非正規のシングル女性「収入少なく不安」 男女の格差是正を

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「ジェンダー」(社会的・文化的性差)という言葉が初めて公式に使われ、女性への暴力や貧困などがテーマとなった1995年の第4回世界女性会議(北京会議)から25年。この間、日本でも女性活躍推進などが進んだ一方、配偶者や恋人からの暴力(DV)など深刻な課題も残る。3月8日の「国際女性デー」にあわせ、女性のあり方を改めて考える。

女性管理職比率30%を目標に

「95年は私にとって、一般職から総合職へ変わった転機の年。女性が活躍できる環境を日本企業が整え始めた頃で、時代のうねりにも背中を押されました。北京会議のこともよく覚えています」

「女性も男性も誰もが輝ける職場でありたい」と話す陶山さん(中央)(東京都新宿区で)

SOMPOグループのコールセンター会社「SOMPOコミュニケーションズ」の社長、陶山すやまさなえさん(62)は79年、当時の安田火災海上保険に入社した。20代で結婚、出産し、38歳で総合職に転換。41歳で組織の次席に抜てきされたが、課長への昇進は男性の後輩3人に抜かれ、悔しい思いもした。

54歳で初の女性部長に。重要な方針を決める部店長会議に出席し、業務の見え方が変わった。300人の出席者のうち、女性は自分一人。「責任の重さを目で見て実感した」。56歳で初の女性執行役員、60歳でグループ初の女性社長に就任した。

同グループは2020年度末までに女性管理職比率30%を目標に掲げ、19年7月現在で22・5%まで上げた。「25年間で時短などの制度が整い働きやすくなったが、男性と同じ土俵に乗っていない面も残る。チャンスがあれば、ためらわず挑戦してほしい」

男女差ない職場、道半ば

総務省の労働力調査(19年平均速報)によると、15~64歳の女性の就業率は過去最高の71%。この10年で、25~34歳は67%から79%、35~44歳は65%から77%に上がった。30歳前後に出産や育児で仕事を辞め、女性の就業率が低下する「M字カーブ」は、女性が働き続けられる環境が整ったことで解消しつつある。

ただし、15~64歳の働く女性の54%は非正規雇用だ。夫の扶養の範囲内で働きたい妻の意向もあるが、正社員になれず、不安定な立場や低賃金に苦しむ女性も多い。

横浜市男女共同参画推進協会などが15年に行った調査では、35~54歳の非正規シングル女性の82%が、「収入が少ないことが不安」と答えた。同協会は、収入や処遇で不安を抱える非正規シングル女性を対象に、不安の軽減や仲間作りを支援するセミナーや交流会などを開いている。

女性の労働やキャリア形成に詳しい日本女子大学教授の大沢真知子さんは、「この25年で女性の生き方は多様になり、働くことにも真剣に向き合うようになった。企業も能力のある女性にチャンスを与えるようになった」と評価しつつ、「社会の意識は旧態依然のまま。企業や社会が女性の変化についていけない」と指摘。「非正規しか雇用がないため離婚後に貧困に陥る女性も多い。そうした現状に社会は目を向け、貧困女性の受け皿を作るべきだ」と話す。

行動綱領に基づき法整備進む

北京会議には190か国の政府や民間団体から約5万人が参加。女性の権利、ジェンダー平等をうたった「北京宣言」と「行動綱領」が採択され、女性施策の指針となった。

働く女性らでつくるNPO法人「日本BPW連合会」理事長の平松昌子さん(86)は当時、現地で北京宣言の第14条「女性の権利は人権である」を読み、感動したという。「女性が働き続けることに理由を求めていたが、それは人権なのだと納得できた」

日本でも北京会議の行動綱領に基づき、男女雇用機会均等法にセクハラに関する項目が盛り込まれたほか、男女共同参画社会基本法やストーカー行為規制法、DV防止法などが制定された。

(読売新聞生活部)

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