新型コロナで外出禁止のパリ「毎日をこなしていくしかない」

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外出禁止令が出され人通りのなくなったパリ市街

世界的に猛威をふるっている新型コロナウイルス。フランスでは死者が5000人を超え、外出制限が2週間以上続いています。パリで暮らす日本人も、終わりの見えない閉ざされた生活にストレスや不安を感じています。日々をどう過ごしているのか、現地在住の日本人に聞きました。

レジ待ちはなし、スーパーの外に列

読売新聞広告局の阿部泰三・パリ駐在員は、パリ15区に住んでいます。地下鉄の駅のすぐそばで、車や人の往来が激しい地域ですが、今は人通りがほとんどありません。「シャンゼリゼ通りもオペラ座かいわいも閑散としていて、ホテルも休業になるなど、今まで見たことのない光景です」

フランスでは3月17日に外出を制限する措置がとられました。食料品などの生活必需品の買い物や、近所での運動などに限り、外出できますが、その場合も理由を書いた証明書を携帯しなければなりません。違反すれば、罰金が科せられます。

間隔を開けてスーパーへの入店に並ぶ人々
フランスの外出許可証

阿部駐在員は妻と小学生の子供の3人で暮らしていましたが、妻子はつい最近、日本に帰国。現在は一人で暮らしています。スーパーに行くのは2日に1回程度。店内のレジに行列ができないよう入店が制限され、買い物客は店の外で1メートルおきくらいに並んでいるそうです。「日本のニュースで、レジ待ちの様子を見て驚きました」と阿部駐在員。狭い店内に人が近接して並ぶのは、パリでは考えられないといいます。また、パスタなど一部の食品が品薄になってきているものの、食品の買い占めは見られないそうです。

気晴らしは「スカイプ飲み」

仕事は在宅でこなしていますが、週に1回、パリ中心部のオフィスに行くそうです。普段なら、地下鉄で20分ほどのところを、地下鉄を避け、1時間ほど歩いて行きます。「マスクは手に入りません。処方箋がないと買えないと聞いています。マフラーを首に巻いて口を押さえたりしてしのいでいます。歩くときも、できるだけ人との距離を2メートルはとるようにして、病院の近くのルートは避けるなど、緊張を強いられます」

そんな阿部駐在員の気晴らしは、「スカイプ飲み」。友達とスカイプでつながって飲むのが楽しみになっています。ただ、宴会を終えるタイミングが難しく、「最近は、一人離脱したら解散というルールにしました」と苦笑いします。

家族でエクササイズ

一方、パッケージデザイナーの木部未紗穂さんは、フランス人の夫と8歳、6歳の子供との4人暮らし。在宅ワークの難しさを実感しているそうです。

「夫も私も家で在宅ワークに切り替えています。夫がリビングで仕事をし、私は寝室、子供たちは子供部屋に分かれて過ごしています。夫がウェブミーティングをしていると、食事がとれないなど、4人の生活リズムを合わせるのが難しいです」。子供たちと一緒だと、仕事に集中できないのも悩ましいといいます。何より、「仕事の取引が減り始めていて、先々に不安を感じます」。

子供たちには毎日、先生から1日の課題がメールなどで送られてくるそうです。日によっては、先生がオンラインで授業をします。「子供たちは、友達に会えないのが一番悲しいようです。ネットで友達とチャットさせたりしていますが、少し荒れ気味で、けんかが絶えません」

木部さんは家族が少しでも明るい気持ちで過ごせるよう、心を砕いています。「食べることはちゃんとしようと思っています。ほとんど外出できないので、毎食、楽しく食事ができたらと思って」。また、運動不足解消のため、毎日時間を決めて、家族4人で映像を見ながらエクササイズをしているそうです。「日課にして、生活にリズムを作る意味もあります。みんなで一緒に取り組むことが大切かなと思っています」。事態の収束が見えない中で、「今は毎日をこなしていくしかありません」。

木部さんは「こんなに影響が出るなんて思ってもみなかった。外出禁止令の前日まで、私も危機感を持っていなかった。日本では、外出禁止ではなく自粛。しかも週末だけで、大丈夫なのでしょうか。どこまで危機感を共有できているのか心配ですね」と話します。

パリでの暮らしの様子は、感染が拡大している日本でも参考になりそうです。

(読売新聞メディア局 小坂佳子)

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