「なるほどなるほど」の相槌にうんざりするのはなぜ?

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ビジネスシーンで「なるほど」を連発する人っていませんか? 読売新聞の掲示板サイト「発言小町」では、「なるほど」「なるほどですね」という言葉を繰り返す相手にうんざりしてしまったという書き込みがありました。同調や納得を示す意味で使った相槌あいづちが、なぜ、相手を不快な気持ちにさせてしまうのでしょうか。専門家に聞きました。

話し方をもう少し学ばれた方がいいですよ

トピ主の「まお」さんは、中年の女性。20~30代と思われる営業担当の女性から電話があり、仕事の話をしていたときのことです。相手の相槌がどうにも気になってしまいました。何か言うと、「なるほど」「なるほどなるほど」「なるほどですね」を連発。しまいに、あきれてしまい、何も言いたくなくなってしまいました。電話の最後に、「営業さんでしたら、話し方をもう少し学ばれた方がいいですよ。『なるほど』や『なるほどなるほど』を繰り返すのはちょっと違うと思います」と苦言を呈してしまいました。

このトピに対し、共感の声が相次いで寄せられました。

「あの若い者たちの『なるほどですね』ほど頭にくることはありません。あれって何なの、ホント」と書いたのは「同じく中年だ。」さん。「『なるほど』に『です』『ます』をつけているから丁寧語、とか?」「言葉づかいが分からないなら、もう全部『ハイ』でいいじゃん」とこぼします。

20代の「はなえ」さんも、「『なるほどなるほど』は、頭にきてしまうと思います」とトピ主さんの意見を支持。「友人ならまだしも、仕事の場面で、『なるほど』はちゃんと話を聞いてくれているのかなあと思ってしまいます」と説明し、信用度を落としかねないとしています。

写真はイメージです

「たしかに」「うんうん」の相槌も不快

「なるほど」は営業特有のトークスタイルなのでは、という意見もありました。

コールセンター関連の顧客対応業務に携わっているという「ぴにこ」さんは、例えば、お客さんが「信号機は白、黒、緑である」と間違った認識を示した場合に、「はい」と答えてしまうと、間違いに同調したことになるので、「あなたはそう思ったのですね」という意味で「なるほど」を使うそうです。「営業さんのセールストークスクリプトに『なるほど』が含まれているものと思います」とつづります。

「言葉は生き物。私は若い人が一生懸命話していたら、揚げ足取りのように言葉を注意することなどしません」(「けるん」さん)という書き込みもありました。

寄せられたレスの中には、「なるほど」だけでなく、「たしかに」「うんうん」「そうなんですね」などの相槌についても不快に感じたことがあるとの書き込みも。単なる相槌なのに、なぜ不快に感じられてしまうのか、敬語講師の井上明美さんに聞いてみました。

どこか偉そうな印象を与えかねない

井上さんによると、「なるほど」「なるほどですね」という相槌については、地域や年代によって「あまり抵抗感がない」との調査もありますが、改まったシーン、お客様や目上の相手に対して使用するのは、いずれも気になる言葉として挙げられると言います。

というのも、「なるほど」は、相手に同意や同調を示すだけでなく、相手の発言に対する「評価」が込められているためです。井上さんは、「相手の言葉に対して評価するということ自体失礼であり、その点が好ましくないと言われるのでしょう」と分析します。

「たしかに」という言い回しについては、「たしか(確か)」とは、間違いがない、はっきりしている、明らかなどの意味をもちます。しかし、ときに響きとして落ち着かない感じがするのは、「なるほど」と同じく、自分が相手の考えを判断・評価しているように受け取られてしまうためでしょう。

井上さんは、「気になる言葉や不快感を与える相槌として共通しているのは、自分が相手を評価しているような、どこか偉そうな印象を与えかねないという点です。同じ言葉を繰り返す相槌は、言葉足らずが敬意不足につながり、不快感を増幅させてしまいかねません」と説明します。

「なるほど」の言い換え例

「なるほど」は、実際の会話では、「同意」や「驚き」など広い意味で使われています。井上さんは、適切な言い換え例を次のように紹介します。

写真はイメージです

〈1〉同意を表す場合
「ほんとうにおっしゃる通りですね」
「お話しの通りと存じます」
「私もそのように思います」
「私もそのように感じておりました」

〈2〉驚きを表す場合
「そうですか、それは存じませんでした」
「それははじめてうかがいました」
「はじめてうかがいましてたいへん勉強になりました」

少し言葉を加えるだけで丁寧度がアップ

「なるほど」を使うとしたら、「なるほどなるほど」とその言葉ばかりを繰り返すのではなく、「なるほど、おっしゃる通りかと存じます」のように、後ろに別の言葉を加えるだけでも丁寧度がアップします。「たしかに」についても、「(たしかに)そうですね」「(たしかに)おっしゃる通りと存じます」など、「たしかに」で言い切らなければ、印象がぐっと良くなると説明します。「仰せの通りでございます」「(おっしゃる方法のほうが)確実ですね/間違いないですね」などの言葉がスッと出るとさらにスマートな相槌になります。

井上さんは、「上手な相槌は相手との会話を弾ませるもの。決して、相手の発言を評価することが目的ではありません。ですから、適切に言い換えることで、相手に誤解や不快感を与えず、信頼を得て関係性を築くことにつながります」とアドバイスします。無理に言葉を発しなくても、素直に「はい」と返事をしたり、深くうなずいたりするだけでも、敬意が伝わることもあると言います。

「なるほど」や「たしかに」という言葉を繰り返すだけでは、せっかく真剣に耳を傾けているのに、相手に気持ちがうまく伝わらないのかもしれませんね。声のトーンや間合いも含め、表現を磨かなくてはと思います。(メディア局編集部 鈴木幸大)

【紹介したトピ】
電話対応に苦言を呈してしまいました。
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井上 明美(いのうえ・あけみ)
ビジネスマナー・敬語講師

国語学者・故金田一春彦(事務所)元秘書。言葉に関するセミナー講師として、教育研修指導の場で活躍。コミュニケーションの基本とも言える言葉遣い・敬語について、手紙や会話での心くばりのある言葉の使い方や注意点について解説、指導をしている。All About「手紙の書き方ガイド」