女性の自治会長わずか6%、身近な意思決定の場に参画を

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自治会で打ち合わせをする鏡原さん(中央)

地域の住民活動を担う自治会。身近な意思決定の場だが、女性会長はまだ少ない。

「来年度も自治会長を続けることになりました。頼りないかもしれませんが、よろしくお願いいたします」。横浜市内で自治会長を務める自営業の鏡原かなりさん(29)が会議であいさつすると、出席者から「頼りなくないよ」と合いの手が入り、場は笑いに包まれた。

鏡原さんは昨年4月から、263世帯が加入する自治会で会長を務めている。きっかけは、次期会長のなり手が見つからず、主催イベントを中止するかもしれないと聞いたこと。「小さい頃から親しんだお祭りがなくなってはいけない」と手を挙げた。

現在は、月に1度の定例会や地域の行事活動に取り組む。若い住民向けに、役員会や防災訓練の様子をSNSに投稿している。「若い人に自治会は遠い存在。自治会活動から置いてけぼりにしないよう、身近なツールを使いたい」

当初は「若い女性に会長が務まるのか」という声もあったが、応援してくれる住民も。ある男性は「新しい取り組みをしてくれるし、よくやっている」と評価する。「若い人が暮らしやすくないと持続しない。子育てしやすい町を目指したい」と、鏡原さんは語る。

ただ、こうしたケースはまれだ。内閣府によると、自治会で女性会長の割合は2019年でわずか6%。政府は今年中に10%という目標を掲げるが、遠く及ばない。参議院議員は23%、地方議員は14%(市川房枝記念会女性と政治センター調べ)と、暮らしに身近になるにつれ、女性の割合は下がっていく。

1995年の第4回世界女性会議(北京会議)で採択された「北京宣言」には、女性の意思決定過程への参加を進めるよう明記された。北京会議に参加した、同センター理事長の久保公子さんは、「当時、意思決定層に女性を増やすことは世界的な関心事だった」と振り返る。「その後、国政を中心に徐々に参画が進んだが、その裾野がまだ広がりきっていないのではないか」と話す。

地方議会進出の契機に

地域活動は、地方議会進出のきっかけにもなる。奈良県王寺町議会は女性議員の割合が50%と、市町村議会でトップクラス。副議長の沖優子さん(64)は、元自治会長だ。

沖さんは1999年に町議に初当選。しかし、2期目の途中で辞職した。「主婦で経験も実績もない私が飛び込んだ当時は、まだまだ男社会。『女をつぶすのは簡単』という怪文書をまかれるなど精神的に参ってしまった」

その後、当時の自治会長に誘われ活動に参加するように。1年半後、会長に就任した。4年間務めた後、再び町議に立候補し、3期連続で当選している。「会長を務め、幅広い層の人と知り合えた。地方議会では地域活動の経験が生きる」と沖さんは語る。

スイスの民間研究機関「世界経済フォーラム」が昨年発表した男女平等度ランキング(19年版)では、日本は153か国中121位。政治参加分野が144位だったことが影響した。ただ、男女の候補者数をできる限り均等にするよう求める法律が施行されるなど、女性議員を増やす取り組みも進みつつある。

久保さんは「女性議員を増やすのは必然の流れだが、『女性であれば誰でも良い』というのもおかしい」と指摘。「自治会など地域活動で実績を積むことで、有権者が投票したくなる候補者を増やすことは重要」としている。

(読売新聞生活部)