新型コロナ、手洗いダンスで感染予防につなげよう!

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東南アジアで、新型コロナウイルスの感染予防策を歌やダンスなどで呼びかけるインターネット動画が人気を集めています。楽しく、予防に役立つと受け止められ、ダンスをまねして踊る動画を発信する動きも広がっています。

「Ghen CoVy」人気爆発

ベトナムでは、保健当局が人気歌手グループ「Khac Hung×Min×Erik」と共同制作した動画が、注目を集めています。このグループのヒットソング「Ghen(嫉妬)」を替え歌にし、アニメ仕立てにしたもの。「しっかり手を洗え 目、鼻、口を手でさわるな 人混みに入るな コロナウイルスを撃退しよう」といったシンプルな歌詞で、予防を訴えています。

動画の替え歌は、元の曲名と新型コロナウイルスの名称「COVID―19」を掛け合わせ、「Ghen CoVy」と呼ばれています。メンバーの一人、Minさんが2月下旬に、動画投稿サイト「ユーチューブ」の自身の公式チャンネルで公開したところ、約1か月間で視聴回数が2500万回を突破しました。コメント欄には、各国言語で「この歌には意義がある」「みなでウイルスに打ち勝とう」などといった投稿がずらりと並んでいます。

これに火を付けたのが、ベトナムのダンサーで、数十万人のフォロワーを持つネットアイドルのクアン・ダンさんでした。Ghen CoVyに手洗いをイメージしたダンスを振り付け、踊る動画を「TikTok(ティックトック)」などに、ハッシュタグ「#ghencovychallenge」をつけて投稿しました。

視聴者も次々とこのダンスに挑戦し、動画を投稿。クアン・ダンさんは、米CNNのインタビューに「私たちのダンスは(新型コロナウイルスを治療する)薬にはなりませんが、啓発になります」と語っていました。

動画投稿が相次ぐ

タイでも、首都バンコクを走る都市高架鉄道(BTS)が3月上旬、感染予防策を紹介する動画を公開しました。

動画に出演しているのは、BTSの職員たち。制服姿で踊りながら、マスクの着用や検温、運動のほか、取り分け用スプーンの使用などを奨励しています。動画はこれまでに、ユーチューブなどで計80万回以上視聴されました。担当者は「ダンスも歌詞も全部、イチから制作しました。楽しく、元気づけられるようなメロディーにし、衛生面への注意を特に呼びかけています」とPRしています。

フィリピンの保健省も3月上旬、ティックトックで感染予防のためのダンスを公開しました。同省職員が、人との距離は1メートルを保つ、せきをする時は口元を覆うなどのハウツーを表現。ハッシュタグ「#covidance」をつけて発信しました。外に出られない子供たちの気晴らしになっているようで、家族も一緒になって踊る動画が多数、ティックトックに投稿されています。

ネット視聴時間が世界トップクラス

東南アジアでも新型コロナウイルスの感染拡大は深刻な状況です。3月30日現在、商業施設を封鎖する「非常事態宣言」がタイで出されたり、厳しい外出制限がマレーシアやフィリピンなどで行われたりしています。感染予防を訴えるネット動画が広がる背景には、東南アジアでの若者人口の多さとネット視聴時間の長さが関係しているとみられます。

国連の推計では、東南アジア諸国連合(ASEAN)10か国の人口計約6億5000万人のうち、15~34歳は約2億人。日本貿易振興機構(ジェトロ)によると、1980~2000年頃に生まれ、インターネットを利用できる環境で育った「デジタルネイティブ」世代の人口が多くなっています。また、ネット視聴時間に関してまとめた統計「DIGITAL2019」によると、世界第1位はフィリピンの10時間2分。2位はブラジルですが、3位はタイの9時間11分となっています。上位20か国にASEANから6か国がランクインし、ベトナムも17位(6時間42分)でした。

東南アジアでブレイクした感染予防を訴える動画ですが、日本の若者や子供たちにも楽しく予防策に取り組むきっかけになりそうです。

(読売新聞バンコク支局特派員 大重真弓)

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