「また病状聞くの?」薬剤師にイラッとした時、知っておきたいこと

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体調が悪くて医療機関で診断してもらった後、処方せんを持って行った調剤薬局で改めて病状などを聞かれ、イラッとした経験はありませんか。読売新聞の掲示板サイト「発言小町」には、医師に聞かれて説明したことを薬剤師にも聞かれたという女性から「正直、『いいから早く薬を出してくれー!』と言いたかった」と振り返る投稿が寄せられました。なぜ薬局では、病状を詳しく聞こうとするのでしょうか。専門家に聞いてみました。

医師に答えたことを重ねて質問

トピ主「ゆきだるま」さんは、下痢とおう吐があり、病院で胃腸炎と診断されました。その帰り、断続的に襲ってくる下痢と吐き気におびえながら調剤薬局に駆け込んだところ、年配の薬剤師の女性から「今日はどうしました?」と聞かれました。自分の状態を話すと、「いつから?」とさらに質問されました。ついイラッとして「詳しいことはお医者さんに言いましたけど?」と、やや大きな声で言うと、調剤室から他の薬剤師が出て来て、「申し訳ありません」と、すぐに薬を出してくれたそうです。

トピ主さんは、「薬剤師とは、処方せんに書いてある通りの薬を出し、薬の飲み方などの注意点を伝えればいいのでは?」と、発言小町に疑問をつづりました。

この投稿に、170通を超える反響が寄せられていますが、同じような経験をしている人が目立ちます。

「先日、2歳の子供を連れて調剤薬局に行ったとき、『今日はどうしました?』などと症状を詳しく聞かれました。私は臨月。薬局の中で走り回りたい子供を捕まえて抑えているのが精いっぱいなのに、ゆっくり質問されて困惑しました」と打ち明けたのは「さくら」さん。他にも、「薬を処方してもらうとき、わたしも毎回同じ目に遭います。あのプチ問診、なんなんですかね」(「すなば」さん)、「ここでもう一度説明したら薬が変わるのかよと私も思います。ただでさえ、薬局に行くのは手間なのに面倒くさいですよね」(「匿名」さん)といった声が寄せられました。

これらに対し、反論もあります。

「私の勤務先は処方せんを出す側ですが、入力ミスで内服(定期的に飲む薬)と頓服(症状が出た時に飲む薬)が逆だったり、同一薬剤を別の用法で出していたりして、気づいた薬剤師さんから連絡をもらうことがあります。また、診察時に患者さんが申告してくれなかった他院での処方に薬剤師さんが気付いて連絡をもらうことも。ミスを減らすための必要なシステムだと思えば良くないですか?」と問いかけたのは「くもり空」さん。

「はれた」さんも、「症状を確認するのは調剤薬局の薬剤師の義務です。薬の間違いがないかを確認する重要な質問ですので、『いいから早く薬を~』の気持ちはわかりますが、(質問を省くことは)出来ません。そこは理解しましょう」と書き込みました。

実際、「私の家族は、薬の数が足りない、同じ効能の薬が重なって出ている、他病院の薬と飲み合わせが悪い、を薬剤師さんに発見してもらい、病院に連絡してもらったことが何回かあります」(「ペンギン」さん)、「前回出してくれた薬を医師が処方せんに書いていなくて、それに薬剤師が気付いて、医院に電話して確認したら、やはり医師のミスだったらしいこともありました。2か所の院外薬局で医師のミスを発見してもらっています」(「通りすがり」さん)といった体験談も寄せられています。

症状に合った薬かを確認する使命

専門家はどう見ているのでしょうか。「日本女性薬局経営者の会」会長で、「続 処方せん・店頭会話からの薬剤師の臨床判断」(じほう刊)の著書もある堀美智子さんに聞いてみました。

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「医師と薬剤師は、視点が違います。医師は疾病の改善という角度から、薬剤師は薬の専門家としての角度から患者さんに接します。同じ下痢止め、吐き気止めでも、それが症状に合ったものかどうかを確認しなくてはなりません。できるだけ詳しく患者さんから聞き取ろうとするのも、そういう使命感があってのことです」と堀さんは話します。

堀さんによると、同じ下痢でも、ウイルス性の下痢か、細菌性の下痢かで、抗生物質を使うかどうかなど対応が違います。トピ主さんに接した薬剤師は、どちらのタイプの症状かを確認したかったのではないかと、堀さんは推測しています。

「このエピソードによって、一般の方々が『薬剤師の仕事は処方せん通りの薬を渡すこと』と考えてしまうのは残念です。それなら、自動販売機でも良いことになりますね。でも、実際は、薬剤師が医師の記入ミスを見つけたり、他の医療機関で処方された薬との飲み合わせをチェックしたりして、医師に連絡しています。薬剤師の果たしている役割は大きいのです。だから、『かかりつけの薬剤師』や『かかりつけ薬局』を持つことが大切なんです」と堀さんは強調します。

厚生労働省も「かかりつけ薬剤師・薬局」を推進しています。薬剤師が患者の服薬について一元的・継続的に把握しつつ、管理・指導をしていくことで、薬剤の使い過ぎや重複投薬などを防げると考えているためです。

厚労省が2018年3月に公表した「かかりつけ薬剤師・薬局に関する調査報告書」でも、薬局が患者からの相談に応じるための設備上の工夫(複数回答)として、「パーテーションの設置」(54.1%)を最多に、「カウンター前のイスの設置」(46.2%)、「カウンターと待合スペースの距離を遠くしている」(29.8%)などが続いており、薬局が患者の相談しやすい環境づくりに取り組んでいることがうかがえます。

一方で、今回の投稿に寄せられた反響の中には、薬局側が患者のプライバシーに配慮していないのでは、という指摘もありました。「私は糖尿病で処方薬を飲んでいますが、どうしてもカンジダにかかりやすく、定期的に婦人科で塗り薬を処方してもらっているのですが……。こういうちょっと言いづらい薬の時はいちいち聞かないでほしいんですよ。しかも大声で。男性もいるのに」(「今回は匿名で」さん)、「問診をするのが仕事というなら、他の利用者がいるそばで、立たせたまま、普通の声量で聞くのもおかしいですしね」(「パグ」さん)などです。

患者の立場から見れば、まだまだ対応が不十分な薬局が少なくないのかもしれません。設備と接客の両方からの見直しが求められているようです。

(読売新聞メディア局編集部・永原香代子)

調剤薬局の薬剤師のこんな対応

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