霜鳥まき子さん 「名刺」服を着よう

国際女性デー

私は自分を表す服を「『名刺』服」と呼んでいます。「こういう服を着ているのだから、柔軟な発想の人に違いない」とか、「こんな色を着ているから、きっとポジティブな人だろう」と人に感じてもらえる服のことです。私はパーソナルスタイリストとしてお客さまの悩みに寄り添っていますが、装いの印象を生かして自身が目指す方向を示したり、自分とは異なる立ち位置の人にウェルカムな姿勢を見せたりすることができるのではないかと考えています。

以前、女性のお客様で、「海外転勤したいが、会社の人に全然わかってもらえない」という方がいました。人事などに希望を話していても、なかなか選んでもらえないと。そこで彼女が普段から「私は日本とは違う所で能力を生かしたい!」と表現できる装いはないのかと考え、ご提案しました。するとしばらくして、彼女が本当に海外赴任になったんです! 「アピール」って日本語だとネガティブに聞こえるときがありますが、自分の良さを発揮し、人生をより良くしたい時には必要なことではないかと思います。

客室乗務員として働いていた当時、ジャンボ機だと客室乗務員が15、6人配置されていましたが、皆が同じ仕事をするわけではないんです。それぞれが異なることをやらないと、飛行機は飛ばせない。一人一人が別々のスキルを持って集まるからこそ、チームで力を発揮できるのだと思います。

最近、考えているのは「ユニバーサルファッション」について。体の形や年齢、障害の有無にかかわらず着ることができる、おしゃれと機能性を兼ね備えた服の研究です。本来、服って楽しいものなのに、加齢や障害のために選択肢が限られてしまうのは避けたいですよね。私たちは必ず年を取りますし、障害を持つ可能性だってある。そうなったときにすてきな服の選択肢があってほしいので、自分のこととしても考えていきたいんです。ファッションでも「メンズ・レディース」の区分でなく、ユニセックスの服が増えたり、誰でも着られるワンサイズで展開したりする服が増えていて、垣根がなくなっているのを感じます。サイズに人が合わせるのではなく、自分のバランスで着られる服がいい。たとえば、似合うベルト位置とかを追求して、自分のさじ加減を持つ。そうした「装いの力」が付いていくのが理想ですね。

既存のものにとらわれず、自分がどういう立ち位置で、どういうことが好きで、どういう人と一緒にいたくて、どういう信念で生きているか。それを表現できる服をまとっていれば、きっと気の合う仲間や友達、気持ちいい人が集まってきますよ。

【霜鳥まき子さんのインタビュー記事】
CAから個人向けスタイリストに…転身する勇気が持てたワケ

【あわせて読みたい】
西村宏堂さん こうちゃん、おんなのこよ!
西川悟平さん You are Beautiful

霜鳥 まき子(しもとり・まきこ)
パーソナルスタイリスト

1973年、長崎県出身。青山学院大学英米文学科を卒業後 日本航空の国際線客室乗務員に。その後、ファッション業界に飛びこみ、2006年からパーソナルスタイリストとして活躍。これまでに約1万1000人をスタイリングした。今年1月に4冊目の著書「世直しスタイリスト霜鳥まき子の得する黒・損する黒」を出版。