ロックダウンの都市で暮らす「海外小町」が情報交換していること

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世界中で新型コロナウイルスが猛威をふるい続けています。読売新聞の掲示板サイト「発言小町」では、ロックダウン(都市封鎖)された地域に暮らす「海外小町」たちが、それぞれの様子を伝えながら、励まし合っています。海外在住のフリージャーナリストにコロナ禍での情報収集の注意点について話を聞きました。

欧州在住の「もとりーな」さんは3月末、「海外在住ロックダウン談義」というトピをたてました。「事態の終焉しゅうえんが見通せず、不便、不安、ストレス等を感じながら生活している海外在住者の皆様の意見交換や雑談場所になれば」との思いからです。自身について、外出できない生活のストレスを打ち明け、家の中での家族との距離の取り方や自炊の工夫などをつづりました。

このトピに、欧州のみならずアメリカ、東南アジアなど世界各地から130を超える反響が寄せられました。

週に何回、買い物に行くかや、トイレットペーパーが買えるかどうかなど、買い物に関する書き込みが多数ありました。

アジア圏に住む「マンゴー」さんは、「ロックダウンが発表されて、あせってpanic buyをしてしまいました」と打ち明けます。その後、スーパーに滞りなく商品が並ぶようになり、「私の心も落ち着いてきて、排ガスに覆われた空が姿を消し、南国特有の抜けるような青空と力強い太陽に心が癒やされています」と続けました。

オーストラリアの「さやか」さんは、「1週間はお店からお肉お魚がすべて消え、意図せずベジタリアンの1週間を過ごすことになりました」と振り返ります。アジア系の人への偏見もあるようで、米ニュージャージー州からは「手作りの大きなマスクをして消毒液を持って出かけると、他の買い物客が私を避けようと通路を空けるのが露骨にわかります。お陰で私はスイスイお買い物」(「PINK」さん)という書き込みがありました。

オンラインでの学習など子供の様子を伝える投稿もありました。パリ在住の「かえで」さんは、9歳の娘と夫の3人暮らし。午前中はネットで出されている課題をこなし、11時から放送される教育番組を見てお昼ご飯。午後は動画サイトで1時間のダンスタイムです。「今、勉強だけでなく生きる力が試されてるのだと(娘に)繰り返し言ってます」(「かえで」さん)。

外出自粛が続き人気のない米ニューヨークのマンハッタン(ロイター)

離ればなれの家族に思いをはせ

日本に住む高齢の親に思いをはせる書き込みには、胸が詰まります。オーストラリア東部に住む「遠すぎる」さんは、がんを患う実母が日本にいます。見舞いたくても帰れそうもない状況に陥り、心情を吐露しました。「元気でいてほしい。帰るまで、生きていてほしい。待っていてほしい。それだけです」。老人ホームにいる母親に会うはずだったという「欧子」さんも、「きっと皆で乗り越えられる。この次日本行きの飛行機に乗ったら、あんまりうれしくて涙が止まらないかもしれない。お母さん、それまで元気でいてほしい」とつづりました。

悲しみの中で、前向きに過ごすために

身近な人が感染して亡くなる事態に直面している人もいます。そうした一人、アメリカ西海岸の「ZZ」さんは、「かなしくて情けなくて、外に降る雨を見ながら、どうか助かってとお祈りしていました。『強くなければ。なんとか生き延びなければ』と心持ちが変化しています。みなさん、これからが正念場だと思います。気を強く持って、頑張って、なんとか乗り越えましょう」と訴えました。

厳しい環境のなかで、ポジティブに過ごすための工夫も紹介されています。米ニュージャージー州の「nigomom」さんは、「懸案だった台所の床の貼り替えプロジェクトに着手できた」そうです。「(家族)3人でわいわい話したり、音楽に合わせて歌ったり踊ったりしながら作業するのは楽しいです。つぎのプロジェクトも切れ目なく用意して、ある日外に出られるようになったら、家が見違えるように!なっているかしら。みなさま、Let’s keep a level head(平常心)で行きましょう!」

日常の過ごし方を参考にする

こうした掲示板での情報交換について、ロンドン在住のジャーナリスト小林恭子さんは、「コロナで外出もままならない海外在住の日本人にとって、日本語で情報交換ができることが最大の利点ですね」と評価します。

スカイプなどで日本の家族や友人と交流はできても、時差などがあり不便です。そして、ネット上には真偽の定かでない情報があふれています。「外出禁止で、同居している人以外と会ってはいけないとなると、物理的にだけでなく、心理的にも孤立しがちです。ですから、日本語で、日本人同士での情報交換の場があれば、とても有益ですし、ほっとします。また、プラットフォームがしっかりしているところであれば、個人的な中傷などをされずに、安心して話せます」と小林さん。ただし、掲示板も「一つの情報源」というスタンスをもって接するようにしたいものです。

同時に小林さんは、デマに惑わされないよう注意を促します。「新型コロナについては、専門家でさえも、まだわからないことがいろいろあります。デマに惑わされないためにも、ほかの国でどんなことが話題になっている、あるいは常識となっているのかを知ることは大切だと思います」と指摘します。そのうえで、「事態が深刻な国・地域では、あまり深刻ではない国と比べると、人々の生活の仕方や行動制限、意識が違います。ですから、もし状況がもっと深刻になったらどう対処するべきかを、海外の体験から知ることができる」と助言します。家族同士の接し方や家事の分担、食事や運動の仕方など、日常の具体的な過ごし方をそうした国々から学び、日本でも応用するとよさそうです。

小林さん自身、「どうやってストレスを解消するのか、みなさんと情報をシェアしたいです」と言います。感染拡大を防ぐために目的意識を皆で共有し、他者との接触を減らすことが必要ですが、長期戦を乗り切るためにも気晴らしは欠かせません。

小林さんは、この危機を乗り越えるために、気をつけたいことを二つ挙げます。
一つ目は、「怖がり過ぎない」ことです。例えば、ニューヨークに住む人が様々な動画をSNSに投稿していて、スーパーにさえ行くことを控えたり、買ってきたものをすべて除菌したりしています。こういうものを見ていると怖くなってしまいます。見過ぎない、とらわれ過ぎないことも大切でしょう。

二つ目は、どの情報が正しいのか、できうる限り公式情報を見ること。「専門家」と言われる人にもいろいろいて、意見もまちまちです。「公式(政府や公的機関)の情報を中心に調べ、感染を防止するためのアドバイスをよく守りたいものです」

最後に小林さんは、こう締めくくります。「近所の女性と私の母、それに家人が言うのは、『いつかは、この騒ぎもなくなる。おろおろするな』です。私はおろおろしてしまうのですが、このメッセージを日本の皆さんにも送りたいです」

(読売新聞メディア局 小坂佳子)

【紹介したトピ】
海外在住ロックダウン談義

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