新型コロナで立ち会い出産、面会NG…妊産婦の不安を解くために

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新型コロナウイルスの感染拡大防止策として、多くの産科施設が家族の立ち会い出産や出産後の面会などを禁止・制限するようになりました。思い描いていたような出産ができないとわかり、落ち込む人も。読売新聞の掲示板サイト「発言小町」には、出産を控える女性から「たった一人で産むなんて……」という不安の声が寄せられています。彼女たちの不安を解消するためには何が必要か、専門家に話を聞きました。

「一人で乗り越える自信ない」

「立ち会いなし出産不安。。」のタイトルで投稿をしたのは、初めての出産を控えた妊娠31週目の「みき」さん。新型コロナの影響で、出産予定の施設で夫ら家族の立ち会いができなくなりました。「長い陣痛分娩を一人で乗り越える自信がありません。旦那に『大丈夫だよ!』と言ってもらうとか、近くにいてもらって手を握ってもらえただけで安心して頑張れるのに……」と「みき」さんは心情を吐露。陣痛室に一人でいる自分を想像するだけで涙が出てしまうといい、「どうしたら前向きになれますか?」と問いかけました。

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同じように、初産で臨月の「ゆう」さんからも、「赤ちゃんを産んだ後も、家族や友人、旦那とも面会が出来ないので、本当に不安です……。陣痛の時も、ずっと助産師さんがついてくれているわけではないんですよね……??」と不安を打ち明ける投稿が寄せられました。

楽しみにしていた友達作りも

「妊娠が分かった矢先にコロナが流行してしまい、妊娠中にやりたかったこと(マタニティ教室に通って友達作りしたり、子供ができてからやれなくなることを思いっきりしたり)ができなくなってしまいました。ぎりぎりまで続ける予定だったパートも、身体を優先して安定期に入る前に辞めました」と書き込んだのは「りん」さん。家にいながらも充実した日々を送ろうと、ベビー用品を手作りしたり、動画配信サービスを見たりしているものの、「なんとなく寂しいなーと思って落ち込む時がある」そうです。

こうした妊婦たちの声に、反響が次々と寄せられています。

立ち会い出産については、自身の経験から「それほど重要ではないかも」と指摘する人が目立ちます。「陣痛が強くなってくると、主人の存在など、それどころじゃなかったです」(「Maple」さん)、「旦那はただただ見ていただけで役には立ちませんでした」(「ぽん」さん)、「(夫は)陣痛中に腰をさすりながら背中に隠れてモンストをやっていた」(「スタンママ」さん)といったエピソードが寄せられました。

先月、立ち会いなしで出産した「よしま」さんからは、「痛いのはもうしょうがないので、『あーきたきた~』くらいの感じでスルー。病院に着いたら、すぐ手の届くところに飲み物や痛み逃しに使いたいものを置いておくことです! 旦那さんがいたら取ってもらえますが、スタッフさんはいるかわかりません」という具体的なアドバイスがありました。

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ベネッセコーポレーションの「たまひよ」が4月、3207人の妊産婦に実施したインターネット調査によると、「新型コロナで、出産への影響が大きかったこと」(複数回答)は、「両親学級の中止による情報不足」(61.0%)が最も多く、「入院中に面会ができなくなった」(55.1%)、「出産時の配偶者・パートナー立ち会いができなくなった」(51.8%)が続いています。

オンライン両親学級が好評

こうした妊産婦やそのパートナーの不安を解消しようと、オンラインでの両親学級が登場しています。

妊娠・出産・育児に関する情報サイトを運営する「ベビカム」(本社:東京都千代田区)は、4月にウェブ会議システム「Zoom」を使って「オンライン ベビカム両親学級」を実施したところ、定員の4倍もの希望者がありました。今月からはオンライン両親学級を常設化し、出産の基本を学べる基礎クラスのほか、妊娠中の食事のこと、育児にかかるお金のこと、妊娠週数に合わせた注意点などを学べる特別講座を用意しています。また、病院や自治体向けに、ITに詳しいスタッフがいなくても短期間でオンライン両親学級が開催できる、両親学級スタートアップ支援サービス「ClassONLINE」を始めました。

ベビカム社のオンライン両親学級には、パートナーと一緒に参加する女性の姿も。

「たった一人で……」は誤解

ベビカムのアドバイザーを務める聖母病院看護部長の山本智美さんに、これからお産を迎える女性やその家族にアドバイスをしてもらいました。

――立ち会い出産がかなわない女性の「たった一人で産むなんて……」という不安はどうしたら解消できますか。

初産というのは、ただでさえ不安があるのに、新型コロナという新しい要因が増えたので悩むのは当然だと思います。でも、きちんと妊婦健診に行って、ご自分の疑問や不安をある程度お話できていれば、それほど心配することはありません。

私が妊婦さんたちの相談に乗ってみて、よかったと思うのは、やり取りの中で妊婦さんご自身が勘違いに気づくことが案外多いことです。例えば、「外出自粛でなければ、マタニティーヨガをしたかった」という方に、「おうちでもできるのでは?」と問いかけると、「そうですね、できますね」と納得された様子になるのです。ある妊婦さんからは「私は、荷物を持って、どうやって病院まで来たらいいのでしょう」と質問されたので、「旦那様に病院の玄関まで送ってもらったら?」と返すと、「それ、いいんですか」とびっくりされたり(笑)。「たった一人で……」というのもある意味、誤解だと思いますよ。

――どういう点が誤解なのでしょうか。

入院すれば、医師や助産師、看護師がいます。決して一人ではありません。お産の経過が順調か、見守りながら適切なケアをしていくのが、私たちの仕事です。立ち会い出産なんて、一昔前はなかったわけですから、そこに重きを置くよりも、今できるのは、ポジティブに考えること。お子さんが生まれた後の家族の面会禁止についても、母と子がゆったりと過ごせる時間が確保できたと考えたらいかがでしょうか。自宅に帰ったら、なかなかそういう余裕は持てません。何事も考え方次第だと思います。

――立ち会い出産をしたかったという女性の中には、「夫に赤ちゃんのリアルな姿を見せたい。育児に協力的にもなるし、それがパートナーシップにつながる」という考え方があるようですが。

「夫の教育」のようなことですか? それはあくまで妻側のニーズであって、出産に必要なこととは言えないと思います。むしろ、どういうことを助けてもらいたいと思っているのか。妊娠中で時間があるときにこそ、お互いにコミュニケーションを深めることが大切です。どのタイミングになったら入院するのか、病院への移動手段はどうするのか、連絡はどうするのかなども、事前に話をしておくといいですね。また、出産時に勇気づけてくれるようなものを、入院の荷物に入れておきましょう。お気に入りのぬいぐるみでも、ご家族の写真でも何でもいいです。

――なるほど、入院準備ですね。そのほかに出産前にこれだけは準備しておいたほうがよいと思うものはありますか。

退院後の生活で必要になる赤ちゃん用品は、余裕をもって用意してください。また、赤ちゃんとの生活が始まったら、小児科クリニックは近くにあるのか、夜間診療はどうなっているのかなども調べておくことです。子育てはどう頑張っても、夫と二人きりで乗り切れるものではありません。実家の親に手伝いに来てもらうのか否か、いつ会わせるかなど、迷うことはたくさんあると思います。不安に振り回されるのではなく、正しい情報に基づいて、その都度判断していく。それしかありません。

(読売新聞メディア局編集部・永原香代子)

【紹介したトピ】
立ち会いなし出産不安。。
コロナの影響で~~~!(初心者妊婦です)
(コロナ自粛)妊婦さんの過ごし方を聞かせてください!

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