若手従業員が「働きがいがある」と感じる企業の共通点とは

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「働きがい」に関する調査・研究を手がける「Great Place to Work Institute Japan(GPTWジャパン)」(本社・東京)が、若手従業員にとって働きがいのある企業のランキングを発表しました。ランキング上位の企業には、職場の連帯感が強いという共通点が見られる一方、テレワークの普及などに伴い、連帯感を維持していく難しさも浮かび上がっています。このほど開かれたランキング発表会を取材しました。

若手ランキング、1位は・・・

GPTWジャパンは、従業員の満足度が高い企業を選出した「『働きがいのある会社』ランキング」を2007年から毎年発表しています。企業側と従業員側それぞれに実施したアンケート調査の結果を基に、外部有識者をまじえた委員会がランキングを決定しています。

今年は、新型コロナの影響で若者の働き方についての価値観が変化していることなどを受けて、ランキング上位の企業計155社の中から、特に34歳以下の若手従業員にとって働きがいのある企業を選出した「『働きがいのある会社』若手ランキング(1~5位)」を初めて発表しました。

従業員数1000人以上の大規模部門は「セールスフォース・ドットコム」(本社・東京)、従業員数100~999人の中規模部門は「コンカー」(同)、従業員数25~99人の小規模部門は「ENERGIZE」(同)が、それぞれランキング1位に選ばれました。

「セールスフォース・ドットコム」は、米情報サービス大手の日本法人で、新入社員の教育施策が充実している点などが高く評価されました。経費精算や出張管理のクラウドサービス事業を展開している「コンカー」は、社内のコミュニケーションを円滑にするための施策を頻繁に実施している点など、コンサルティングサービスを提供する「ENERGIZE」は、内定時から会社への理解を深めるためのプログラムを多く用意している点などで、それぞれ1位と認められました。

ランクインした企業「連帯感の強さ」が特徴

ランキング発表会で、GPTWジャパン代表の荒川陽子さんは、ランクインした企業の共通点として、「職場の連帯感の強さ」を挙げました。先輩社員と親しくなるきっかけづくりのために、新入社員の趣味や経歴を社内放送したり、自分の得意分野を他の社員に紹介する勉強会を設けたり。こういった若手社員を巻き込む施策を多く取り入れており、若手従業員も、職場の「温かい雰囲気」や「新しく入社した人を歓迎する雰囲気」を高く評価していることが、アンケート結果から明らかになりました。

一方で、コロナ禍でのテレワークで社内のコミュニケーションが希薄になったケースも少なくないようです。GPTWジャパンが6月に行った別の調査では、コロナを機にテレワークを経験した人の3割以上は、コミュニケーションや一体感が減ったと回答。生産性が下がったと感じている人も、全体の3割を占めました。これに対し、テレワークをしていても従業員同士で活発にコミュニケーションを取っていた人は、仕事へのモチベーションや生産性が向上している傾向にあることも明らかになりました。

この調査結果を踏まえて、荒川さんは「コロナ禍で働き方が変わる中、企業はいかに従業員のモチベーションややりがいを担保していくかが重要」と指摘。(1)ビジョンや価値観をはっきりさせる(2)カルチャーを色濃くする(3)頻度高くコミュニケーションを取る――を柱にしたうえで、「オンラインツールでの声かけや個人面談に終始せず、会社や職場のビジョンを社員に共有・浸透させることで、連帯感を醸成していくことが必要です」と訴えました。

コロナ禍でどうやりがいを高めていくか

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発表会では、中規模部門で3位に選ばれたソフトウェア開発会社「サイボウズ」(本社・東京)の青野慶久社長が登壇し、従業員のやりがいを高めるための同社の取り組みについて語りました。

青野社長は、若手従業員の成長を阻む原因の一つとして、「大企業にありがちなのは、上司が『新しいことに挑戦しなさい』という割に、提案を持っていくと『前例はあるのか?』『コスト対効果はあるのか?』と詰めて、提案を却下してしまうこと」と指摘。全社員が新事業や新制度の提案ができる同社の「ファイヤースターター制度」を例に挙げ、「(事業や制度が)実現する過程を見せると、本人のやりがいも強くなる。小さな声も必ずすくい上げて、実現できなかったとしても、オープンな議論の場に出すようにしています」と話しました。

さらに、企業が従業員のやりがいを高める方法として、働く時間や場所のほかに、職種や仲間も従業員自ら選べるようにすることも効果的だそうです。同社の人事制度では、どの部署に異動するか自分で起案できるといい、青野社長は「人事権を個人に与えると、『キャリアデザインを決めるのは自分なんだ』という気づきが、自立心や自発性につながります。次々と問題は起こりますが、一つ一つに対応して進化していくのが、これからの企業だと思います」と述べました。

もちろん、従業員個人も、やりがいやモチベーションを高めていく努力は欠かせません。荒川さんは「自分の仕事に意味や価値を感じられるかが大前提。自分の部署が外からどのように見えているか、仕事先や他の部署にヒアリングするなどして、自分たちにしかできない役割や仕事の意味を言語化していくことが大切です」と話していました。

(取材/読売新聞メディア局 安藤光里)

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