「子供の混浴」は何歳までオッケー? 海外では

サンドラがみる女の生き方

多くの日本人にとって癒やしの場所であるスーパー銭湯や温泉。家族でこのような場に出かける場合、小さい男の子がお母さんと一緒に女湯に入ることもあれば、小さい女の子がお父さんに連れられて男湯に入ることもあります。その一方で、「子供の混浴はいったい何歳まで?」と戸惑いの声を聞くこともあります。そこで、ニッポンとヨーロッパの混浴事情について考えてみました。

地域や区によって違う規定

混浴について調べてみると、「何歳までの女の子が男湯に入れるか」、または「何歳までの男の子が女湯に入れるか」いう年齢制限の規定は地域によって異なります。たとえば、東京都は条例で「10歳以上の男女を混浴させない」と定めており、混浴が可能な年齢は9歳までです。これよりもっと緩いのが北海道や岩手県などで、11歳まで混浴が認められています。最も厳しいのが京都府で、6歳までしか混浴が認められていないのだとか。

なかには千葉県のように、子供の年齢について条例に明記していないところもあったりして、「同じニッポンでもここまで違うのか」となんだか面白いです。このように、地域によって規定が違うため、一律に「混浴は何歳までオッケー」とは言い切れず、これが混乱のもとになっているようです。また、都道府県の規定でなくても、スーパー銭湯や健康ランドが「身長が何センチ以上の子供は混浴できない」といった独自の決まりを定めている場合もあるので注意したいところです。

ヨーロッパでの「混浴」とは?

筆者の母国ドイツには、日本のような銭湯文化はありません。温泉は存在するものの、「温泉に入ること」自体があまり一般的ではなく、「病気の療養のため」など理由があって入ることが多い印象です。また、温泉に入るときは水着を着用するため、男女別に分かれていることはなく、日本のような年齢制限は特に設けられていません。

「日本では知らない人同士でも、裸で一緒に温泉に入る」と話すと、驚くドイツ人が多いので、「ドイツの人は保守的なのかな」と思われるかもしれません。しかし、実はドイツのサウナには性別による区別はなく、いわば「男女混浴」なので、逆に日本人はびっくりしてしまうわけです。

写真はイメージです

このように男女混浴のドイツのサウナですから、子供に関しても性別に関係なく、男女混浴サウナに入るのは普通のことです。ただ、「子供のサウナは何歳から?」と話題になることはよくあります。

たとえば、自宅にもサウナがあることの多いフィンランドでは、お医者さんと相談しながら、赤ちゃんが健康であれば、家族が赤ちゃんと一緒にサウナに入ることもあるようです。ただドイツの場合は、サウナというと、やはりスポーツジムやプールなど他の人とも一緒に入るところが多いので、子供が入るには、「オムツが取れている」というのが一つの条件になります。また、熱さに耐えられない場合などに、そのことを口に出して言える年齢の子供、つまり「自分の言葉で意思表示のできる年齢であること」が一つの目安になっています。そのような理由から、多くのドイツの施設では「3歳から」としているところが多いです。

ドイツでは、「子供なのに、自分とは性別の違う裸の大人と一緒にサウナに入ってもいいのか?」という議論はあまりされません。どちらかというと、どれだけ子供をサウナに入れたら健康なのか、どうやって子供を徐々にサウナの熱さに慣らしていくか、子供に楽しんでもらうためにはどうしたらよいのか、といったことが話題に上がります。

「ハマム」文化が盛んなトルコやイラン

トルコやイランにも、日本の銭湯と比較できるような公衆浴場「ハマム」があります。日本と同じく長い歴史を誇るものですが、ハマムには使い捨てのパンツをはいて入ります。そして「浴槽につからない」というのが日本の銭湯と大きく違う点です。温泉地に行けば湯船が付いているハマムもあるとのことですが、一般的には湯船がなく、シャワーやマッサージを楽しむとのことです。湿度の高いサウナのような空間で汗を流し、追加料金を払えば、日本でいうアカスリをしてもらうこともできます。

写真はイメージです

日本では、入浴後に牛乳やヨーグルトドリンクを飲みますが、トルコでは、温かいチャイや、花のエキスやハチミツが入った冷たい飲み物を飲むのだそう。公衆浴場が単なる「体を清潔にする場」ではなく、その後に、飲み物を飲んでリラックスしたり、顔なじみの人とおしゃべりをしたりするなど、社交の場であることも日本とよく似ています。ハマムも、日本の銭湯と同じく、今は数が少なくなってきているという寂しい共通点もあります。

トルコ人の知人に聞いたところ、ハマムでは基本的にお母さんが子供を連れていくため(父親が娘を連れて行くことはない)、男児はよく女湯で見かけるのだとか。年齢は、小学校低学年ぐらいまでなら大丈夫でしょう、とのことでざっくりしているようです。この知人は「大人と浴場に入ることで、社交性が身につく」と言っていました。日本でも子供が銭湯に通うことで、「湯船につかる前にかけ湯をする」といったマナーが学べてよいと考えられています。そういう意味でも、ちょっと似ていて面白いですね。

早く新型コロナが収束し、こういった癒やしの時間を心から楽しめる日が来るのを祈るばかりです。

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サンドラ・ヘフェリン
サンドラ・ヘフェリン
コラムニスト

ドイツ・ミュンヘン出身。日本在住22年。日本語とドイツ語の両方が母国語。自身が日独ハーフであることから、「多文化共生」をテーマに執筆活動中。ホームページ「ハーフを考えよう!」
著書に「ハーフが美人なんて妄想ですから!!」(中公新書ラクレ)、「満員電車は観光地!?」(流水りんことの共著 / KKベストセラーズ)、「体育会系 日本を蝕む病」(光文社新書)。