家庭学習の子どもにイラッ…勉強を教えるのがうまい親の共通点

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新型コロナウイルス感染拡大による休校で、子どもたちは家庭学習を強いられ、見守る親も対応を求められています。「9月入学」「分散登校」「公私間格差」など学校のあり方を巡る議論が高まり、その動向にやきもきしている保護者もいるでしょう。いつまでも勉強しない子どもにイライラしたり、学校再開の動きに不安になったりしがちな今、子どもとどう向き合うべきか。教育・受験指導専門家の西村創さんに聞きました。

「勉強しなさい」は勉強しないように促す行為

――休校になってから、子どもに「勉強しなさい」が口癖のようになりました。しかし、子どもは聞く耳を持ちません。

「勉強しなさい」と言うのは、勉強しないように促すのに近い行為です。親にとってみれば、漢字を覚えたり、算数のドリルを進めたりしてほしいと思うかもしれませんが、ここは考えを変えて、読書や、テレビ番組、映画を見ることも、「勉強」ととらえてはいかがでしょうか。

「東大王」などのクイズ番組は世代を超えて勉強になりますし、読書や映画など、子どもがとっつきやすいものに関心を向けさせるようにした方が建設的です。家庭で学ぶ時間は、学校とは違う「勉強」をするチャンスでもあります。

YouTubeには、ユニークで教え方のうまい講師の授業動画がいくらでもあります。教科書に頼らず、計算問題を分かりやすく説明したり、お笑い芸人が先生役になってくれたりする動画は人気です。この機会に「勉強」という概念を少し変えてみてください。

――落ち着いて勉強しない子どもにイライラします。

外出自粛や在宅勤務など慣れない状況が続き、親の方もストレスがたまっているはずです。その上、子どもの家庭学習が気になっては、イライラもするでしょう。

何かを学ぶとき、子どもは、自分で答えの出し方をひらめいたり、悩み抜いて答えを見つけたりすると、大きな喜びを得ます。教育熱心な保護者は、一生懸命なあまり、すぐに解き方や答えを教えてしまいがちです。これでは、子どもの楽しみを奪ってしまい、勉強嫌いになりかねません。
親子の関係は「車間距離」と同じです。近くなり過ぎると衝突してしまいます。後ろからしつこくあおれば、子どもは恐怖に感じてしまうこともあります。

写真はイメージです

子どもが参考書やドリルに飽き飽きしているようなら、「運動」や「料理」に親子で挑戦してみてください。例えば、外食する代わりに、普段使わない食材で新たな料理にトライしてみるなど、親自身も楽しめるような取り組みはどうでしょう。教えるのがうまい親は、学習する内容が具体的な日常生活に当てはまるところを探して、一緒に楽しみながら試しています。

「ボールで地球の自転をやってみて」
「パプリカはどの野菜の仲間か?」
「ロールケーキを5等分にする方法は?」

こうした姿勢が子どもの知識を定着させ、知的好奇心を引き出すのです。

教える技術よりも必要なもの

――教え方が上手になる方法はありますか。

ひとことで言えば、「待つ」ことです。教えようとせず、「気づかせる」ことです。教え上手になるために必要なことは、「教える技術」よりも、「忍耐力」を身に付けることです。「分からない」「できない」という子どもに歯がゆく思い、イラッとし、一方的に教え込もうとする親がほとんどでしょう。そうではなく、辛抱強く、子どもができるようになるまで待つことです。待ってもできないようであれば、ヒントを与えて、自分で気づくよう引き出すのです。

「さっき解いた問題をもう一度見直してみようか」
「この問題、以前に解いた問題に似ているね」
「計算ミスがないか確認してみたら」

このように、答えを教えるのではなく、ヒントを与えます。まずは間接的なヒントを与え、それでも分からないようであれば、もう少し直接的なヒントを出します。大切なのは、答えは決して言わないこと。ほとんど答えを言っているようなヒントであっても、子どもが自分でひらめいたと実感できればいいのです。

写真はイメージです

学校再開後も家庭学習は重要

――各地で学校再開の動きがあります。長い休校期間が明けて、子どもが学校生活をスムーズに始められるか不安です。

まず、生活リズムを改めましょう。通学時間に合わせて起床するなど、生活スタイルを見直します。勉強については、教科書の虎の巻と呼ばれる「教科書ガイド」の売れ行きが好調と聞きます。学校再開に向けては、しっかりと準備をして臨む子とそうでない子が二極化する可能性があります。せめて、1学期に学ぶはずだった範囲を教科書で見直すなど、準備を心がけましょう。

西村創さん

子どもに勉強を教えるというのは、学校の先生や塾の講師でも一筋縄ではいきません。親や先生の言うことを素直に聞いたか、自身の子ども時代を思い出してみてください。家庭学習の指導が難しいと感じるのであれば、今はオンラインの動画や教育サービスを取り入れるという手もあります。オンラインに抵抗がある親もいるかもしれませんが、生まれたときからスマートフォンやYouTubeが当たり前の子どもたちにとって、オンライン学習はすんなり受け入れられる可能性もあります。

学校が再開されたといっても、子どもたちを取り巻く状況はしばらく大変そうです。勉強については、ますます家庭学習の役割が重要になるでしょう。親子で「新しい家庭学習」に挑戦してみてください。

(メディア局編集部 鈴木幸大)

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西村 創(にしむら・はじめ)
教育・受験指導専門家

大学入学と同時に栄光ゼミナールや明光義塾で講師のアルバイトを始める。新卒入社の早稲田アカデミーでは入社初年度に授業満足度1位を獲得。駿台のシンガポール校講師、香港校校長などを経て現職。早稲田アカデミー、駿台、河合塾Wingsなどで指導歴25年、指導生徒は3000人以上。家庭教育や受験指導に関する講演活動や著書多数。マナビナビ