岡田育さん Dressing

国際女性デー

昨年からニューヨークで着付教室に通い始めました。たまに「日本女性としてのアイデンティティに目覚めたんですね!」などと誤解されてしまうのですが、そんな国粋主義的な理由ではありません。

私が着物を着たいと思ったのは、大手小町の連載「気になるフツウの女たち」第1回に書いた、アフリカの民族衣装カンガを着た女性や、あるいはサリーを着て結婚式に参列するインド人の友達、ヒジャブ姿のコスプレイヤーなどが、とても素敵に見えたから。「1枚の布を着付ける」衣装は世界各地に存在します。私もやってみたい、と辿たどりついた和装の学校には、当然アメリカ人の生徒もいますし、帯結びを工夫したり、アンティークの羽織を洋服と組み合わせたり、伝統的なスタイル以外も楽しんでいます。

国際都市を指す「人種のるつぼ」という表現は、近年「人種のサラダボウル」と改められつつあります。一つにけ合うのではなく、個性的な野菜があれこれごっちゃに共存している状態。ドレッシングは、お好みで。お互いのルーツや文化の多様性を尊重しつつ、目の前にある着たい服を選んで装うとき、いつもそんなふうに考えています。目指すのは、過去ではなく未来の女性像。いつも新しい味に挑戦し続けたいですね。

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岡田 育(おかだ・いく)
文筆家

出版社勤務を経てエッセイの執筆を始める。米ニューヨーク在住。著作に『ハジの多い人生』(新書館)、『嫁へ行くつもりじゃなかった』(大和書房)、『天国飯と地獄耳』(キノブックス)、『40歳までにコレをやめる』(サンマーク出版)など。現在、OTEKOMACHIでコラム「気になるフツウの女たち」を連載中。