実家間格差で夫婦ぎくしゃく…危ない両親からの経済援助

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結婚、出産、新居購入、子どもの入学……。人生の節目で、自身や義理の親からお祝いや援助を受けるとしたら、どんなことに気をつけたらいいのでしょうか。読売新聞の掲示板サイト「発言小町」には、「私の実家は息子におもちゃや衣類を送ってくれるのに、妻の実家からはほとんど何もない」「義両親からお祝いをもらったことがない」など、実家間の格差を訴える投稿が目立ちます。夫婦関係をぎくしゃくさせないための対処法を専門家に聞きました。

「お前は義実家から吸い取るばかり」

「旦那と義実家」のタイトルで投稿したのは共働きの妻の「いかキング」さん。夫の実家が裕福で、不妊治療にかかる費用、夫のスーツ代、帰省時の食事代などを義実家に負担してもらっているそうです。帰省時には、取り寄せの食品や手土産を用意するのですが、目の肥えた義母からはあまり評価されず、「お前は義実家や俺から吸い取るばかりだ」と言う夫の言葉に悩んでいるそうです。

夫の立場から妻の実家への不満を書いた投稿もあります。「むろちゃんパパ」さんは「私の実家は比較的裕福で、働くようになったいまでも小遣い(月に数十万円)と孫である息子におもちゃや衣類などを送ってくれています。一方、妻の実家からはほとんど何もありません」と打ち明けます。妻は「(実家が)貧乏だから」と説明しますが、「金額の問題ではなく、(何か)孫が喜ぶようなものを送ってくれてもいいのではないかと釈然としません」とつづります。

住居の新築を計画しているという「ろろろ」さんからは、夫の両親から300万円の援助があったことについての悩みが寄せられました。自身の両親は数年前に離婚しており、交流があるのは父親だけ。経済状況からとても援助は期待できません。「(300万円は)私にとっても、父にとっても大金です。義両親と私の父が顔を合わせた時に、父がお礼をひと言でも伝えたほうが良いのか、言わないほうがいいのか、どうしたらいいのでしょうか」と発言小町に問いかけました。

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格差を作る実家間の競争心

実家と義実家で、習慣や価値観、経済状況などについてそれぞれ異なるのは当然です。ただ、ことあるごとに、「実家から多額の援助をしてもらった」「義実家から孫の出産にお祝いがない」など違いが気になるという人もいます。実家間の格差について、どのように対処すべきか、家族関係に詳しい心理カウンセラーの横山真香さんに聞きました。

母娘問題についてカウンセリングを行っていると、実家間の格差に悩む妻の声を聞くことがあります。特に目立つのは、自分の親が夫の両親に対してライバル意識を持ち、経済格差を作りだそうとするケースです。これは、夫の実家に対するジェラシーや競争心が背景にあります。夫婦に子どもがいる場合、孫へどれだけ金銭的支援をするか、夫の実家と張り合おうとします。

具体的には、妻側の両親が、孫のお稽古事(ピアノやバレエなど)の月謝を支払ったり、孫を連れて海外旅行をしたりします。ピアノの発表会などがあれば、会場に来た夫側の両親に「私が買ってあげた衣装」などと猛アピールします。海外旅行から戻ってくれば、これ見よがしに夫の両親へお土産を送ることも忘れません。「こんなにしてあげている」を暗に示そうと、必死になっています。

「お金を払ったのだから」

住居や車の購入などの機会に実家から援助を受ける場合については、次のような対応が望ましいと思われます。

【1】 新居を購入する際、どちらかの両親が生前贈与として頭金を出すと言ってきた場合

このケースでは、生前贈与という税金対策の理由があるので、もう一方の親にも知らせるべきでしょう。新居への引っ越し祝いで、双方の親が顔を合わせたときなどに、事実を知っていたほうが、支援した側の親へ感謝の気持ちも伝えられます。後々、丸く収まるでしょう。

【2】 夫が新車を購入する際、夫の両親が購入費用の一部を支援した場合

息子夫婦が、両親の支援をありがたく受け取るのは構いません。それを妻が自分の親にわざわざ報告する必要はありません。ポイントは、車の所有者となる息子とその親との関係でやり取りが発生しているのであり、そこに妻の親が関わる必要はありません。

【3】 夫の両親が新車の購入を勧め、費用の大部分を支払う場合

こういったケースは、慎重な対応が求められます。親の性格を考え、夫婦でよく話し合って支援を受けるかどうか決定したほうがいいでしょう。「お金を払ったのだから、必要なときに乗せていってもらえる」と期待されているなら、断ったほうが無難です。このように支援に見返りを求めるタイプの親なら、後にやっかいな依頼もあるかもしれません。「自分たちでやります」「気持ちだけいただきます」と遠慮しましょう。断る際には、「嫁の差し金」「妻の親が口を出している」などと思われないように、夫にきっぱりと言ってもらうことが大事です。

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「お嫁さんには内緒よ」

実家からの支援や贈り物については、夫婦間で一定のルールを設けることも大切です。それぞれの意識にずれがあると、実家からの支援のたびに、妻もしくは夫にとって精神的な負担になったり、けんかの原因になったりすることがあります。

妻は「うちの親はこんなにしてくれたのだから、少しぐらい親の言うことを聞いてあげなきゃ」と思っているのに、夫は「勝手にやっているんだから、別にお礼をする必要などないじゃないか」といらだつという例もあります。

このような行き違いを避けるには、たとえば、「孫の行事のお祝いはありがたくいただきますが、頻繁にお小遣いをもらうのは、甘えが生じる原因となるので遠慮します」など大まかなルールを作ることです。

「お嫁さんには内緒よ」
「あちらの両親には黙ってなさい」

こんな言葉を耳打ちしながら、多額の援助をする親もいます。家計に関わることをパートナーに秘密にしておくのは、発覚したときに信頼関係を損なう危険があります。実家からの支援については、夫婦ともに必ず報告や相談をするようにしましょう。その都度、「これは断るべきだよね」というような話し合いをすることで、夫婦の価値観の共有につながります。

金銭の援助や支援を伴う実家間格差は、夫婦の考え方や価値観の相違を浮き彫りにさせ、夫婦関係に亀裂を及ぼす根深い問題です。「夫(または妻)の実家は経済的余裕がない」という言葉の裏に、「だから常識がない」「だから教育レベルが低い」などと相手を見下す態度が見え隠れします。一方で、親に金銭的援助を当てにしていれば、パートナーから「情けない」「いつまでも甘えている」などと思われかねません。

夫婦の関係に影を落とす実家問題。いろいろなケースについて話を聞くうちに、支援や援助があるからといって、手放しで喜ぶのもどうかなという気がしてきました。援助を受ける前に、夫婦でよく話し合っておきたいですね。

(メディア局編集部 鈴木幸大)

【紹介したトピ】
旦那と義実家
私の実家と嫁の実家の格差(愚痴)
義実家からの援助

横山真香
横山 真香(よこやま・しんこ)
メンタルケア心理士、母娘関係改善カウンセラー

大学で非行心理学を学び、卒業後は出版社編集部に勤務。1990年からフリーランス・ライターとして7000人をインタビュー。2005年から母娘問題専門のカウンセリングを始める。母娘関係やハラスメントに関する講座、講演活動を行う。著書に『あなたは、もっとラクに生きられる 長女が“母の呪縛”から自由になる方法』(大和出版)。

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