イタリアのブランド・トッズと協業した日本人デザイナーとは

News&Column

「移動の多い生活の中で、自由でたおやかに行動できる服のシリーズを作りたかった」と話す黒河内さん

日本のファッションブランド「mame kurogouchi(マメ・クロゴウチ)」のデザイナー黒河内真衣子さんが、イタリアの高級皮革ブランド「トッズ」の協業プロジェクト「Tファクトリー」のパートナーに選ばれ、服やバッグなどのコレクションを共同製作しました。3月27日にトッズ銀座やトッズのオンラインストアで発売された製品は、黒河内さんのライフスタイルを反映し、ネイビーブルーを基調としたミニマルで洗練された雰囲気が漂います。

カッティングや素材にこだわった服や小物

「T ファクトリー」は、気鋭のデザイナーやアーティストの自由な発想とトッズ固有の技術などを融合させ、新たな製品を作る企画。3回目の今回、働く女性に人気があり、日本の職人の仕事や技術にも精通しているデザイナーの黒河内さんに白羽の矢が立ちました。

着る人を引き立てるネイビーの服

「30代の私自身の生活や、服をまとう時の女性の気持ちを強く反映させました」というコレクションは、仕事の場面から旅行まで、女性の24時間に対応したデザイン。黒河内さん自身が好きだというネイビーブルーを中心に、黒やベージュなど抑えた色彩が特徴です。 「ネイビーブルーを選んだのは、都市でも田舎でも溶け込めて、その人の知性を引き立てる色だから」

黒河内さんは、三宅一生さんが設立した三宅デザイン事務所を経て、2010年に自身のブランドをスタートさせました。18年からパリコレクションにも参加しています。

プロジェクトの打診があったのは1年余前。受けるか迷った時に、招待されてイタリア・マルケ州の本社と工場を訪問。デザイナーと職人が同じ空間で働く光景に感銘を受けたといいます。

「私たちも縫製工場を始め、ブランドとして何をするかだけでなく、形にしてくれる職人や生産者とどうやって技術を守り伝えていくかを考えていたところでした。それだけに、トッズの方々と一緒に仕事をしてみたかった」

ビジネスにもカジュアルにも合うコンパクトなバッグ
甲の部分のカッティングが特徴の靴

言葉の壁を感じながらも、根気強くやりとりを重ね、襟ぐりの曲線や靴のバックストラップなどの細部にも徹底してこだわり、理想を形にできたそうです。そして、自身のブランドのあり方をも見つめ直す契機になりました。

「トッズの服を着て、次の旅に出かけて目にした景色をもとに、これからmameの違ったコレクションが生まれるのが楽しみです」

【取材後記】 日本の小さなブランドが、初めてイタリアの高級ブランドであるトッズとのものづくりに挑みました。「のびのびとしたものづくり」「多幸感があった」――。黒河内さんの言葉の端々から、充実した仕事だったことが伝わってきました。緊張して臨んだという小柄な彼女が、仕事への思いを熱く語る姿は以前より一回り大きく感じられました。これからの活躍がますます楽しみです。

(読売新聞社編集委員 宮智泉、写真はトッズジャパン提供)

【あわせて読みたい】
アルマーニさんの大切なもの 「スニーカーとネイビーブルー」
2020年のファッショントレンドに影響を与える3つの潮流とは
大人の女性の必須アイテム パールネックレスの選び方