元NEWS・手越の劇場型退所会見で抱いた違和感と矛盾

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会見する手越祐也さん(伊藤紘二撮影)

6月19日にジャニーズ事務所を退所した元NEWSの手越祐也さん(32)が23日に都内で会見を開き、今後の活動などについて話しました。約2時間の会見はユーチューブで生配信され、再生回数は7月1日までに980万回以上に及ぶなど異例づくし。しかし、退所の背景など、彼の熱弁とは裏腹に違和感や矛盾、詰めの甘さが多々感じられました。

手越さんは、新型コロナウイルスの感染拡大で外出自粛が呼びかけられていた中、女性を伴った会食に参加したとして週刊誌で報道され、5月26日に無期限の活動休止処分が下されました。それから、わずか1か月弱で「スピード退所」した手越さん。まず、会見では退所に至った経緯などに注目が集まりました。

「メンバー愛」強調の一方、ツアー未完で脱退

N=「NEVERLAND」、E=「EPCOTIA」、W=「WORLDISTA」と、NEWSはグループ名のアルファベットから名付けた三つのコンサートツアーを2017年から行っています。最終章にあたる今年は「S」から「STORY」というツアーを3~6月に行う予定でした。新型コロナの影響でツアーは中止されましたが、ファンと育ててきた一大プロジェクトで、いつか完成させるはずと記者も信じていただけに、なぜ今辞めたのか、彼の口から聞きたいと思いました。

会見で、手越さんは「5、6年前からもっと男としてチャレンジしたいなというのが正直あった」と説明。今年3月、「STORY」後に退所したいという意向を事務所とメンバーには伝えていましたが、新型コロナでツアーができるか見通せない中、退所が早まったといいます。また、メンバーとの間にトラブルはなく、「NEWSは心から大好き」「今でも家ではNEWSのツアーTシャツを着ている」と強調していました。

しかし、手越さんが「メンバー愛」を語れば語るほど、なぜツアーを完走しないまま退所を優先させたのか、疑問は深まるばかりでした。

メンバーに関して言えば、会見直後に配信した動画で、手越さんは「今後、NEWSと絡みたい」と話していました。辞めたタレントは事務所関係者と共演しないという「慣習」に風穴を開けたかったのかもしれませんが、それを口にされるとNEWSのファンはいつまでも踏ん切りがつきません。退所するからには、希望を抱かせるような言葉は、今は控えたほうが好ましいと感じました。

コンサートで見る手越さんは満面の笑みでファンに手を振るなど、誰よりも熱心にファンサービスをする様子が印象的でした。ファンのことが大好きだった手越さんの姿を思い返しても、退所についてモヤモヤした気持ちが増すばかりです。

釈然としない今後のビジョン

ツアーをやり遂げないまま、そしてメンバーやファンを置き去りにしてまで彼がやりたかったことも、会見では釈然としませんでした。

これから挑戦したいこととして、手越さんはボランティアやSNSの活用、海外進出などを挙げていました。確かにジャニーズ事務所はインターネットでのコンテンツ配信に慎重で、SNSの活用やネット配信が目立ち始めたのは、ここ1、2年のことです。とはいえ、インスタグラムなどのアカウントを開設できているタレントはいるわけです。ジャニーズは災害が起こる度にボランティア活動に積極的に取り組み、海外ドラマに出演したタレントもいます。なぜ手越さんにはこれらが任せてもらえなかったのか、きちんと事務所側とコミュニケーションが取れていたか、考える余地があるでしょう。

「必要な外出」と行動を正当化

会見で、手越さんは女性たちを伴った会食を認め、今後の活動について話し合うためで「不要不急の外出ではない」などと釈明。「アメリカに強いハブがある人とズームで打ち合わせした」と雄弁に語っていただけに、「東京の打ち合わせもズームでやればよかったのに」と思わずツッコミたくなりました。ジャニーズは中高生など若年層をターゲットとしている節が多々ありますが、だからこそ、コロナ禍で若者の見本となる行動を求められるのは当然のことです。

このほか「扶養に入れている母親を養わなければいけない」と言いつつ、「レギュラーで出演していた番組にはノーギャラで出たい」と発言。事務所とのトラブルを否定しながらも、「仕事の運びにスピード感がない」「やりたいことを思い通りにやりたい」など事務所への不満ともとれる部分もありました。会見では自身の行動を正当化していて、矛盾を感じる発言が随所に見られました。

ジャニーズタレントから「32歳の社会人」に

手越さんは、「ジャニーズなのにヤンチャ」「ジャニーズなのにチャラ男」など、どちらかというと好意的に捉えられていました。しかし、ジャニーズというブランドから飛び出し、物事を自由に語れる立場になった瞬間、「32歳の社会人」としてジャッジされ、生配信中、ユーチューブやツイッターでは辛らつなコメントが目立ちました。なかなか世間の厳しさを感じますが、それを選んだのは彼自身。結論から話さず、同じ内容を繰り返す彼の話術も少し幼稚で、主張の分かりにくさに拍車をかけた気がします。

5月26日に手越さんの活動休止が発表された際、事務所はこれまで厳しく指導してきたものの、「今日に至るまで本人に理解させることができず、ファンの皆様や関係者の皆様には大変申し訳なく、責任を感じております」というコメントを発表しました。その時は奇妙なコメントを出すなあと思いましたが、自我が強い会見を見て、コメントの意図や背景が何となく分かった気がしました。

NEWSは、人気を集めていた山下智久さんと錦戸亮さんが2011年に脱退した際、「イチゴのないショートケーキ」だと揶揄やゆされました。なかなかCDがリリースできず、メディアの露出が減ったこともありました。しかし、残った4人は奮起し、東京ドームでコンサートができるまでに成長。あの時は4人が結束し、同じ方向を向いていたのに、いつの間にか1人が別の夢に向かって歩み始めたことを考えると、悲しく思います。NEWSが4人になって初めてのコンサートで、メンバーとファンが流した涙は何だったのだろう――。デビュー当時からNEWSを見守ってきた記者自身、悔しいから、退所について怒りが湧いてくるのかもしれません。

時間がかかるかもしれませんが、手越さん、残ったNEWSのメンバー、そしてファンにとって、この決断が最良だったと思える日がくることを願います。
(読売新聞東京本社 山村翠)

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