紫外線ケアしているのに…研究で分かった「シミあり肌」に足りないモノ

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この季節、強い日差しが照りつけ、シミの大敵である紫外線が気になるところ。でも、紫外線ケアをしていないのに、年齢を重ねてもシミ一つない肌を持つ人もいます。そんな美肌体質の人とそうでない人には、「筋肉量」に大きな差があることが、ポーラ化成工業(横浜市)の研究で分かりました。同社研究員で、このほど出版された「美肌をつくる筋トレ」(新星出版社)の監修者の一人、錦織にしこおり秀さんに話を聞きました。

筋肉から分泌される“天然の美容液”

――美肌と筋肉には、どんな関係があるのでしょうか。

当社の研究によって、筋肉量が多い人ほど、顔のシミが少ないという関係性が分かりました。

シミの原因は一般的に、加齢や紫外線といわれています。ところが、長年のシミ研究で、多くの女性の肌を見ていると、紫外線ケアをちゃんとしているのに、若いうちからシミができてしまう人もいれば、その一方で、紫外線に気を使わずに年を重ねたにもかかわらず、シミができない人もいるんです。もしかしたら、加齢や紫外線のほかに、シミのできやすい「シミ体質」があるのではないかという着想に至りました。

20~30歳代で紫外線ケアをしているのに、シミがある女性約150人と、50~60歳代で紫外線をそんなに気にしていないけれど、全くシミのない女性約130人を集めて、遺伝子情報を解析しました。さらに、40~50歳代の女性100人を対象に、顔のシミと筋肉の量を測定した結果、シミ体質に関わる遺伝子は筋肉と関係していて、体重に占める筋肉量が多いほど、顔のシミの数が少ないという関係性が明らかになりました。シミだけでなく、シワや目立つ毛穴、肌の色むらなどが少ないことも分かりました。

「美肌をつくる筋トレ」P.6より

――体質的に筋肉量が多い人しか、美肌にはなれないのですか。

そんなことはありません。実は、研究にはもう一つ大きな発見があります。なぜ、筋肉量が多いと美肌になるのか――。その答えは、筋肉から分泌される物質「マイオカイン」にありました。

マイオカインには様々な種類があり、がんの抑制に役立ったり、記憶力を高めたりと、様々な効果が報告されています。そのマイオカインの一つ「マイオネクチン」に、シミの原因となるメラニンの生成を抑える働きがあることが分かったのです。市場に出回っているシミを防ぐ化粧品と同じ作用があるんですよ。

“天然の美容液”ともいえるマイオネクチンは、筋肉に刺激を与えることで分泌される。つまり、体を動かすことで、誰でも美肌効果を得られるのです。

筋トレのポイントは、下半身!

――運動するときのポイントは。

とくに意識して鍛えてほしいのが、下半身です。下半身の筋肉は全身の6~7割を占めるため、下半身の筋肉を鍛えると、筋肉量全体を効果的に増やすことにつながります。

また、下半身は、加齢とともに筋肉量が最も減る部位でもあります。ある調査報告によると、20歳時と80歳時の筋肉量を比べると、上半身の減少率は3.0%だったのに対し、下半身は28.5%に及んだほどです。20~30歳代から筋肉の減少は始まるので、若いうちから鍛えておくことが大切です。

――本書では、美肌をつくる筋トレを紹介していますが、ポイントを教えてください。

筋肉を効率的に増やすためには、筋トレ翌日の休息が大切です。でも、2、3日に1度のペースで筋トレをしても、なかなか習慣化しませんよね。そこで、下半身メインの筋トレの翌日には体幹メインの筋トレといったように、交互にトレーニングを行うことを提案しています。

どちらもメニューは二つだけ。それぞれ10回ずつの簡単なメニューです。どちらにも初級編と中級編がありますが、今回は初級編の下半身メインの筋トレをご紹介します。場所を選ばず、たったの3分でできるので、おすすめです。

〈スロースクワット〉

1. 両腕を肩の位置までまっすぐ上げ、足を肩幅に広げて立つ。(同P.62より)
2. おしりを突き出すようにしてゆっくりと腰を落としていく。ゆっくりと1の姿勢に戻る。(同P.63より)

3. 1~2の動作を10回繰り返す。

〈バックキック〉

1. 椅子の背などに手を置き、片膝をまっすぐ上に引き上げる。(同P.64より)
2. 上げた足をゆっくりと蹴り上げるようにして後ろへ伸ばす。ゆっくりと1の姿勢に戻る。(同P.65より)

3. 1~2の動作を左右の足で10回ずつ繰り返す。

「継続は力なり」…3か月後には美肌効果を実感

――筋トレの他にも、夏にしておくべき美肌習慣を教えてください。

一つには、食事が挙げられます。夏バテで食欲が低下すると、栄養の摂取量が減ってしまう。その一方で、紫外線は強くなっていくため、肌へのダメージはどんどん大きくなっていくんですね。その肌ダメージを修復することが必要ですが、肌も筋肉も、源となるのはタンパク質。まずは、タンパク質を積極的に摂取することが重要です。

肌に弾力を与えるコラーゲンもタンパク質ですが、紫外線が原因で分解されてしまいますのでしっかり摂取しましょう。ビタミンCと鉄も、コラーゲンを作るために必要です。さらに、ビタミンCは、抗酸化作用が強いので、肌のダメージを抑えてくれます。緑黄色野菜をたくさん食べてください。

日焼け止めも忘れずに。テレワークになり、室内ですっぴんで過ごす人が多いかもしれませんが、紫外線はガラスやカーテンを透過します。部屋でも日焼け止めは欠かさないようにしましょう。室内で使う場合は、SPF30、PA+++もあれば十分。こまめに塗り直してくださいね。

――コロナ禍でテレワークになり、運動不足のOTEKOMACHI読者も多いと思いますが……。

ちょっと走ったり、階段を上ったり、そういった活動量が減ると筋肉への刺激、そして筋肉量も落ちるので、マイオネクチンによる美肌効果が下がってしまいます。血流量も減るので、例えば、肌がくすみやすくなり、老廃物も蓄積されていってしまいます。発汗量も減るため、皮脂がたまってニキビや吹き出物の温床になるおそれもあります。

元々、強い紫外線を浴びてシミができやすい季節ではありますが、運動不足やストレスなどが重なり、今年はいっそう肌への負担が大きい夏になりそうです。

本書で運動監修を行った立命館大学の藤田聡教授によると、個人差はあるものの「毎日続ければ1か月たたないうちに習慣として身につき、2か月続けた頃には筋肉量が増えます。3か月後には、肌で効果を感じ始めるでしょう」といいます。筋トレは、引き締まった体を作り、むくみなども解消してくれます。「継続は力なり」。まずは3か月続けてみてください。

(取材/読売新聞メディア局 安藤光里)

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