根本かおるさん ステレオタイプを打ち破ろう!  

国際女性デー

国連の広報を担う立場から、メディアにおけるジェンダー格差の課題を知ってほしい。人々の意識の形成において、メディアやエンターテインメントが描くコンテンツはとても影響が大きい。人口の半分は女性なのに、その分野では決定権を持つ立場に女性がとても少ないのです。このことが大きなひずみを生んでいます。

UN Womenが発表した世界的なデータによると、メディアが取り上げるニュースやコンテンツで、取り上げられる人物のうち女性の占める割合は24%にとどまります。ステレオタイプ的な女性像を打ち破るようなコンテンツは全体の4%しかありません。映画やドラマなどでせりふのある役のうち、女性は31%、主人公ともなると23%です。

米映画「テルマ&ルイーズ」(1991年)で知られる女優ジーナ・デイビスが設立した研究機関の調査では、子供向けのコンテンツにおける女性の描かれ方で、露出度の高い服装をしているケースは男性の7倍になるそうです。女性が性的な対象として描かれている。それはおかしいことだと声を上げなければいけません。決定権のある立場に女性がいれば、配慮がなされるはずですし、それはビジネス的にも成り立つことだと思います。

例えば、多様性は興行収入にも影響します。白人と有色人種のダブル主演だと平均254億円、白人単独だと78億円。多様性が、いかに重要かがわかります。いろんなものの見方、ニーズが発見できて、ビジネスにもつながるのです。

自分たちをチェックするため、国連本部のウェブサイトが、ジェンダーの固定観念の増幅に寄与していないか、分析しました。権威があるものとしてサイトで取り上げられている声のほとんどが男性でした。ある意味、自分たちもステレオタイプに加担していたのです。ですから、私たちも是正していきます。日本のメディアもぜひ、自己点検してもらいたい。

子供の頃、男勝りだと言われました。女の子だからというのにとらわれたくない思いが強かったと思います。枠にはめられない、はまらない自分らしさを大切にしてください。特に女の子や若い女性たちに、そう伝えたい。

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根本 かおる(ねもと・かおる)
国連広報センター所長

東京大学法学部卒。テレビ朝日を経て、米国コロンビア大学大学院より国際関係論修士号を取得。1996年から2011年末まで国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)で、アジア、アフリカなどで難民支援活動に従事。ジュネーブ本部では政策立案、民間部門からの活動資金調達のコーディネートを担当。WFP国連世界食糧計画広報官、国連UNHCR協会事務局長も歴任。フリー・ジャーナリストを経て2013年8月より現職。2016年より日本政府が開催する「持続可能な開発目標(SDGs)推進円卓会議」の構成員を務める。著書に『難民鎖国ニッポンのゆくえ-日本で生きる難民と支える人々の姿を追って』(ポプラ新書)他。