能力格差も…共働きが家事をスムーズに実行するコツとは

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日本でも共働き家庭が一般的になり、男性にも一定の家事能力が求められるようになりました。ところが、いざ同居や結婚生活が始まると、家事に関する波長が合わず、ギスギスすることが少なくないようです。読売新聞の掲示板サイト「発言小町」には、結婚を意識した女性から、相手の男性の家事能力をどう見極めるかという相談がよく寄せられます。能力に格差がある場合、家事はどうしたらスムーズにいくのでしょうか。専門家に聞いてみました。

料理も掃除もボタン付けまで私?

「稼ぐ家政婦になるのか…むなしいです」のタイトルで、発言小町に投稿したのは、アラフォー女性のトピ主「こじらせオバサン」さん。同年代の男性と結婚を前提に付き合っていて、結婚後も共働きを続ける予定です。

でも、彼が暮らしているアパートで、トイレの汚れぶりや風呂の天井に付いたカビを見ると、掃除が得意な人とはとても思えません。そのうえ、彼に「(あなたの)手料理を食べたい」「コートのボタンが取れたら付けてほしい」と言われました。こうしたことから、トピ主さんは「結婚したら家事はすべて私の担当になるのか。彼が私に求めているのは『稼いでくる家政婦』なのではないのか」とげんなりしてしまったそうです。

年下彼は口だけ「ちゃんと家事分担しようね」

「カップル又は夫婦で共働きの方に質問です。」のタイトルで投稿したのは、1歳年下の彼氏と同居を始めた26歳の「オニオンリング」さん。同居前に彼から「ちゃんと家事分担しようね」と言われたのですが、いざ始めてみると、彼はまったく家事ができません。

洗濯は、洗剤の量をはからず、洗濯物はなんでもかんでもギュウギュウに洗濯機に詰め込み、干すときもシワを伸ばさず、シワシワのまま。皿洗いも雑で、残った油汚れでいつもヌルヌルしている始末。何度も文句をつけているうちに、彼から「いつも怒ってる」と言われてしまったそう。そこで、「オニオンリング」さんは、発言小町に「みなさん、共働きの場合、家事はちゃんと分担できていますか? イライラしないアドバイスもお願いします」と呼びかけました。

この投稿には、50通近い反響がありました。

夫が家事できないことの愚痴

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「分担? してませんよ」と書いてきたのは「匿名」さんです。「一緒に住み始めてからずっと、家事は全部一緒にやってます。料理も一緒にやるのは楽しいですよ」

「そういう男性が結婚できない世の中になればいい」という意見もありました。共働き歴20年の「るる」さんは「ほんっとーによく聞きますよ。夫が家事できないことへの愚痴を。その愚痴を聞きながら、私は本当に不思議で……。できないならまずは教える。センスや熱意がないようならサッサと次に行けばいい。私の夫は家事育児仕事、全てほぼ完璧です。私に1週間以上、海外出張があっても無問題。子供たちは私と夫の両方の味を楽しむことができる」と言い切ります。

家事能力の高い彼、破局した理由は

「彼との家事能力の差について」という投稿もありました。トピ主「包丁とまな板」さんは、30歳の実家暮らしの女性で、家事は不得意。一方、付き合って半年の同い年の彼は、一人暮らし歴が長いせいか、家事能力が全般に高く、「彼を逃したら、これ以上いい条件の人なんて無理だと思います」と思い詰めてしまったほど。ところが、トピ主さんはつい見えを張って、母親が作った手料理を「私が作った」と彼に差し入れてしまいました。あとで知った彼は「そのウソが許せない」と怒り出し、結局別れることになったそう。

「(彼は)家事は女性がするものとか決めつけてるみたいですよね。ちょっといいところを見せるなんて婚カツではよくある話じゃないですか。愛情があれば許してくれると思ったのに」と、トピ主さんも憤まんやるかたない様子です。

どうしたらストレスなく、家事能力を高められる?

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共働き家庭の家事分担。男女を問わず、相手に家事能力が足りない場合も、自分に足りない場合もあるようです。どうしたら、お互いにストレスなく、家事能力を高めることができるのでしょうか。NPO法人「tadaima!」を設立し、各地の自治体などで家事分担に関する講習会を開いている家事シェア研究家の三木智有さんに聞きました。

「今や、女性だから男性だから、という時代でもないでしょう。これまで家事分担というと、女性に重くなりがちな負担をどれだけ男性が肩代わりするかといったことが議論の中心でした。しかしそれだと、夫婦やカップルの間で家事の押し付け合いになってしまいます。家族のだれもが『ただいま!』と帰ってきて、ほっとできる家庭を築くのが目標で、家事はそれを実現する手段です。なし崩し的に決めずに、どういう方法なら、互いに納得できるのか。“自分事(ごと)”“家族事(ごと)”として考えていくという意味で、『家事シェア』という言葉を使って説明しています」と三木さんは話します。

まずは型にはめて考えてみる

三木さんは講習会などで、家事のシェアのあり方として、次の二つのパターンがあることを説明してきました。

<1>シュフ型……妻または夫がメインになって、その下にサポーターがいるスタイル

<2>担当型……料理・掃除・洗濯など、大まかに担当を決めて、それぞれの役割を果たすスタイル

家族が気持ちよく家事を実行するには、パターンによって留意点があります。

シュフ型を選んだ場合は、「サポーターに指示を出して良い時間帯」を決めます。指示を出したのに、断られることがあると、出した側にも出された側にもストレスがかかるためです。「平日朝6時から7時の間は、一緒に家事をする時間帯」などと、時間帯を決めることでストレスを低減できます。

担当型を選んだ場合は、「担当する家事と締め切り(終わらせる時間)」を決めます。家事のやり方や時間帯は、担当する人の裁量権。子供の片付けと同じで、「いつやるの?」と何度も口を出したりして、やる気を失わせてしまうのを避けます。

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「ある程度、型にはめて考えれば、思ったとおりに動いてくれないというお互いのモヤモヤを減らせます。また、何が失敗だったのか振り返りやすいので、トライ&エラーで自分たち家族の方法を探っていけばいいと思います」と三木さん。

異なる環境で育った人たちが一緒に暮らすには、歩み寄りが必要かもしれません。「家事はちゃんと分担しよう」という気持ちがあるうちに、お互いに不満を解消できるように努力したいものです。

(読売新聞メディア局編集部 永原香代子)

【紹介したトピ】
稼ぐ家政婦になるのか…虚しいです
カップル又は夫婦で共働きの方に質問です
彼との家事能力の差について

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三木智有
三木智有(みき・ともあり)
家事シェア研究家

 2011年に“ただいま!”と帰りたくなる家庭であふれた社会の実現を目指すNPO法人・tadaima! を設立。日本で唯一の家事シェア研究家として、2016年内閣府「男性の暮らし方・意識の変革に関する専門調査会」委員に選任。元インテリアコーディネーターの経験を生かした、子育て家庭のモヨウ替えを年間100件以上行う。著書に「家事でモメない部屋づくり」(ディスカヴァー・トゥエンティワン)。

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