれてしまっています。最初は3週間に1通だったメールが、1週間に1通となり、現在は毎日送られてきます。それも、「綾ちゃんの笑顔が一番」「早く会いたい」「綾ちゃんに断られたけど、次こそ一緒に飲みに行こう」といったような、どう返答していいか困るような内容です。その上司は、出張でトピ主さんの職場を訪れた際には、トピ主さんの机の上にチョコレートなどの手土産を置いていくこともあります。

「この秋、結婚を控えていることは直属の上司には話していますが、その上司には話していません。今後も仕事で関わるので、関係が悪くなるようなことはしたくありません。関係が悪くならない方法で、良い手はないでしょうか」と発言小町に問いかけました。

女の子扱い、「お前だけだよ」って!?

この投稿に、80件の反響がありました。「毎日プライベートなメール? それはセクハラでしょう」「返信する必要なんかありませんよ。早く直属の上司に相談して、解決してください」などと、上司の言動をセクハラだと断じる意見が大半です。

トピ主さんと同じように、上司から度を超す内容のメールを受けたという女性もいます。「わかります、その気持ち」と書いたのは、「りん」さん。「私は他拠点の支社長からのメールにとても困っています。『今日も一日かわいく頑張ったね。かわいいね~いいね~』などと、社用のメールにも個人のラインにも来ます。さすがにあきれ果てて、『支社長の拠点の女の子にも同じせりふを言ってあげてくださいよ~』って返信したら、『お前だけだよ』って……。ゾクっとしました」とつづっています。

夫が「会社に訴える」と激怒したケースも

「私も同じ様な経験がありました」という「メロン」さんの場合は、既婚者だったために、夫が上司からのメールを見て「会社に訴える」と激怒してしまったそうです。そこで、「メロン」さんがその上司に、「もうメールの個人的なやり取りは難しいです」と告げると、メールも誘いもなくなったそうです。

「ハチワレ猫2」さんからは、「私も婚約中、直属の上司から同じような内容のセクハラを受けました」というレスがありました。会社の人事部門に相談したところ、その上司は降格処分を受け、その後、自主退職しました。会社からは「お祝いごとの前に嫌な気持ちにさせてしまい申し訳なかった」と謝罪があったそうです。「私が言ったら、上司はどうなってしまうんだろうとか、私の社内での扱いはどうなるんだろうとか色々考えましたが、今では考える必要のないことだとわかりました」と経験談をつづっています。

解決のために知っておきたい原則

企業のセクハラ、パワハラ対策などについての研修や講師派遣を行っている一般社団法人「職場のハラスメント研究所」(東京・文京区)代表の金子雅臣さんに、こうしたケースでの対処法を聞きました。

「相談者の方は『仕事上、関係が悪くなるようなことはしたくない』と書かれていますが、今の状態では、男性側に“認知のゆがみ”が生じていることに目を向けるべきでしょう。そんなとき、波風を立てないようにすることばかりに気を取られると、相手の男性の行動を助長することにもなりかねないので注意が必要です」と、金子さんは警鐘を鳴らします。

解決への第一歩として知っておきたいのは、迷惑だと思う気持ちを相手に伝えるとき、自分一人ではなく、必ず第三者を介入させるという原則です。金子さんは、「間に立ってもらうのは、友人でも同僚でも上司でも誰でもいいので、自分が信頼できる人を選んでください。個人で対応してはいけません。一方的な恋愛感情を持っている相手ですから、かえって逆上したり、ストーカー化したりという恐れもあるので、ここは慎重に」とアドバイスします。

冷静かつ客観的に言うべきこと

「困っている」「迷惑だ」「やめてほしい」という申し入れについても、好き嫌いではなく、「こうしたメールは公私混同につながりますので、やめていただきたい」と冷静かつ客観的に伝えることが大切だと言います。「仕事場なので、あえて私的な感情を持ち込みたくないことを伝えます。相手と自分のプライベートな部分には、『公私混同』という言葉を出して境界線(ライン)を引きます」

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近くに頼れる第三者がいなかったり、第三者を交えた話し合いでも相手の態度が変わらなかったりした場合は、会社の人事部門や専門の相談機関などに相談します。「メールという手段は証拠が残るので、ひと昔前のように、『言った、言わない』の泥仕合は減少傾向にあります。セクハラやパワハラについては、法律で会社側の配慮義務が定められています。会社としても、働きやすい職場づくりのために、こうした問題への対処は早いほうが良いと考えているので、あまりためらわずに相談してください」と金子さん。

仕事に関わることだからと我慢して相手をしているケースもあるかもしれません。その我慢が“勘違い男”を放置することにつながっていないかどうか、点検してみる必要はありそうです。

(読売新聞メディア局編集部 永原香代子)

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上司からのメールの返信がしんどいです